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やり直したい!この席順、濃すぎじゃないですか?

席替えのドキドキって、大人になると中々味わうことがない感覚ですよね!


しかもくじって不思議で、偶然やデタラメなようでいて、実はすごく意味のあるものになってるのがまたすごいなと思います!

「今日からみんなの担任となった、矢口だ!よろしくな!」



あぁ、懐かしいな。


矢口先生は今の時代には中々いないだろう、生徒と一緒に熱く青春!!みたいな、男の熱血先生だった。


この先生は、よく人見知りでクラスのみんなとどうしていいか分からない私にも、どうした??と相談に乗ってくれてた、面倒見のいい先生だ。


確かこの頃は、娘さんが生まれたばかりの、またまだ幸せ新婚アットホーム真っ最中だったはず。


ほら、顔中から幸せオーラが溢れている。




「今日の1時間目は、新しいクラスにもなったことだし、席替えをしてから自己紹介の時間にしたいと思う!!」


「えぇーーー!!いきなり席替えですか!!」


「今の席は、仲の良いもの同士で座ってる感じが強いからな!せっかくクラス替えしたんだから、新しい友達との交流を深めないとな!!」



そうだった。初日の初っ端から席替えがあったんだ。

あの時は仲のいい子もいなかったし、それほど気にならなかったけど。



「か、佳代ちゃんと離れるなんて・・・・ッ!!」



せっかく再会したのに!!



「いきなり席替えなんて、びっくりだよね。近くの席になれたらいいね、唯ちゃん♪」


「う・・・・うん!うんッ!!!」



またしても私の目からは、止まらない涙の大洪水。


そうか、仲のいい子が近くにいると、席替えとはこんなにも辛いものなのか!


これは、あの時に味わえなかった感覚だ。



「そしたら、席替えのくじは先生が作ってきたから、席の端に座る者から引きに来てくれ!」



あぁ、始まってしまった!


運命のくじ引きタイムがッ!!


クラスの人数は30人。

男女ともに15人ずつだから、佳代ちゃんが前後の席にに来る確率は15分の2。


あ、やべ。これだと数字が割り切れないから、確率が高いのか低いのかよくわからないや。


とにかく、佳代ちゃんの番号の近くでありますように!!

私の青春の為に、どうか女神の降臨を!!




「私、15番だった!!洋子は??」


「あーあ、私は27番だから離れちゃったね〜〜」



あぁ。

あの2人は確か渋谷 洋子と、青山 幸子。


都内の苗字、二人組。

仲も良く、大抵は2人セットで移動中も登下校も一緒だった。


渋谷 洋子はボブの髪型をしており、青山 幸子はショートカットだが、どちらも背も体型も、服装まで似た雰囲気を持つ、血の繋がらない双子として、とても中が良かった。


今日も赤に白の水玉ワンピースを着た幸子に、白に赤のハート型の模様のついたワンピースを着た洋子。

むしろ、一緒に買いに行ってお揃いにしてるんじゃないだろうか?


そして、幸子のワンピースは夢の国の方ではーーーーーー??




「・・・・ちゃん!」


「・・・・・・」


「唯ちゃん!!」


「ハッ!!あ!ごめん、佳代ちゃん、何??」


「何って、唯ちゃんの番だよ!くじ引き!」


「どうした〜〜神野!いきなり居眠りか?」


「!!??」




し、しまった!!


クラスのみんなの視線がこっちに向かって来てる!!


これは辛い!!




「す、すみません!!」




あまりの恥ずかしさに、下を向きながら早歩きで前に出て行き、無言でくじを引いてからダッシュで席に戻ってくる。




「うぅ〜恥ずかしかった!」


「すごいね!唯ちゃん!今ので、みんなが唯ちゃんの名前を覚えたよ、きっと♪」


「か、佳代ちゃん・・・!!」



私の心のオアシス・佳代ちゃん。

あなたのその優しい心に何度も救われた私ですが、どうせならもっと違う覚えられ方をしたかったです。



「みんな自分の番号が分かったところで、これが新しい席順だ!!」



バンッ!



と矢口先生が新しい席順がチョークで書かれた黒板を叩く。




「自分の席を確認できたら、それぞれ移動するように!!」


「!!??」




し、しまった!私の番号は??


握りしめていたくじに書かれた番号は7番。


おぉ〜〜ラッキーセブン!!


私の席は、左から三列目の前から3番目!


ゲッ!!まさかのど真ん中じゃん!!




「か、佳代ちゃんは何番ッ!?」


「私は8番だよ〜〜♪」




わぉ!末広がり!


って、この番号順はアトランダムになってるから、続き番号でも意味がない。




「か、佳代ちゃんの席はッ・・・?!」




なんと、私の前だった!


ブラボーーー!!




「すごいね!ほんとに近くになったね♪」


「・・・・・・かみ、さま!」




ありがとうございます!!


これだけで、私の青春時代は天国です!!




