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Dear  作者: 遠藤 敦子
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 「あー彼氏ほしいな」と、私は1人暮らしの家のベッドでゴロゴロしながらぼやく。しかし大学は女子大で、アルバイト先も観光地の着物レンタル店なので女性スタッフしかいない。アルバイト先で恋愛話になり、パートの着付師さんたちにこう言われたこともある。

大越(おおごし)ちゃん彼氏いないの?」

(るな)ちゃんまだ若いし恋愛とかしたら良いのに」

年上のお姉様からすれば大学生の私に青春してもらいたいという気持ちを抱くのも、わからなくはない。しかし環境的に無理だったのだ。

 そういうことを言われるたび、「ここもそうですけど、大学も女子大なんで無理ですね〜。柴崎(しばさき)さん、良い人いたら紹介してくださいよ」と冗談っぽく言ったっけ。それに対し、着付師の柴崎さんは「うちの息子で良ければ紹介しようか? 高校2年生と大学4回生だけど」と言っていた。

「さすがに高校生は犯罪ですし、大学4回生か……。また考えてみます」

私が柴崎さんにそう返し、結局紹介するかどうかという話は流れてしまったのだ。何しろ柴崎さん本人も無理に紹介するつもりはなく、私の気持ちが固まってからで良いと言っていたから。

 「女子大 彼氏作るには」とスマホで検索した。するとあるブログ記事がヒットしたが、バイト先やサークルなど王道の手段が紹介されている。バイト先は女性スタッフしかいないから無理だし、私はサークルに入っていないのでそれも無理だった。

 ではどうすれば良いか。ブログ記事を最後まで読むと、マッチングアプリが紹介されている。大手企業の作ったマッチングアプリで、利用者数は業界ナンバーワンだそう。本当にアプリで彼氏できるなんて、そんなうまい話はあるのか。半信半疑だったけれど、興味本位で私はマッチングアプリをダウンロードすることにした。

 友達にカフェで撮ってもらった写真をトップ画像にし、自己紹介文を書いていく。九州出身で、大学進学を機に京都へ来たこと。女子大なので出会いはないこと。英文学科に所属していること。レンタル着物店でアルバイトしていること。趣味について……ーー。大方こんな感じだろうか。本名は出したくなかったので、月という名前をもじって「るー」というニックネームにした。

 私が19歳の女子大生ということもあり、開始早々変な人からのメッセージが絶えることなく送られる。

「女子大生と付き合ってみたい! いろいろ教えてあげたい!」

「るーちゃん可愛いね! 今日会える?」

「飲みに行こう!」

「付き合えたらお泊まりしたい」

そういった内容だった。女子大生と付き合ってみたいというメッセージには「女子大生なら誰でも良いんかい」とツッコミを入れたくなり、飲みに行こうというメッセージには「このひと私が19歳の未成年ってわかってるの?」という感想を抱く。

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