表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
どりぃむすとおりぃ  作者: 谷兼天慈
7/35

白夜─ビャクヤ─

 北欧でもないのに白夜だわ──

 私は見なれた道を歩いている。中学からの帰り道。

 でも、なぜ夜に──こんな夜中に外にいるのだろう。

 あ──橋がある。

 私は渡ろうとして、ふと西の空を見た。

「きれい……なんてきれいなお月さま……でも、どうしてこんなに大きいんだろう?」

 西の空にくっきりと映っている、その月のようなもの──また、あるいは太陽のようにコロナのあるものは、巨大な円だった。

 そして、七色の幾何学的な美しさの模様が、様々な形に変化している。

 私は、あまりの美しさに、橋の上にいつまでも佇んで見つめた。

 ふと気づくと──どこかの家の中からラヂオの音が聞こえてきた。

「地球の皆様。今宵は最後の団欒を、静かな音楽でおくつろぎください」

 そして、ラヂオから、物悲しいヴァイオリンの音色が流れ出した。

「………………」

 私は知らず涙を流していた。

 泣きながら、幻想的なまでに燃え盛る月のようなものを見つめた。

 それは──その月のようなものは──水星だった。本来ならばこのような大きさの惑星ではない。

「どうして……」

 異様に膨れ上がり、太陽も月をも飲みこんでしまった水星を、私は、あとからあとからあふれる涙で見ることができなくなってしまった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