レベル上げ
出現するモンスターも強くなっているが、今のところは問題なく戦えているし、ノエルのナビによって順調に進んでいる。多分最短ルートで進んでいるんだろう。一階層につき10分程度しかかかっていない。
着々とダンジョン内を進み、ようやく目的の20階層に到達。
よし、頑張ってレベル上げをするぞ。と、気合を入れるとノエルの声が聞こえる。
「まずは隠し部屋に行こうか。案内するよ」
引き続きノエルの指示に従ってダンジョン内を進んだ。
* * *
「この壁を強めに叩いて」
ノエルの指示に従い、壁を叩くと崩れて通路が現れた。
通路を進んだ先は広い部屋になっており、中央には大きな骸骨型モンスターが立っている。
「ジャイアントスケルトン。レベル50のモンスターだよ」
レベル45のザッコスにも勝てないのに、あんなのと戦うの?
「ここに来るまでにもカイトはレベルが上がっているでしょ。それにマユの聖光で大きく弱体化するし、アイギスの盾の効果でダメージは食らわないから、後はカイトの根性次第だね」
みんなで戦えば速く倒せるのでは?
「確かに、マユの魔法やクレアの聖剣を使えば簡単に勝てるね。それにみんなで倒しても、獲得できる魂を強化するエネルギーの量は変わらないよ。でもカイトなら格上と戦うことで得られるものもあるから頑張って」
そんなことを言われては、やるしかないな。
覚悟を決めて俺達がその部屋に進入すると、骸骨の目が怪しく光り動き出した。
「マユとクレアは離れて見ていて。俺が一人でやる」
剣を抜きダッシュでジャイアントスケルトンに近づき斬りつけると、硬い物同士がぶつかる音が響く。
ジャイアントスケルトンを構成している骨には傷一つついていない。なら魔法はどうだ?
「ホーリーレイ」
光線が当たったところから煙が出ている。そこに剣を振り下ろすと斬リ傷を付けることが出来た。これならダメージを与えられるな。
もちろん、ダメージが通ることと勝てることは別だ。モンスターもおとなしく倒されるのを待っているわけじゃない。
ジャイアントスケルトンは大柄な割りに機敏に跳ね回り、手に持った剣を振り下ろす。何とか回避に成功するも、床が割れ破片が飛び散る。
その破片を躱しながら近づいてホーリーレイを打ち込んで斬りつける。
ジャイアントスケルトンは相当な重量があると思われる巨大な剣を軽々と振り回し、俺は避けきれずに何度も斬られる。アイギスの盾が無ければ即死級のダメージを受けているだろう。
アイギスの盾越しに感じる痛みにも慣れてきたので、攻撃を受けてもいちいち動きを止めることなく反撃に転じる。
斬って斬られての泥仕合の様相となるも、俺にジャイアントスケルトンの攻撃は効かないが、俺の攻撃はジャイアントスケルトンにわずかに効いているはず、俺に分がある根競べで負ける訳にはいかない。
何度も魔法と斬撃を繰り出し続けて、どうにか倒すことが出来た。ジャイアントスケルトンはボーリングのボール程度のサイズと重量感のコアに変わった。
俺が息をあげていると、マユとクレアが駆け寄り声を掛ける。
「ボロボロになってるじゃない、大丈夫なの?」
「ああ、服はこんなだけど、体は無傷だよ」
マユは俺の胸に手を当てて「セイグリットヒール」と言霊を唱えた。
手のひらから溢れる優しい光が俺を包み込む。温かくて気持ちいい。乱れた呼吸が収まり、疲労感が消えた。
「疲労も癒せるんだね、凄い魔法だ……」
「そうだね、自分でも驚いてるよ。でも、あんなモンスターに一人で向かって行くカイトの方がずっと凄いと思うよ」
「カイト様……。あまり無理はしないでください。効かないと分かっていてもモンスターの攻撃が当たるたびに震えてしまいます」
美少年の姿のままクレアは涙を浮かべる。これはこれで絵になるが……。
「心配してくれてありがとう。でも、これくらいは平気だよ!」
あまり心配をかけても悪いので、何ともないアピールをしておいた。実際何ともないからな。
さて、レベルの方は上がっているだろうか?