「うぅ!佳代ちゃん!!これからも末長く、よろしくね!!」


「すえ・・・?う、うん!よろしくね!」



またも号泣しながら、佳代ちゃんの両手をひとしきり握ってブンブンと振りながら、私は感動に浸っていた。



「おい!!バカゆい!!さっさと移動しろ!!このノロマッ!!」


「・・・・・は、ハーーイ」



どこからともなく響いたろっちゃんのお怒りの叫びで、再び私の元にクラスメート全員の視線が注がれる。


中には冷たい視線もゴロゴロと。


あぁ・・・・そんなキツイ目線でみないで!


子ども故の、純粋なその視線はキツイ!


矢口先生は、友達のことをバカと言ってはダメだぞ!とかなんとか、ろっちゃんに伝えているが、本人は全く聞いてない。




「唯ちゃん、一緒に向こうの席に行こう♪」


「うん!!」




はぁ。

クラスメート全員が佳代ちゃんだったら、どれだけ平和なことだろうか。


ガタガタと、懐かしさいっぱいの勉強机を真ん中のニューマイプレイスまで運んでいく。


前の人の傷や落書きがたっぷりの、歴史と思い出に詰まった机だ。



「あ、神野さん、君が僕の隣なんだね!ヨロシク!」


「あ、うん、ヨロシ・・・・ッ!?」




ま、まさか、女神の次は神降臨ッ!!



爽やかな笑顔で、声変わり前の少年特有の少し高めだが、それでも女子とは違う響きを持った耳によく通る明るい声。


黒髪の茶髪の間くらいの、深い焦げ茶色の直毛の髪の毛は、無造作ながらもまるでセットされ尽くしたような、ナチュラルパーフェクト!


スラッとした高い背と、誰もが心を奪われる可愛くもかっこいい爽やかな笑顔!!


こ、これはリアル風○くんッ!!!


おぉーーーーキラキラオーラが眩しい!!



「僕、加藤大地!去年は違うクラスだったから、会うのは初めてだよね?」


「・・・・う、うん」




嘘です!

確かにあの頃も会うのは初めてだったけど、2組にスーパーかっこいい男子がいると、別クラスでも有名でしたよ、あなた!


それはもう、恋愛に興味なかった私ですら名前を覚えるくらいに!



「ヨロシクな!」


「・・・・へ??あ、はい」



なんだろか?

このイケメン爽やかな小学生は??


ナチュラルに今手をつながれて、さらにギュッと握手されましたよ。


あれ??

前の時こんなだったっけ??


いや、間違いなくこの人私の初恋の人なんですけどね。


自分の中身がアラサーのせいか、カッコいい小学生だなとは思うものの、想像したようなときめきはなかった。


なんか今見ると、爽やか過ぎて、末恐ろしい小学生だな〜〜なんて。

いや、こう見えてしまうのは私がひねくれてるからだな、きっと。



「あら、加藤くん。あなたもそこだったの??ヨロシクね」


「あ、綾野!そういえば、また一緒のクラスだったな。あぁ、ヨロシクな!」


「・・・・・」




この、私の後ろの席に移動してきた気の強そうな女の子は綾野 沙夜香。


猫のようにつり上がった大きな目をしている、将来確実に美人さんになるだろう、クラスでも男子から人気が高かった女子だ。


当時も勉強が出来て、スポーツも万能、顔も美人と、パーフェクトな感じが同じくパーフェクトな加藤くんとまさにお似合い!!と、クラスのみんなから言われていた。


気は強いが意地悪女子ではなく、1人で過ごす私にも声をかけてくれていた、実は面倒見の良い姉御肌の大人っぽい雰囲気を持つ女の子。




「あ、綾野さん!!あの時は本当にありがとね!!」



ニッコリ!!



「ちょっ、ちょっと!なんで私とあなたが手をつながなきゃいけないの?!ちょっと、良い加減手を離して!」


「あ、ごめん!つい!」


「へ、変な人ね!」




今回は、綾野さんとも仲良くなれたらいいな♪

あの時は、女子として憧れてるだけで、自分からは話しかけられなかったけど、今ならもう少し近づけるかもしれない。


ラッキーなことに、席も後ろだ!



「なぁ〜〜に、ヘラヘラしてんだ!このバカゆい!!」


「ろ、ろっちゃんッ!?」



まさかの、加藤くんの後ろで綾野さんの隣は君ですかッ!!


確かに、同じクラスになってから加藤くんとろっちゃんは仲良くなってよく話してたかも。

タイプ的に反対な気がするのにって、女子がよく話してたっけ。




「ハハ・・・よ、よろしくね」


「ケッ!誰がお前によろしくなんてされたいかよ!!」


「さよですか」




前には女神、隣には王子様。後ろにはクラスのマドンナに、斜め後ろにはガキ大将。


いやぁーーーーーーこれは濃いですね!





わがままかもしれませんが。


もう少し平和的なスタートの方が嬉しかったですよ、神様。




「席が移動できたら、自己紹介を始めるからな!!それぞれ、名前と好きなことを答えるように!」




矢口先生のよく通る声が、クラス中に響き渡った。




好きなことか。

さて、何を話しましょうか?

ちょっとずつクラスメートを増やしていきたいですが、私が把握仕切れるかが心配なところです。


30人もの子ども達一人一人を把握して、個性をつかんだ上でアプローチしていく小学生の先生は、本当に素晴らしいですよね!

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