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現代で忍者やってた俺が、召喚された異世界では最低クラスの無職だった  作者: 空地 大乃
第一章 忍者召喚編

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第四十八話 不穏

「まさか、二度も現れるとはな――」


 一人、自室で難しい顔をしているのは、グランガイム帝国の魔導大臣であり、同時に帝国軍魔導師団元帥の座も兼任しているマジェスタ・ランボルギニであった。


 彼は今朝方、いつも通り外の番をさせているマビロギより業務報告を受けていたのだが――その時の様子がおかしく、どこか表情も暗かったので、何か異常がなかったか? と問い詰めたところ、ようやく昨晩の出来事について渋々と語り始めた。


 その正式な報告を受け、マジェスタは頭を抱えた。頭が痛いのはまずマビロギの処遇だった。一度目の時にもかなり厳しくはいったが、実際はそれに関してはそこまで心配はしてなかった。

 

 ある盗賊団について調べさせては見たが、最近の活動範囲を調べても帝都に来ているとは思えず、勿論楽観は出来ないが、多少腕が立つ程度の盗賊まがいの男などそこまで問題視する必要もないと考えていた。


 故に、マビロギにも引き続き森の番を任せた。この件は会議でも報告していたので文句を言ってくるような連中もいたが、マビロギの魔物使いとしての優位性は高い。


 何せ魔物使いの力があれば余計な人員をさくことなく、マビロギ一人で森全体を魔物の力で監視出来るのだ。


 この恩恵はここ帝都においても大きい。だが、二度目の失敗、しかも同じ相手となれば話は別だ。この件は間違いなくグランガイム帝国騎士団元帥アモスが横槍を入れてくることだろう。


 正直魔導師団と騎士団は水と油の関係と言っても良い。勿論戦略上必要であれば互いに協力する事はプロとして当然の事だが――しかしそれでも互いが互いに嫌悪しあっているのは確かだ。


 何せ互いの総大将たる、マジェスタとアモスの仲がそもそも悪い。


 そして騎士は己の培ってきた肉体と技術を誉れとし、魔術士は己が研究してきた魔導と知識こそが至高の産物と信じて疑わない。


 互いの価値観が大きく異なるのである。これでは互いに張り合っていても仕方ないと言えるだろう。


 とは言え――マジェスタは考える。こうなってしまっては、マビロギを外すことは考えられないにしてもアモスが納得するように、騎士も一人つけさせるしかないと。


 その場合、もし三度その賊が現れ、騎士の手で捕らえられた場合、騎士団の手柄となるが――しかしマジェスタには妙な胸騒ぎがあった。


 そもそも、なぜその人物は、二度もあの森に姿を見せたのか? 一度目は盗賊を騙っていたようだが、それであれば帝都に滞在する意味はない。


 そしてもう一つ疑問なのは、どうやらその賊はブルームーンロリアを採取していたらしいという事だ。


 勿論ブルームーンロリアは希少な花である。帝都周辺の森で採取し、他の街に持っていって売るという手も考えられなくはないが――だとしてもリスクが大きすぎる。


 正直、すぐにでも採取されたブルームーンロリアがどう流れているか、調べさせるという方法もあるが――それは色々と面倒な事が多い。


 そもそもブルームーンロリアを原料に作成されるのは貴族が特に愛用している精力剤だ。たかが精力剤と思うものもいるかもしれないが、精力の減退には悩まされている貴族も多く、それを扱っている商会は大きな利益を得ている。

 

