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第二百二十四話 こういう時の嫌な予感は大体あたる

「一体何の話をされているのですか? 私が海賊にとは一体……」


 これがクリア神父の反応だった。全く邪気の感じられない表情。目が点になっていて何故そんな話になっているのか理解できないと言った様子だ。


「……グリルとペデルから聞いたんだ。あんたが裏で海賊と繋がっていて今晩子どもたちを海賊に引き渡すつもりだってな」

「わ、私がですか? そんな馬鹿な! 大体裏で海賊と繋がっていたならわざわざ子どもたちをここで匿っている意味がないではありませんか」


 クリア神父が答えた。それはもっともな話だ。俺も疑問に思っていたことだ。グリルとペデルは一応は説明してくれていたがそのあたりはボカしていた印象もあった。


 もっともあの二人は陰からクリア神父と海賊が会っていたのを見たと言っていただけだ。それだけなら細かい事情がわからなくても当然だが、やはり違和感はあった。


 だからこそ両対応出来るようしたのだけどな。しかし嫌な方の予感があたったようだな。


「シノビンさん。私は嘘は言っておりません。どうか信じてください」

「ん? あぁそうだな。それはあんたの様子を見てわかった。だから逆に厄介なんだけどな」


 俺がそう答えるとクリア神父が小首を傾げた。


「グリルとペデルは既に子どもたちを連れて外に出た。だがあんたが海賊と繋がっていたのが嘘なら、なぜあの二人はそんな嘘を言ったのかということになるが、そうなると答えは一つだろう?」

「――ッ!?」


 クリア神父が息を飲んだ。どうやら気付いたようだな。


「できれば信じたくなかったがな」

「そ、そんな。つまりあの二人が海賊と繋がっていたと、そういうことなのですか?」


 信じられないと言った顔をする神父。それも仕方ないか。だが、あのペデルの技術――密かに既視感を覚えていた。


 あれは忍者の体術に通ずるものがあったんだ。だけど何故ペデルが?


「とにかく俺は念の為、対応策を用意しておいた。外で仲間が子どもたちを保護しているはずだ、が――」

「どうかしましたか?」


 俺が言葉を濁すとクリア神父が不安そうに聞いてきた。ただここで素直に話しても心配掛けるだろう。


「なんでも無い。とにかく神父はここにいてくれ。あとはこっちで――」

「ギギッ――」

「ギチチッ――」


 奇妙な音が聞こえた。滑りの悪い床で無理やり重たいものを滑らせているような耳障りな音。

  

 見ると部屋の中にわらわらと奇妙な物が入り込んできた。蔦が絡みついて人の姿になったような存在だ。


「な! どうして魔物がここに!?」

「いや。多分これは魔物じゃないな」


 こいつらからは忍気を感じる。つまり忍術によって生み出された生命体ってことだ。この手の物を生み出せるのは木遁の特徴でもある。


「ぐ……こ、こんなものがやってくるなんて――邪悪なる者よ去れ!」


 クリア神父が瓶を取り出し前に出て中身をやってきた化物にぶっかけた。


「ギチググ」

 

 だがそんなものが効くわけがない。そもそも今のが魔物に効くのかもわからないが、水をかけられても全く意に介すことなく蔦の化け物が触手のようなものを伸ばしてきた。


「ヒッ!」

「あんたは下がってろ! 風遁・風刃の術!」


 神父に迫った触手を風の刃で切り裂いた。相手が忍術で生み出された存在である以上、俺が相手するのが一番だろう。


 俺は手早く印を結び次の術に移行する。


「火遁・荒火吹の術!」

「ギギャ!?」


 俺の口から火が噴出し、植物の化物を燃やしていく。木遁で生まれた生物だけあって火に弱いな。


 やってきた植物の化物は黒焦げになって地面に倒れた。


「凄い。こんな魔法が使えるなんて貴方は一体何者なのですか?」

 

 クリア神父が目を丸くさせて俺に聞いてきた。まぁこれは魔法じゃなくて忍術なんだが。


「ま、まぁそれなりに修羅場はくぐってきた、それだけだ」


 とりあえず曖昧に返しておく。さて邪魔は入ったがとにかく急いで――


「「「「「「「「ギギ――ギギチチギギィ」」」」」」」」


 そんなことを思っていたらまた部屋にあの植物がやってきた。それも一匹じゃない、どんどんなだれ込んでくる。


「なっ! こんな、いくら何でも多すぎる……」


 次々と植物の化物が現れるのを見てクリア神父が狼狽えている。確かに数が多すぎるな。だがこの程度なら――


「火遁・火渦陣の術!」


 俺の術で部屋の中で炎の渦がいくつも巻き上がり植物の化物を焼き尽くした。しかしそれでも次から次へと現れる、キリがないな。


 外が気になるところだが暫くは分身に任せるしか無いか――

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