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最強伝説トマホーク次郎  作者: サメシャーク
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第1部 グレートスッパイナス

俺の名はトマホーク次郎。瓦職人だ。日夜瓦を製作している。昼も夜も雨の日も風の日も濡れた靴下を履いている日も。

 俺の町ポンポマンマミーヤは経済発展途上国だ。新都ルイポンテームの経済成長以降、新エネルギー「タライヤライ鉱石」の原産国としてアルバインターが各国から続々と移り住んできた。俺、トマホーク次郎もその一人である。

俺の生活は充実していた。飯はお腹いっぱい食べれていたし、昼寝もできた。毎日靴下も履き替えできた。あの忌まわしきハレの日までは…。


「かーっ!働いたあとの飯はケノボルのぉー!」

サボテンのようなテーブルについていた中年たちが騒いでいた。労働の終わりにどんどん人混みがひどくなっていく。

多くが鉱石の探鉱を職としているアルバンタンターだ。

酒飲み場「大熊レストランドゥントゥク」はカーテンを引いたように人混みをかきこんでいく。ここはまさに現代のロゥンドゥン!野望を持つ兵どもが我先にと骨付き魚を平らげる!

喧騒の中、屋根の上。ひとりの男がトンカチと踊っていた。ハヨトネーロ構想曲第3番は彼の十八番である。ピアニッシモとともに釘をうち、テノールとトンカチを叩く。彼なりの美学である。ひとしきり瓦が並べられると男は手を握り、クルってやった。

「よーし!瓦並道路終わり!親方に報告してしめぇじぁあ!親方ー!」

彼は喧騒の方へと口を向け叫んだ。箆色の男が手を振っている。

「アルボンタイン終わったでぇ!賃金チェケラ!」

男は自分のポケットを指差した。

「なんでぇ!もうポケットにはいってらぁ!そこべゃーな親方!」


人混みを抜けると風光明媚な建物共がみえる。月明かりが地面に差し石畳のグラデーションが大通りを照らしていた。喧騒の声が遠くから聞こえてくる。建物の一画にひときわボロい一軒家がある。周囲の厳格なやつと比べ、ダメダメである。瓦で屋根や壁を補強した下辺品奉造りの昔ながらの造りである。

「たでぇまぁー!トマ次郎のお帰りだ!トッツォイ!」

トマト次郎は靴下を脱ぎ、土を落とした。そして疲れとともに寝た。就寝である。彼は日が昇り、土星が北に落ちるまで働いていた。炎天下の中、汗で濡れた靴下とともに。

土星の小惑星がぶつかり合いフォルテシモが響いた。町の喧騒は完全に静まりかえり、トマホーク次郎の寝息だけが旋律を奏でていた。名曲である。



第二章「濡れない靴下」

 「むにゃむにゃフッフッフッーフッーアフッ」

トマホーク次郎は目覚めのルーティーンののち覚醒し、一軒家のリビングに降りた。

「!?」

トマ次郎は驚愕した。テーブルは壊れ、皿は割れ割れ至るところぐちゃぐちゃで台無しの部屋。自慢のトマホーク型のトンカチも、ホゾーユ状に曲がっていた。

「な。」

「な」

「なんじゃあ!」「コリャ」

トマホーク次郎の視線のさきにはトンカチでもなくホゾーユでもない。ではなにか。あれか。これか。

「なんじゃあこの薄いペラペラは」

トマホークの手のなかには薄汚い赤い包みがある。中身は包みとつながり、ペラペラとした黒色のゴミが染み付いていた。

「…」

トマホーク次郎はかじった。

雑巾のような生臭い匂いが広がり、濡れた靴下が嫌いな次郎は脳にダメージを追い、気絶した。

数分後、雑巾のような生臭の包みが光だした。メタモルフォーゼをおこし形をかえ、猫耳をした冬のトレンドを取り入れ透け感をだしたファッションスタイルの美少女が形作られた。

トマホークのハレの日の数時間前の出来事である。


「なんじゃ!ワレェ!おいどんにケンカうっとんのか!」

「生意気な小娘が!ペースト状に化粧してやらぁ!」

目が覚めるとトマホーク次郎の家の周囲には野次馬がはびこっていた。怒号が飛び交い、許されざるヘイトスピーチがこだましていた。口にする者は血相をかえ、まるで血便のような赤い顔をにじませていた。

怒号の中心には一人の女がいた。服の繊維がほどけるように風に髪がゆられ、真上から降り注ぐ日の光が乱反射し、辺り一面を照らしていた。

「聞けェ!低俗な野蛮人共!私はこの国に文明開化もたらすべく遣わされた啓蒙者!シージ・サルペンナである!心から敬え!へりくだれ!形に表せェ!」

いい終えると同時に怒号の中にとびこんだ。

すると喧騒を裂くように驚嘆の声がわき、静まり返った。

中年のおっさんが地面に顔をめり込ませ、けつを空へ向けて足を曲げていた。

「礼儀知らず共め!文明開化宗主国の思想を体で覚えさせてくれる!」

その後は言うまでもなく、一人逃がさず埋め立てた。阿鼻叫喚のワルツがシンフォニーしたが、最後のひとりの埋め立てで幕を閉じた。

トマ次郎はみているだけだった。体が震え、メトロノームのようにテンポを打つだけのオートマチックコンバータと化していた。

「すごい!」

否!

