表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
85/122

一番楽しいこと ②

いらっしゃいませ!

ご来店ありがとうございます。今朝投稿したあと全くPVが付かず落ち込んでいたら、投稿出来ていなかったことが分かりました。ご来店本当にありがとうございます。見ていただけると言うのは本当に支えになります。!

前回のあらすじ:何故かなごみ家に憧れをいだいているマッキーさんが加入しました。

 System:<マッキーがギルドに加入しました>



「やった! どうぞよろしくお願いします!」


「マッキーさん、よろしくですー」


「よろしくお願いします」


「コヒナさん、レナルドさん、ありがとうございます。お二人のお陰で入隊できました!」


 う、ううん。なんて返したらいいんだ。うち、そんな大層なもんじゃないですよ?


「おめでとう」


 ううんレナルド君、それはなんか違うんじゃないかな。


「ありがとうございます!」


 あ、合ってたっぽい。


 レナルド君がぶんぶんと杖を振る。ゲートの魔法だ。行先は師匠の家だろう。


「お、レナルドさんありがと」


 師匠が最初にゲートをくぐる。その後私は最後にと、遠慮してるマッキーさんをいいからいいからとゲートに押し込んで、私とレナルド君も後に続いた。


「ここがギルド拠点です」


 いいながらレナルド君が師匠の家に入っていく。なんとなく私たちもそれについて行くとレナルド君は二階にある私の部屋の前で止まった。


「ここはコヒナさんの部屋なので入ったら駄目です」


 う、うん。そうだね。


 そうなんだけど。一番最初にそれ説明しなくても……。でもレナルド君的には最重要事項だったんだな。ありがと!


「わかりました。肝に銘じます」


 いや、マッキーさんもそんな大層なもんでも……。いや入られたくはないんですけども。


「レナルドさんありがと。マッキーさん、ほかの設置物とかは自由に使って下さいね。まあ拠点ていってもみんな好きなことやってることが多いのでここで何かと言うのはあんまりないんですけどね」


「わかりました」


「うち変人ぞろいのギルドでして。それにいまはログインしてる人も少ないですから合わなそうだと思ったら抜けちゃって大丈夫ですからね」


「そんな! 抜けるなんてとんでもないです」


 大丈夫かなマッキーさん。マッキーさんの眼にはうちのギルドどんなふうに見えてるのかな?


「アクティブなメンバーが多いと盛り上がるんでしょうけどねー。リアル事情もあるしこればっかりは」


「そういうことなら任せてください。一緒に楽しいギルドにしましょう!」


 マッキーさんも変わった人だなあ。熱いって言うか。マディアの町でお話していた時には全然気が付かなかったぞ。でももしかしたらうちには合っているのかもしれない。ハクイさんに会えるといいですね。



 ■■■



 翌日。アパートの自室からネオデの自室にログインした私はいつも通りギルドチャットに挨拶を送ってみる。今日は誰がいるかな?


 コヒナ:『ただいま~』


 ダーニン:『ただいまてwwwwww』


 ん?


 ラムダ:『こんにちは』


 え、あれ? 誰? 私何か間違えた?


