流れ星のご利益―今だからこそ―
今晩は流れ星が見られるらしい。
最後に見たのはいつだったか。
見なくてもいいかな、と思う。
託したいほど強い願いはなく、
祈るくらいなら今何かする。
それでも見たいと思うのは、
最後の一押しが欲しいからか。
この年末には、流れ星が見られるらしい。
四分儀座流星群、とか言うのが地球に接近しているそうだ。
面接対策で見ていたニュースで言っていた。
流れ星なんて、長いこと見た記憶がない。
最後に見たのはいつだったか。
正直、見なくてもいいかなと思う。
星に願うとすれば受験のことだけど、祈る時間があるなら英単語を3つも覚えればそっちの方が点数になる。
何よりも、受験が近い今外に出るわけにはいかない。
インフルエンザみたいな病気をもらってきちゃ困る。
気付けば近所の展望台を調べていた。
やはりどこも人が集まってるんだろうな。
うちの前だと街灯が明るくて星が見づらいだろう。
頭ではそんな無駄な考えが流れ去っていく。
それでも、見に行きたいと思っている自分を自覚する。
受験前最後の息抜きってやつかもしれない。
卒業した後には僕らはどうなっているんだろう。
彼女に会えなくなることはほぼ確定している。
気持ちを切り替えよう。問題に戻る。
心の中に残る幼い僕は、受験のため、彼女との思いのため、流れ星を見に行きたいと叫んでいた。