 問題はこの商会が帝国でも屈指の大商会であるという点だ。つまり、当然帝国の重鎮とも懇ろな付き合いにあり、そのような商会に安易に情報開示は求められない。


 どうしてもというならそれ相応の理由が必要となるが、現状はその賊がたった一人でどうやらブルームーンロリアを採取していたらしいという事だけだ。


 しかも帝国側は例の異世界からの召喚者が再び(・・)逃げ出すような真似がないよう、マビロギを配置し、夜間出歩くのは例え傭兵であろうと禁じている状況だ。


 つまりこの時点で商会は材料となるブルームーンロリアを手に入れることが出来ず、薬を量産出来ないという不利益を被っている。


 そんな中、危険な夜の森を恐れること無く探索し、材料となるブルームーンロリアを採取してくるなど貴重な人材とも言えるだろう。


 その手の情報をそうそう明かすわけがない。マジェスタはブルームーンロリア方面から当たるのは厳しいかもしれないと考える。


 ならば、ともう一つの可能性を考える。そもそもこの賊が現れた時期が気になるところだ。何せ異世界から連中が召喚されたとほぼ同時に現れているのだ。最初のマビロギの話ではその人物は帝国が異世界からの召喚を試みたという噂を聞きつけてやってきたと話していたという。


 だが、冷静に考えればこれはおかしな話だ。勿論百歩譲って情報がどこかから漏れたという可能性を否定しないわけではないが、やってきたタイミングがまさに召喚されたその日というのはあまりに都合が良すぎる。


 つまり――その人物の正体は、やはり今回召喚された中の誰かであるのではないか? という可能性が捨てきれなくなった。


 ただ、これもやはり不明確な点が多い。先ずそれなら何故一度目で逃げなかったのか? という事。何せその賊もしくは召喚された中の誰かは再度森に現れ、しかも二度目は呑気に花の採取まで行っている。


 そしてもう一つの問題点は、少なくともその賊が現れた時間帯には、全員間違いなく部屋で寝ていたということである。


 これは奴ら一人一人につけている戦闘女中(バトルメイド)の報告からも明らかだ。その上、宮殿から場内にいたるまで要所要所には監視用のマジックアイテムが設置してあり、その上で感知専用魔導師にも交代で見張りをさせている。


 それは宮殿や城周辺だけではなく、防壁と隣接されて建設されている尖塔も一緒であった。

 

 つまり、もしこの監視の目を抜けて外に出ることが出来たとしたら、マジックアイテムにも魔導師の感知魔法にも引っかかること無く抜けられるほどの特殊なスキルを持っているという事になる。

 

 有力なのは気配遮断系だが、しかし帝都の魔導監視網は一流と呼び名の高い盗賊であっても抜けきれない程だ。


 それすらも抜けるなど――マジェスタの頭にアサシという男のクラスが浮かび上がる。

 暗殺者――闇に紛れ、秘密裏にターゲットを殺すことに長けているプロ。


 腕利きの暗殺者は国が一人は抱えておきたい人材だ。異世界からやってきたアサシという男は将来性も高い。しっかり育てば、不穏分子を取り除くのにきっと役立つことだろう。


 だが、それも将来の話だ。今のアサシのステータスはマジェスタも逐一報告を受けているが、この包囲網を完全に突破出来るものでもない。


 そうなると誰が――しかし思いつく相手はいない。


 ただ、一つだけマジェスタが考えた推測。それは相手が誰であれ、マビロギに最初に話していたことが全て嘘ではなかったという事。つまり、召喚された者ではなく召喚そのものに関して調べて回っているのではないか? という可能性だ。


 そうなると――もしかしたらその人物は近いうちに森ではなく、城や宮殿に現れる可能性が高いのではないか? ということだ。


「どちらにしろ――やはり、私が自ら監視の目に加わらなければいけぬか。後はハーミットに更に警戒を強めさせるのと……ゴーストを、動かしておくか」


 そしてそこまで黙考した後、目つきを険しくさせ、そんなことを独りごちるマジェスタであった――


 

 


 

 

◇◆◇ 


「約束通り来たようじゃね」

 