「レベル32まで上がったよ。これで、この階層でも効率よくレベルを上げられるよ」
一気に上がったな。この調子なら今日明日でひとまずの目標のレベル45までは到達できそうだ。
ジャイアントスケルトンのコアを、クレアが持っているマジックバッグにしまって隠し部屋を後にした。
ダンジョン探索を再開する。モンスターを乱獲してレベルを上げるぞ!
20階層に出現するのは一つ目の大鬼、サイクロプスだ。棘の付いた大きな棍棒を持って力任せに振り回す。
クレアがエクスカリバーで切ると一撃で倒せる。また、マユの神聖魔法でも一撃のもとにコアと化す。しかし、俺だけは何度か斬らないと倒せない。俺も一体倒すごとに強くなっているはずなので、ここは粘り強く頑張るか。
複数体で現れてもマユとクレアが間引いてくれるので、俺は気にせず前に出て戦う。
一対一なら単調な攻撃を食らうことは無い。複数体に囲まれると、どうしても避けきれなくなってしまい殴られるが、痛いだけで怪我はしない。殴り飛ばされながらも何度も攻撃していると倒すことは出来る。アイギスの盾がなかったらこんなレベル上げなんて絶対無理だな。
何体もサイクロプスを倒しているうちに、俺も一撃で倒せるようになった。
レベルは38になった。昨日と比べれば大幅に上がったがまだザッコスには届かないか。
「今日は岩を回収して帰ろうか。案内するよ」
ノエルにナビしてもらって岩を求めてダンジョンを歩いた。ダンジョンの壁が黒い岩壁に変わったところでノエルが言う。
「クレアのエクスカリバーを借りてこの岩壁を砕いて」
エクスカリバーを握って壁に突き立てると、ボロボロと壁が崩れ床に散らばる。豆腐に箸を突き刺したような手ごたえだ。さすが聖剣。
「あれを持って帰ろう」
ノエルの指示通りに、壁が崩れたことで出来た岩をアイテムボックスに収納した。後は帰るだけだが、ここから地上まで帰るのって、何気に面倒だよな……
「20階には冒険者ギルド直通のポータルがあるからそれ使って帰ろう」
ダンジョン内にもポータルがあるのか。
ノエルの指示で進むと、ダンジョン内に建物があった。「冒険者ギルド直通ポータル」と看板が設置してある。
そこに入ると床に一つだけ魔法陣があり係の人はいない。
壁面に使用方法が書いてある。魔法陣の中央に立って自分で魔力を込めればいいらしい。
魔力を込めるってどうやるんだ?
