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Dear  作者: 遠藤 敦子
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 気づけば2時間半も話し続けており、そろそろ出ようかと真治さんが持ちかける。お会計の際に私が自分の食べた分を出そうとするも、真治さんは「今回は俺が全部出すしいいよ」と断った。その後は近くの公園まで歩き、ベンチでもたくさんのことを話す。

 次第に人が少なくなって気づけば私たち以外、誰もいなくなった。そこでどんどんいい雰囲気になり、真治さんから「今日いっぱい話して、もっと月ちゃんのこと知りたいって思った。俺と付き合ってくれる?」と告白される。私は告白を受け入れ、真治さんと恋人同士になった。恋人になったことで、お互いのを下の名前呼び捨てで呼ぶようになったのだ。



 彼氏ができて舞い上がった私は、早速バイト先の昼休憩中に報告する。着付師の柴崎さんやヘアセットスタッフの岡田(おかだ)さんと一緒だったのだけれど、

「おめでとうございます! ついに大越さんも彼氏できたんですね!」

そう言って祝福してくれた。さらには

「彼氏どんな人?」

「どこで知り合ったんですか?」

などとインタビューも始まる。同い年の大学生であることは伝えたけれど、マッチングアプリで知り合ったと言うのは抵抗があったので「友達の紹介です」と適当に答えておいた。


 それからというもの、真治がLINEを既読無視することが増えてきたので気になって仕方がない。付き合う前はそういったことはなかったのに、いきなりどうしたのかと考えていたのだ。何しろ初めて彼氏ができたので男性心理がよくわかっていなかった。

「最近彼氏の既読スルーが増えたんだけど、冷められてるのかな」

同じ大学の友人である郁奈(あやな)に相談すると、「彼氏医学部なんでしょ? きっと忙しくて、返事しようと思ってたけど忘れてるんだと思う。気長に待ってみるといいよ」と言ってもらう。結局真治は返信するのを忘れていただけで、「ごめん! 返すの忘れてた」と返信があったのだ。



 真治と会う約束をしていた日になり、私は気合いを入れて白いミニ丈のニットワンピースに黒いロングブーツを合わせた。ついでに髪の毛もコテで巻いておく。その日は真治の家に行くことになっていたけれど、真治は私を見るなり「今日も可愛いじゃん。そういう雰囲気の月も好き」と抱き寄せる。このひとの彼女になることができて心から幸せだと、私は幸せを噛み締めていた。

 それ以降も私と真治は、いろいろなところに出かけてたくさん思い出を作る。ハロウィンでは仮装ーー私はメイド、真治は執事ーーしてユニバーサル・スタジオ・ジャパンに行き、11月には嵐山にある私のバイト先の系列店で着物を借りて紅葉を見に行った。12月はクリスマスということでレストランでおしゃれなディナーを楽しみ、私の家でお泊まりをする。

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