超能力
ここは境港市、美保空港。
今は夜である。
その美保空港に三機の戦闘機が轟音を立てて着陸した。
「なぜこんなところに戦闘機が…」
私はさほど驚いた様子を見せずに呟いた。
その戦闘機から三人の人間が出てきた。
彼らは怪獣TVに出てくる正義の味方が着ているような、カラフルな服を着ている。
きっと、ああいうのを戦闘服っていうのだろう。
すると、今度は宇宙船みたいな、反重力を使って飛行している飛行船が飛んできて、私の上空に停止した。
じっと見つめていると、その飛行船の下部から、すーっと銀色の大きな箱のようなものが降りてきた。
それが地面に着地すると、箱の側面のひとつが、すっとなくなり箱の内部が丸見えになった。ちょうど私が見ているところがなくなったのだ。
中にはひとつのシートがあった。
そして、それにはひとりの女性が座っていた。
美しい───夢のような美しさだ。
彼女は自分に合っている、鮮やかなヘルメットをかぶっている。
すると、戦闘機から出てきた男のうちのひとりが、その女性に近づいてきた。
私はその近くにいたから、はっきりその男の顔を見ることができた。
年の頃は25、6。背は、180以上はあるだろう。顔は一応ハンサム。
その男は、私をじっと見つめたが、何も言わずに銀の箱の中に入っていった。
私は男に見つめられた時、言いようもない不安に襲われた。
それから一分も経たない間に彼は出てきて、
「お前、入れ」
と、私に言った。
箱の中を見るとあの女性はいない。
私は、男の言う通り箱の中に入り、さっき女性が座っていたシートに腰をおろした。
すると、あの男が入ってきた。
「私の目を見ろ」
男はそう言って私の目をじっと見つめた。
(!)
急に、私は何かが内から湧き上がってくるのを感じた。
だんだんそれは膨れ上がっていく!
抑えきれない! 抑えきれない!
「うっ! うわっ?!」
突然、男が頭を抱えて悲鳴を上げた。
私も、彼同様、悲鳴を上げて暴れた。
私の───私の「チカラ」が、彼によって内から引っ張り出されたのだ。
──バターン!
恐ろしい音がして、私たち二人は箱から放り出された。
「どうしたんだっ?」
外にいた二人の男がびっくりして叫んだ。
「おっ、恐ろしい力だ。この娘はこんな小さな身体で、恐ろしい力を持っている。あやうくこの娘の潜在能力に殺されるところだった…」
私は、それだけ聞くと気を失ってしまった。