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カフェshion物語

『カフェしおん』にて ~詩織の物語

作者: 涼織

詩織の一日の物語です。


 窓から差し込む光を感じて自然と目が覚めた。ほぉ~っと一息つき、もう一度目を瞑る。そのまま想像の世界へと入っていく。何故かこれがとても心地よい。


詩織は子供の頃から、空想するのが大好きだった。そしてそれを物語にして母に聞かせるのだ。そうすると母はいつも楽しそうに聞いてくれた。詩織にはそれが嬉しくてたまらなかったのだ。


だから詩織は小説家になった。と言っても、彼女の名前は誰にも知られていない。そしてこれからも、知られる事は無いだろう。でも詩織は毎日一生懸命書いている。これでも結構忙しいのだ。

えっ、売れてもいないのに忙しい?それは何故かって?

実は、、彼女はゴーストライターなのである。



 詩織の朝は大体決まっている。10時位に起きてそれから散歩に出る。同じコースをゆっくりと30分位かけて歩くと、此処「カフェしおん」に着く。定休日の日曜日を除いて毎日の事だ。


住宅街の隠れ家と呼ばれている「カフェしおん」。外観は木目基調の落ち着いた感じで、周りと良く調和している。


「おはようございます。」挨拶をしていつもと同じ窓際の席に着く。

そこから見える中庭の景色が詩織の大のお気に入りなのだ。今は桜、思う存分咲き誇り、そして、その花弁はひらひらと風に運ばれていく。それを眺めていると、詩織好みの濃いめ珈琲が運ばれてくる。


 先ずはその香りを楽しみ、そしてゆっくり味わって飲む。それから徐に(おもむろに)パソコンに向かう。そう、此処 「カフェしおん」は詩織の書斎でもあるのだ。自然と耳に入ってくる適度な雑音が、かえって心地良い刺激となり仕事が進むのだ。


 今依頼されている小説のテーマが (人のえんと行き違い)

なのだが、、さぁて、どんな物語にしよう?

『取りあえず登場人物を設定してみようかな。』そう思って指を動かし始めたその時、、、新しく入って来た女性2人が隣の席に座った。

親しい友人同士であろうか?直ぐにお喋りが始まった。つい、耳を傾けてしまう。

ふたりの話は共通のある友人についてであった。

「ほら、あのMさん、まぁ良い人なのよ~、いい人なんだけどね~、、」

良く聞くフレーズである。

「あの人、兎に角嫉妬が凄いのよ~、、〇〇〇~~、、。」

話は続いていく。

『んっ!嫉妬?人の縁も壊れるわよね?これって意外に、、。』

心の中でしめしめと思いながら暫く話を聞いてみる事にした。


 ふたりは、友人のMさんの嫉妬にかかわる色々な話を続けた。それを聞きながら詩織は改めて指先を動かし始めた。勝手で申し訳ないが、話に出てきたMさんをイメージし書かせていただく事にした。


 何気ないフレーズから詩織はそれをオリジナル物語へと変えていく。『縁』とは本当に不思議な物だ。ただ隣り合わせただけの『縁』人生に拘る大切な『縁』何処でどんな風に逢えるのか分からないのだから。

『嫉妬』これも誰にでもある感情のうちの一つだ。ただそのせいで大切な『縁』が壊れてしまう事もあると留意すべきであろう。

そんな風に思いながら~(人の縁と行き違い)をテーマとした作品

【心を運ぶ】を完成した。


『よし!出来た~!!!』

隣り合わせた2人に感謝である。


そう、詩織が「カフェしおん」を書斎にしている一番の理由はこれなのである。此処には物語のヒントが無数にあるのだ。勿論、いつでも好きな珈琲が飲める、お腹が空けば美味しいランチがある、それも理由の1つだけれど。




 もし、何気なく立ち寄ったカフェで、隣の人がパソコンを出して何かしていたり、メモしていたり、、そんな場面に出逢ったら、、ちょっと想像してみてください。もしかしたら~あなたが話した内容や、あなた自身の事が、アレンジされて、何処かで別の物語として存在しているのかもしれません。それって、、ちょっぴり不思議で素敵だと思いませんか?










皆さんもこんなカフェ探してみませんか?

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― 新着の感想 ―
[良い点] 毎週末会う知り合いがいます。8年くらいの付き合いなのですが、実はお互い名前も知りません。縁だな~なんて思いながら貴作品を読ませて頂きました。 [気になる点] 人の緑[みどり]てなんじゃらほ…
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