 飯を食べ終え、というか食べさせ、あの小悪党たちも少しだけ鍛えた後、俺は再びババアの店に赴いた。


 ネメアは置いてきた、あいつはこの匂いに耐えられない。


 まあ、子供たちも気に入ったみたいで遊び相手させてるだけなんだが。


 狩りの基本を教えた連中には本気でやる気があるなら傭兵ギルドにいけと言っておいた。かなり張り切っていたからきっと行くだろうな。


 一応分身飛ばしてバーバラへ簡単に事情を説明させた。俺もある程度狩りの仕方を伝えたが、時間があるなら色々教えてやってくれと、そんな感じの内容だ。


 これは勿論、体に直接という意味だ。いやらしい意味じゃなくてな。実際ホーンラビットだけ狩れてもな。


 まあ、ホーンラビットがよく出るところに行かせればいいのだろうけど、それでも他の魔物が全く出現しないとも限らないだろうから、その辺りのやり方は彼女に任せよう。


 さて、俺に関しては当然こっちの方が重要だ。情報を聞かないとな。


「それにしても、お前も随分と厄介な事に首を突っ込んでいるようじゃな」


 そんな俺に、大きな片目で覗き込むように言ってくる。分身の記憶は当然俺にもあるがな。

 それにしてもこの婆さんがね……途中からではあるが、もしかしたらとんだ曲者なんじゃないか? と思ったものだが、そのとおりだったな。


 まさか竜牙兵なんて化け物を用意してるなんてな。とんでもねぇ。


「うん? 何のことかな?」


 とは言え、ここは上手く逸らかす事にする。抜け目のない婆さんだから、下手なこと話すと気づかれそうだしな。


「ま、そういうことを秘密にするのは大事さね。ただ、仮にもレディの様子を覗き見するのは感心しないけどねぇ」


 ……は? おいおいおいおいおい! 何言ってんだよこの婆さん! は? え? 気がついていた? え? 嘘だろおい! ちょっと待て、これはあれだ、ブラフかもしれないしな。

 

 とにかく、俺からそれを聞いちゃ駄目だ。クールに、そうクールにだ。


「い、言ってることが――」

「わからないんじゃろ? まあ、それならそれでいいさね。ただ、何があったかは判ってるんじゃろ? この情報を調べたからさね。つまり、それだけ危険な事に首突っ込もうとしているって事さね。よく肝に銘じておくんじゃな」


 くっ、なんか俺が逆に逸らかされたみたいになったぞ! 何だこれ!


「ま、安心するんじゃな。ババアに判るのは、何か見られている気がするぐらいじゃ。それがどんな手かは知らんさね。さて、これがお前が望んでいた情報だよ」


 そう言って婆さんが俺に紙を二枚手渡してくる。


「その紙は読み終わったらすぐに燃やしな。いつまでも取っておくような馬鹿な真似はするんじゃないよ。大事な情報は頭で記憶するんじゃ」

「ああ、判ってる……」


 俺はそう答えながら、さっとメモに目を通し、そしてすぐに紙を燃やした。


「見事なものじゃな」

「ちょっとした仕掛けだよ。マジックアイテムの力さ」

「そういうことにしておいてあげるさね。さ、必要な情報を手に入れたらとっとと離れるんだね。尤も、ババアの相手をしてくれるというなら話は別じゃがな」

「勘弁してくれ――でも助かったよ。感謝している」

「それなら、感謝の証はこの瓶――」

「じゃあな!」


 俺は手を軽く上げつつ、シュタッと去った。全く、まだ諦めてなかったのかよ――

霧隠れ流忍び豆情報~水遁の巻~

忍術の中では基本忍術とされる中の一つ。印を結び忍気によって水の性質を変化させたり操ったりする。基本的には水がある状況での行使が理想とされ水が多ければ多いほうが効果が高くなる。熟達した忍であれば近くに水がなくても忍気を利用することにより大気中や肉体の水分で代用可能だが、その分忍気の使用量は大幅に増加し命令式も複雑となる。術の特徴としては攻撃以外にも水を利用して相手の動きを封じたり、水人形を作ったり、水の中でも呼吸が可能にしたり、水の上を歩いたり、魚のように自由に泳ぐことが可能になったりなど水場などでは特に汎用性が高い。


妹「お兄ちゃん泳ぎ教えてよ!」

シノブ「よしきた!水遁・魚泳の術!」

妹「わ~い魚のように自由に泳げるよ~流石お兄ちゃん♪」

シノブ(俺、妹に頼りにされてる!)

ミー「ミ~(根本的な解決になってないにゃ……)

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