 レナルド:『おかえりなさい』


 あ、レナルド君だ。よかった、何が起きたかと思っちゃった。


 マッキー:『コヒナさん! ダーニンさんとラムダさんがギルドに入ってくれました!』


 え、えっ⁉


 部屋から出てみるとギルドハウスの大広間にレナルドさんとマッキーさんの他に初めて会う人が二人もいた。ギルドチャットで挨拶をくれたダーニンさんとラムダさんだ。


「ちわーwwww ギルド入りましたwダーニンですwww」


「こんにちは。ラムダです」


 状況がいまいち呑み込めない。いやなんとなくはわかるんだけど。この家の中にいると言うのはそういうことなんだろう。


 呑み込めないけどとりあえずはご挨拶だ。


「コヒナです~。初めまして~」


「丁度今お二人加入しまして、自己紹介しようって言う流れだったんです。丁度古参のコヒナさんが来てくれて良かったです」


 マッキーさん、私古参じゃないよ。寧ろペーペーだよ。ギルドって言うかこの世界のペーペーだよ。どうしよう誰か本物の古参来てくれないかな。


 ダーニンさんは男の人で片手斧に盾持ちの流行のテンプレ戦士スタイル。テンプレという物はそれが強力だからテンプレなのだ。ダーニンさんも強い戦士さんなんだろう。


 もう一方ラムダさんも男の人で魔法使い。風系の範囲魔法を得意にしているということだ。


「風範囲って効率悪くねwww」


 ラムダさんに向かってダーニンさんが言う。


「すいません」


「いいけどwwwww」


 ダーニンさんw多いな。絡みづらい。ラムダさんは逆に大人しい感じで言葉が少なめ。こっちはこっちでとっつきにくいけどダーニンさんよりは話しやすいかな。


 ダーニンさんとラムダさんは知り合いというわけではなくマッキーさんが別々に勧誘してきたのだそうだ。新規プレイヤーがほとんどいないネオオデッセイでギルドメンバーを二人も勧誘して来たマッキーさんは凄い。


 凄いけどほんとはちょっともやもやする。


 でも入隊した以上はギルドの仲間だからね。楽しくいかないと。


「じゃあ折角ですからみんなでどこか行きましょうか~」


「どこかってwww何処wwwww」


 ううん。それを決めましょうって言ってるのよね。


「五人もいますからどこかのボス行きましょうか~?」


「なんでボスwwww」


 何がおかしいのだろうなダーニンさんは。変なキノコでも食べたのかな? どこかのリンゴさんじゃあるまいし。


 ボスのドロップ品は魔法効果が高いものが多いけど、お金や素材を集めるのなら中層階で倒しやすいモンスターをたくさん狩る方が効率がいい。ランダムに魔法効果が付与されるモンスターのドロップ品を狙うよりも、お金を貯めて自分の理想の装備品を別のプレイヤーさんから買った方がいいと言う考え方もわかる。


 でもそれならそうしたいって言ってくれればいいのにね。


 結局その日はダーニンさんとラムダさん、レナルド君とマッキーさん、それに私の五人で悪魔蔓延るダンジョン、魔封殿ディアボでグレーターデーモンやアークデーモンを狩ろうと言うことになった。


 なったんだけど。


「死霊術www 効率悪www」


「なんで範囲wwwww」


 ダーニンさんが何かにつけてメンバーにダメ出しをしてきて非常にやりづらい。デーモン族相手だし死霊術や風魔法だと戦いにくいのはしょうがないじゃん。


「ww俺ダメージ受けてんだけどwwww」


 うるさいなあ! 自分の回復くらい自分でやれよ!なんでしてもらう前提なんだ。


 はっ、私としたことがはしたない。ご自分でなされ。


「回復力低wwwww」


 ラムダさんがせっかく掛けてあげた回復魔法にも文句がつく。


 他人の回復には別スキルが必要なの! 基本そんなの構成に入れないの! みんな自分の為にゲームやってるんだぞ!


 びしびし。イライラしてたら手元が狂ってしまった。グレーターデーモンの強攻撃をもろに食らって結構なダメージをうけてしまう。でもすぐにラムダさんの魔法が飛んできて回復してくれた。