トマ次郎は震えていた。しかし

「すぅんごぃい!」

恐怖の震えではなく、ある感情がトマ次郎を動かしていた。

「勝負じゃ!厚切り大根!」

埋め立てた畑のなか、女のもとに降り立った!

名をトマホーク次郎!

トネソフ

マフヨヘ

ホオケヨヘコー

クネソテコ二世

トマホーク次郎である!


第3章「勝北者」

「まだ後進国の臆病者が残っていたか…」

陰キャを見るような目で見据える美少女。

「俺の名はトマホーク次郎!瓦職人の正統後継者であり町一番の力持ち!てめぇのようなホメコヒにはぜっっっっったいに負けなぁい!」

応答や如何に!

「先進国とは…。先進国とは!強いから先進国だ!貴様のようなオトコヒにド・ラメールヨクをしかけられて、黙ってられるか!年長者として受けてたとう!」

かくして火蓋はきられた。

静寂が埋め立て畑を包む。かすかに呻き声が聞こえる。落ち着く!

美少女の髪が風に持ち上げられる。徐々にリトマス紙のように色相変化が起こり始めた。黒色は次第に金色へと変化し辺りにオーラが漂い始める。

トマホーク次郎は直感した。怒らせたと。

トマホーク次郎が記憶しているのは痛みだけだった。

視界いっぱいに青が広がり、風を切る音が脳内でカキ乱されていた。

トマホーク次郎を目撃したのは隣町のお寺屋さんだった。

実にトマホークの瓦家から893m離れた仏閣のお寺屋さんだ。

トマホークの足には靴下が片方しかなかったという。


第4章「ディスティニーワールド」

「むにゃむにゃフッフッフッー…ハッ!」

「ここはどこだ?」

周囲をみわたすとサボテンの群青の世界だった。

「俺はいったい…」

ふとトマホークは腹がをみると拳状に痕がつけられていた。

(´・д・`)

  / @)

   11

蹄が三つ…まだ新しい。

「痛そうだな」

あのクソ女が横に座っていた。

「あぁ!おめぇは俺をぶっ飛ばしたネソテコか!よくもやりやがったなユルユルユルさんねぇ!」

「まぁ待て。私も追い出されたんだ。」

「なに!?俺に勝ったお前がだれそへに負けたんだ?」

「ホッケラ大仏神チャンパロス」

「誰だ!?」

「私が聞きたい!」

気がつくと女の体にはハッパギロチンでキリキリマイしたような傷があった。生半可なものではなく肉が抉れ、包帯で急いで手当てしたあとがあった。

「大丈か?」

「誰が心配しろと言った!無礼な鉄板人め!フン!」

「出せ」

「え?」

「出せェ!」

「何を?」

美少女がキョドる。

急に怒ったのである。トマホーク次郎が。

「俺は瓦職人であり、瓦造りだ。回復スキルもあるのも必然だ。」

トマト次郎は手のひらをさしだした。

するとみるみる傷が塞がっていく。

「見た目によらず回復スキルをもっているなんて…意外だわ」

「これは回復スキルじゃない。瓦造りだ。」

「?」

トマホーク次郎の目には何か闇が感じられた。

「ところでネコテソは何でウチノマチに来たんだい?」

「…………」

「だめってちゃあ分からねぇ!」

パチンッと音が立った。

トマホーク次郎は自分を殴っていた。

「善くねえ!俺は強くならなくちゃ活けねぇ!」

「俺を弟子にしてくれ!シージ!」

ハレの日である。


第5章「旅立ち」

「ようやく戻った!ポンポマンマミーヤ!」

トマ次郎とシージはポンポマンマミーヤに帰ってきた。

「なんでまたこんなポンポマンマミーヤに戻らなくちゃいけないわけ?」

不機嫌そうに頭をかきながら呟く。

「そりゃあ、仕事道具とかとらなきゃならねぇし。何より町のみんなに挨拶しなくちゃだろ。それよかお上りさんならみてみぃこの町を!素晴らしい瓦造りだと思わねぇか!?おもうよなぁ!?」

ポンポマンマミーヤは移民が移り住み多種多様の共生をした町である。スチームパンクのような町並みが特徴的だが道を外れると世界が変わったように異文化が連なって住民が住んでる。

トマホーク次郎は住民の一人である。瓦の知識だけで海山川不毛地帯を踏破した超人であり、瓦と靴下のスペシャリストだ。

「親方!」

「んぅ!トマ次郎でねぇか!アンバイルトサボタージュしやがって!」

「すまねぇ親方!」

「旅立ちか…」

「親方!…なぜそれを…!!」

「腰にぶら下げているトンカチ見りゃわかる。」

「…そうだな……」

「行ってこい!そして!すべてを手に入れろ!探せ!」

「おう!」

トマ次郎が駆け出す背中をみて口から涙をする老いぼれの姿がそこにはあった。

「それで?」

「ん?」

「いや、だから、なんで旅立たなきゃならないの?」

「勝北…」

「え?」

「勝北が…知りたい……

俺はそれを探すために旅立たなきゃならない!」

「うん…!」

第1部 完











現実逃避のため気持ちを整理するために書きました。

失礼があったらすみません。

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