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現代で忍者やってた俺が、召喚された異世界では最低クラスの無職だった  作者: 空地 大乃
第三章 水滸海賊団編

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第二百二十二話 神父からの脱出

「話はわかった。つまりあの神父から逃げ出すために協力すればいいんだな?」

「はい。お兄さんにあの神父を引き付けておいてもらえれば、僕たちはその間に逃げることが出来ます」


 それがペデルの考えた作戦だった。ペデルもグリルもこのままここで過ごして海賊に連れて行かれるのを恐れているようだ。

 

「他の子どもたちはこのことを知ってるのか?」

「ううん。皆神父様のことを慕っているから言いづらくて……」


 俺に答えながらグリルが目を伏せた。確かに子どもたちはクリア神父に良く懐いていた。


 勿論だからこそ決して快適とは言えないだろう地下暮らしでも仲良くやっていけたのだろう。


「説明は慎重にしたいです。ただ何とか日が落ちるころには説得してみせます」

「つまり実行は暗くなってからということか」

「はい。昼間からだと目立ちますから」


 昼は目立つか。実際のところ水滸海賊団には俺と同じ忍者もいるから、日が落ちたから安心ってことはない。

 

 だからといって昼だからいいのかと言えばそんなこともないが。


「それなら予定してる脱出ルートを教えてくれ。俺もチェックしてみたい。奴らと一戦やりあってるから安全かどうかぐらいわかるかもだしな」

「そうですね……ではお願いしていいですか?」


 俺の提案をグリルが受け入れてくれた。なので早速脱出ルートの確認に向かう。


「ここから外に出れます。最初に貴方を助けたのもここからなんですよ」

「なるほどな」


 その場所には木の板が天井に備わっていて、それを上げることで地上に出られるようになっていた。勿論板なのは地下部分のみで地上からはただの地面にしか見えない。


 周囲に気配がないか確認したが今は大丈夫そうだった。それからグリルとペデルには地上に出ないよう告げ、海賊の気配に注意しながら少し見回ってみた。


「武遁――影分身の術」


 俺は印を結び一人の分身を呼び出した。


「――というわけだ。頼んだぜ。俺の記憶通りなら城に行けば会えるはずだ」

「わかったが、こっからバレずに戻るのはしんどそうだな」

「ま、そこは俺の腕を信じるぜ」


 そして分身は近くの屋根に飛び移り城へと向かっていった。


 これでよしと。随分と心配掛けただろうし俺は無事だとしっかり報告しておく必要がある。


 それと今夜のこともある。とは言え基本は俺が何とかしないといけないんだろうが。


「見てきたがとりあえず問題ないかもな。ただ油断はするなよ」

「はい。僕も気配を消して上手く立ち回りますよ」

「援護は任せてねお兄ちゃん」


 仲がいい二人だな。だからこそ何も問題が(・・・)なければいいなと思ってしまうんだが。


 さて一旦戻り俺は適当に子どもたちの相手したりした。その途中でグリルとペデルがそれぞれ何人かの子どもたちと話しているのが見えた。


 雰囲気的に今夜のことを伝えてそうだ。


 そうこうしている間に夕方になり、俺たちは神父や子どもたちと一緒に夕食を食べた。


「ご馳走様でした」

 

 夕食が終わり神父にそう伝えた。子どもたちも食事を終えたがどこか浮かない様子でもあった。


 これは逃げることはしっかり伝わってるか。だからこそ不安もあるのかもしれない。


「――神父様。少し話、いいかな?」

 

 食後クリア神父に話しかけた。ペデルとグリルには目で合図し、二人は子どもたちを連れてその場から離れていった。


「はは、また改まってどうかしましたか?」


 クリア神父は相変わらずの温和な笑みを浮かべて対応してくれた。


 この人の良さそうな顔からは、あの二人が言っていたような裏の顔があるようには感じないが――


「そうだな――あんた子どもたちをこれからどうするつもりだい?」

「子どもたちですか? 勿論このまま保護し、できるなら元の生活に戻して上げたいのですが、この状況ですからそうもいかず、心苦しくも思っております」


 表情に影を落とすクリア神父。これが演技なら大したものだ。忍者になれる素質があるかもしれない。


「本当にそう思ってるのか? 例えばあんた、もしかして俺や子どもたちをあの海賊連中に引き渡そうとか考えていたりするんじゃないのかい」

「――どういうことですかな?」


 俺としては核心を突くような質問をしたつもりだが、この神父の反応は――

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