「ありがとうございます!」


「こちらこそ」


 あまりしゃべらないラムダさんが返事を返してくれた。ラムダさんは私がラムダさんとレナルド君を守って動いてるの気が付いてくれたんだな。


「wwwこっちもダメージ受けてるんだけどwwww急いでwww」


 一人で遠くいくからでしょ! 回復力低いって言ったくせに回復魔法期待しないでよ。


「あ~、大分稼ぎましたし、そろそろ引き上げましょうか?」


 マッキーさんが提案してくれた。よかった。誰か言い出さないかな思ってたとこだよ。


「はい! そうしましょう!」


「うん」


「はい」


 間髪入れずに答えた私にレナルド君とラムダさんも続いた。


「もう引き返すとか意味wwwwww」


 そうですか。意味が分かったらいいんですけどね。


「効率ソロと変わんないwウケるwwwww」


 ギルドに戻ってきて戦利品を分ける時もダーニンさんはぶつぶつ文句を言っていた。


「俺<辻ヒーラー>いるっていうから入ったんだけどwwwww」


 そうですか。楽しそうで何よりです。無理しないで下さいね。この人ハクイさんに会わせたくないなあ。ハクイさんお仕事で大変なんだよ。


 分配が終わった後ダーニンさんは「取り返さないとwwwww」と言ってソロで何処かに向かっていった。向かっていくときに私に「ついて来てもいいよwww」と言っていたが丁重にお断りさせていただきました。


「すいませんでした。パーティー組むの慣れてなくて」


 ダーニンさんがいなくなった後ラムダさんが謝ってきた。


「いえいえ~。会ったばかりで合わせるのは難しいですよ~」


「そう言って頂けるとありがたいです」


 基本的には一人で戦うより複数で戦う方が効率はいい。でもそうとも言い切れない時もある。スキルの構成によってはお互いの足を引っ張ることにもなるかもしれないし、一緒にいる人が何をしたいのか、何をして欲しいのかを会ったばっかりで判断するのは難しい。


 師匠はその辺大得意だけどね。


 それと、ラムダさんのスキル構成はちょっと変わっているんだろうな。


 それ自体は良いことだと思う。折角のネットゲームだ。好きな楽しみ方をすればいい。やりたいことが出来ないとつまらない。


 ダーニンさんみたいなテンプレートのスキル構成だとただ戦っても強い。テンプレート構成とはそういう物だ。かくいう私も剣と盾を使う上でのテンプレートを踏襲している。


 でも変わったスキル構成だと独自の戦い方を編み出さなくちゃいけないし、周りにも理解されにくくなる。そこのバランスは難しい。


 うちの変人たちはその辺まとめて突っ切ってしまっているけど。


 レナルド君とラムダさんは今日はここまででログアウト。二人がいなくなってからマッキーさんがぽそり、といった。


「すいません。お役に立てればと思ったのですが」


 ダーニンさんとラムダさんが上手くいかなそうなことに責任を感じているのかな。


「いえ~、そんな~」


 悪気があったわけではないし、私としてはしょげているマッキーさんにはそう返すしかない。でも、どうしたものかなあ。



 □□□



「—って言うことがあったんですよ!」


 いつも通り遅く帰ってきた師匠に告げ口をする。今残っているギルドメンバーは私だけだ。


「それは大変だったねえ」


「大変でした!」


 大変だったので優しくして下さい! なんてね。


 冗談はさておき、今後のことを師匠に聞いておかないといけない。


「どうしたらいいんでしょう。ダーニンさんの事」


「いやあ、別にどうもしなくていいんじゃない? 」


 私は深刻な問題だギルドの危機だ、師匠が帰ってきたら何とかしてもらわないと焦ってたけど師匠の方はいつも通りだった。



「その人、ダーニンさんだっけ? 別に怒ってるとかじゃないと思うよ。多分リーダー気質の人で、その人なりのコミュニケーションじゃないかな」


 うええ、あれがコミュニケーション?


 でもそう言われてみれば今日は全員なんだかんだダーニンさん主体で動いてた気もする。認めたくないけど。


「それにネットゲームだからね。苦手だったら別に無理に付き合わなくてもいいと思うよ。リアルでも付き合いづらい人とは距離置くじゃん。一緒一緒」


「でもギルドメンバーですよ?」


「あー。今まで凄い楽だったからねえ。でもよくあることだよ」


 むう。そういう物だろうか。


「前はうちもいろんな人いたからねえ。それこそ色々あったよ。お互い我慢しながらゲームしてもつまらないからねー。合わなければ向こうも離れてくだろうし、それぞれ自分が楽しいことすればいいと思うよ」