「適当にそれっぽくやってみて。魔法が使えているんだから出来るはずだよ」
なんか、雑な説明だが、魔力を込めると念じつつ力んでみた。
「そうそう、その調子」
これでいいらしい。魔法陣が光り出し俺達を包む。
光りが収まると、たくさんの魔法陣が床に設置してある屋内に転移していた。冒険者ギルドのポータル施設内かな。上手くいってよかった。
ホッと息を吐くと、魔法陣の前にいる人が声を掛けてきた。
「ダンジョン内、20階層からの転移ですね。施設使用料として一人3万イェンで合計9万イェンになります」
使用料高いな……。少しもったいような気もする。
お金を支払いポータルの施設から出ると、冒険者ギルド裏の広場の前だった。へー、ここに出てくるんだね。
「クレア、もう元の姿に戻って」
「はい」
元のクレアの姿に戻ると、俺の服は少し大きいようで、ダボっとしている。それもまた可愛いくて良い。
持ち帰った岩とコアを換金する為に、広場に何人かいる鑑定おじさんを呼び止めて、岩をアイテムボックスから出した。
鑑定おじさんは鑑定眼鏡越しに岩を眺めると、驚いて声をあげる。
「この岩、ミスリルが大量に含まれている。あんたら何階層まで潜ったんだ?」
「20階層だけど」
「Eランクの割には深くまで潜っているが、それでも20階層でこれほどミスリルが含まれている岩石を持ってくるとは……。運がいいんだな」
クレアがジャイアントスケルトンのコアとサイクロプスのコアをマジックバッグから取り出す。
「何だそのでかいコアは? そのサイズのコアは20階層のモンスターからは手に入らないだろう」
「いやー、ちょっと隠し部屋を発見して、中にいたジャイアントスケルトンを倒したんですよ」
「ホウ。Eランクでも、実力的にはCランクの上位並みの力はあるんだな」
鑑定おじさんは伝票に光る文字を書きながら感心している。
それにしても、おなじみミスリルか、これは期待できそうだな。
貰った紙を受付まで持って行くと、320万イェンになった。思わぬ大金だ。ポータル代は完全に元が取れたな。明日からは行き帰りにポータルを使おうかな。
「カイトさん、クレアさん、今回の冒険でスコアがたまったので、Dランクになりました。新しいギルドカードです」
受付嬢から手渡された緑色のカードにはDランクの文字が刻まれている。
何を基準に冒険者ランクが上がるんだ?
「鉱石やコアをギルドに納めると、その価値に応じて冒険者スコアがたまる。それが一定以上に溜まると昇格できるよ。ただし、Aランクには昇格試験を受けて合格しないと上がらないよ」
価値の高い資源を含んだ岩を持ち帰ったから冒険者スコアが一気に溜まったのかな。
「たったの三日でDランクになるなんてカイトってやっぱり凄いよね」
マユに褒められいい気分だ。
「俺だけの力じゃなくて、マユとクレアのおかげだよ」
今日も頑張ってモンスターを狩ったから腹減った。
テンプーレ亭で食事をした後、宿に向かった。
* * *
宿屋の受付ではマユが三人部屋を頼んだ。
今まで忘れていたが、俺のやりたいことを思い出した。ヤバイ緊張してきた。
二人と手を繋いで部屋へ向かう。ドキドキしてきた。アレはきちんと買ってる。ついにDTを卒業できるのか?
部屋に入ると三人とも口数が極端に減る。なんとなく気まずい中で頑張って声を出した。
「あの……、シャワー浴びようか……」
二人はピクリと反応し、マユは「私、行ってくるね」とシャワールームへ向かった。
その後、クレア、俺の順番にシャワーを浴びてきた。
俺がシャワーを浴びて出てくると、二人はベッドに横になっているので、掛けられている薄手の布団の中に俺も潜り込む。
布団の中の二人とも服は着ていなかった。ついに、この時が来た。
まずはマユにキスをする。俺が顔を寄せるとマユは俺に抱きついてきた。全身密着して滑らかな肌の感触が気持ちいい。
長いキスが終わると今度はクレアとキスをする。二人に挟まれ抱き着かれている。幸すぎて怖い。
右手をマユの体に、左手をクレアの這わせると二人とも熱くトロトロになっていた。
これって、準備OKって事だよな?
買ってきたアレを震える手で装着してマユとつながる。
マユは苦しそうともとれる喘ぎ声をあげたので、一旦離れようとすると「やめないで」と小声で言う。
上気した顔は、とても可愛くて俺はすぐに果ててしまった。
俺とマユが息をあげていると、となりではクレアが俺をじっと見ている。
「カイト様、私にも……」
クレアのその様子にいじらしく感じて、すぐさま賢者モードは終了した俺は、復活したモノにアレを付け替えてクレアにのしかかった。
夢にまで見たマユとクレアとの初体験を無事にこなし、この上ない幸せと満足感を味わうのだった。




