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世界渡りの占い師は NPCなので世界を救わない  作者: 琴葉 刀火
第一章 世界渡りの占い師
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水の中に潜むもの 2

 休憩所で英気を養った私たちは、いよいよこのダンジョンの一番底にいるというボスモンスターに対峙することとなる。


 直前にイケメルロン君から<安らぎのピアス>というものを渡された。ボスの範囲攻撃を防ぐのに必要らしい。


 耳につける部分の下に、大きな金のリング。つけてみるととても良い感じだ。


「これ、可愛いですね!」


 ちゃらちゃらというピアスの動きと音が楽しくてくるくる回ってみる。となりでルリマキさんも回ってくれた。私がつけているのよりも小さいけれど同じピアスをしている。


「コヒナさん、それ大きすぎませんか?多分半巨人族用の設定になっていますよ。大きさ変えられますから」


「大丈夫です!これがいいんです」


 占い師というものはいっぱいアクセサリーをつけるものだ。一番最初に読んだジプシー占いの本にそう書いてあったから多分間違いない。その本の挿絵にはたくさんのアクセサリーを付けた占い師さんが描かれていて、丁度これと同じようなピアスをつけていた。


「気に入っていただけたのならいいんですが。なんか、耳とれそうですよ」


 イケメルロン君は心配してくれたけど、


「大丈夫です!エルフは耳が丈夫なんですよ!」


 回るのに合わせてピアスが揺れるのが実に良い。


「なんだって、本当かい?初めて聞く設定だ」


 同じエルフのウタイさんも一番大きな設定にしたピアスをつけて一緒に回りだした。


「本当だ。イタクナーイ!」


 そうでしょうそうでしょう。だってエルフだからね!


「あだだ、あだだ」


「もげる、もげるっす」


「何で一緒に回ってんだよ!」


 人間族のゴウさんとドワーフ族のジョダさんも大きなピアスをつけて一緒に回ってくれたけど、やっぱりエルフじゃないと大変なようだ。二人してイケメルロンさんにハリセンですぱーん、としばかれていた。あのハリセン、便利だなあ。


「まあ、気に入っていただけたのでしたら良かった。そのピアスは差し上げますので、良かったらどうぞ。高価なものではないので安心して下さい」


「本当ですか!ありがとうございます!」


 イケメルロン君にとって高価ではないのが本当だったとしても、私にとっては高価かもしれないけれど、大変に気にいったのでありがたくいただくことにする。


「んじゃ、回ったままでいいので確認しますね」


 イケメルロン君がボス攻略の作戦を説明してくれる。というか回ったままでいいんだ。ではお言葉に甘えて、くるくる。イケメルロン君以外が回ったままの作戦会議はなかなかにシュールですね。くるくる。


「ボスを「倒した」事にならないと先に進めないので、この戦闘は六人でパーティーを組み、コヒナさんにも参加していただきます」


 おお、それは大変だ。まあ戦力的には期待されていないだろうから、後ろで眺めていればいいのだろう。


「それと、戦闘中に死んでいる時間が半分以上あるとクリアとみなされないので、極力被弾を避けてください」


 おおう。


「また、完全に何もしない状態でもクリアとみなされない場合があるので、こちらを」


 なんだとう。何もできないぞ。ボスってあのコウモリより強いんでしょう?


 イケメルロン君が渡してくれたのは大量のポーションだった。


「折を見て使ってください。念のために言っておくと、他の人にも使えます。そんなに頑張らなくても戦闘中に1,2回使えば問題ないと思います」


 丁寧な解説がありがたい。ばしゃっと行くタイプですね。わかります。


「一番厄介なのはボスの「叫び」による範囲攻撃です。一定範囲に麻痺、混乱、恐怖のバッドステータスを撒きます。受けてしまうと次の攻撃が避けられなくなります。とはいっても初見で避けることは難しいと思いますので、受けてしまっても気にしないでください。一応そのピアスとウタイさんの歌である程度防げるはずです」


 なるほど、そのためのピアスか。可愛いだけじゃないんだ。混乱は同士討ちを引き起こす厄介なバッドステータスだけれど、私が混乱しても多分何も影響がない。そこだけは安心だ。勝手にボスに向って行って殺されてしまうことはあるかもしれないけど。


「以上になります。何か確認は?」


「ないでーす」


 答えたのはゴウさんだ。ゴウさんを含め、みんな回りっぱなしだ。もちろん私もだ。


「じゃあ、そろそろ回るのやめようか」


 イケメルロン君はそういったのだけど、


「嫌だ、お前が回るまではやめない」


 ゴウさんがワガママを言う。


「そうだそうだ、メルロン君、君も回りたまえ」


「そうだそうだ!おえっぷ」


「はい」


 ジョダさんは回りすぎて気持ちが悪くなってきたようだ。でもやめられない、そんな時がありますよね。わかります。


「そーだそーだ、メルロンさんも回りましょう!」


 私も一緒になって誘ってみる。


 メルロンさんはしばらく迷っていたけれど、やがてくるくる、と三回ほど回って


「いやなんでだよ!馬鹿馬鹿しい!」


 そう言って何もないところをハリセンでスパーンと叩いた。



前回みんなにいろいろ言ってもらってコヒナさんのテンションが大分変わっておりますで短めですが章分けさせていただきました。


もう少しでダンジョンも抜けられます。


また見に来ていただけたらとても嬉しいです。


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