 ううん。師匠に言われるとそれでいい気もしてくるな。うちのギルドはそう言うギルドだ。今までだってそれぞれ好きなことをしながらギルドチャットでたまに会話すると言うのもよくあった話だ。


 そっか。ダーニンさんのことは私が心配するまでもないか。


 でも私の心配事はもう一つあって、そっちの方が重要だったりする。


「マッキーさん、ギルドメンバー勝手に増やしちゃうって言うのはどうなんでしょう?」


 私としてもダーニンさんに思うことは多いけど、実はこっちのほうが嫌だった。マッキーさん自身はいい人だと思う。でも知らない間にギルドに知らない人が増えてしまっていたというのは怖い。大事なところに踏み込まれてしまうような寂しさがある。


 でも師匠はこれもさほど危機感を感じてないようだった。


「ううん、それもねえ。あんまうるさいこと言いたくないし、それはそれでマッキーさんの楽しいことだと思うんだよねえ」


 むう。


 そう言えば師匠はギルド内計画殺人の容疑者を平気で加入させる人だっけ。計画殺人は未遂に終わったけど。いや違うな。殺人事件は起きた。加入した人は犯人じゃなくて被害者になっちゃったけど。


 でもそっか。マッキーさんの楽しいことか。


 ギルドの役に立ちたい、立ってる、はハクイさんやブンプクさんに憧れて入隊したマッキーさんにとってはメンバーの勧誘はとても楽しくて有意義なことなのかもしれない。


「楽しまないと」は師匠の口癖だ。弟子としては従わざるを得ない。仕方がない。こうなれば私も楽しむしかないか。とりあえずは今日の残りの時間。師匠と二人、私の一番楽しい時間だ。


「んじゃ、今日は何すっかね」


「師匠師匠、食虫植物凄いの出来たんです。お部屋に飾ったので見に来てください!」


「え、えええ。すごいってこの間の巨大ハエトリグサよりもってコト……?」


「はい! モウセンゴケなんですけど凄い大きいんです! あれならフライングスパイダーとも戦えると思うんです!」


「おおう。戦わせるって発想はなかったな……」


 食虫植物を師匠に見て貰った後二人で栄養剤を探しにモグイにいった。さらなる巨大食虫植物を作って師匠に褒めて貰うのだ。


 嫌なこともあった日だけど、終わりよければすべてよし。


 一日の最後には師匠と合えるので大体毎日すべてよし、だ。


「師匠、今日もありがとうございました! おやすみなさい!」


「こちらこそー。おやすみー」



 ■■■



 でもさらに翌日のこと。


 私はいつもどおりただいま、とギルドチャットに打ち込もうとして躊躇ってしまった


 また『ただいまてwwwww』っていう返事が返ってきたら嫌だなと思ったのだ。なんだか変えるのは癪だけど今日は無難な挨拶にしておこうかな。


 コヒナ:『こんにちは~』


 マッキー:『コヒナさんこんにちは』


 お、マッキーさん今日もいたか。


 お返事をくれたマッキーさんに今日は何をしてるんですか、と会話を打ちこもうとしているとぴろんと連続してギルドチャットにメッセージが届いた。


 ぎんえもん:『ちわ~。よろです』

 


 ⁉


 誰っ⁉


 ……誰もなにも何もないか。またメンバーが増えたんだな。うん。そんなこともある。ぎんえもんさんか。どんな方かな。とりあえず初めましてのご挨拶を……。


 しかし、メッセージはそれでは終わらなかった。


 ぴろぴろぴろん。立て続けにシステム音が鳴る。


 すみれ:『こんにちは。』


 オンジ:『こんにちは。よろしくお願いしますじゃ』


 ダーニン:『ちゃっwwww』


 ベシャメル『こんにちはー』


 クラウン:『こんにちは』


 めりちょ:『こんにちはーw はじめまして、めりちょですw』



 えっ。



 えぇええええっ⁉


お読みいただきありがとうございます。

マッキーさん働き者ですが、不安要素もありですね。どうなるのかな……。

次回も張り切ってまいります。また読みに来ていただけたらとても嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