やり直したい!それなら、友達を作りたい!
昔はクラス数も多くて、クラス替えをすると全然知らない人とクラスが一緒になることも多くて。
クラス替え自体にドキドキしたものですが。
今はクラス替えがない学校も増えてるようですね。子どもの頃には一大イベントだったので、ないのは少し残念な気もします。
「おはよ〜!!」
「おはよ!!」
教室のいたるところから、朝の挨拶が鳴り響く。クラス替えのお知らせを確認し、私の新しいクラスは3年4組。
あら、そういえばあの『ちび○るこちゃん」と同じだったんだね!
あぁ〜〜目に入る子、入る子が名前があやふやで本当に申し訳ないけど、顔はなんとなく覚えてる気がする。
とりあえず、最初は適当に座っていいらしいとのことで、私は教室の一番端の列の一番後ろに座った。
なぜかって??
だってここなら後ろを気にすることなく、全体が見えるじゃありませんか!
背後から来られるのは緊張するから、苦手。
しかし、すごいなぁ〜〜リアル小学生!
今の小学生と違って、なんかみんな普通さ?いや、いい意味での素朴さが残ってる感じがする。
でも、そうだよね。
確かこの時代はまだ携帯とかな買ったもんね。
「おはよ〜〜!ねぇ、隣の席に座ってもいいかな??」
「・・・・うん。って、か、佳代ちゃん!!」
「え??そうだけど、前に会ったこと会ったっけ?」
やだ!まさか初っ端からあの佳代ちゃんに会えるなんて!
人見知り時代、友達が中々出来ない私の唯一できた心の友!心のオアシス!
今でも大好きな、アイラブな我が親友よ!!
あなたのおかげで、私の学生時代は優しい気持ちの溢れる時間が過ごせました!
仕事をお互いに始めてから、中々会えなくなってしまって、実はすごく寂しかった。
「うん!私たち、ずっと友達だったじゃない!!」
「そ、そうだっけ??」
がしぃ!!と、佳代ちゃんの両手をしっかり自分の両手で握りしめると、私は涙を大量に流しながらその手をブンブンと上下に振って、勝手な再会の感動に浸っていた。
「よ、よく分からないけど、これからよろしくね♪」
「う、うん!!よろしくぅぅ〜〜!!」
穏やかで優しく、少しポッチャリ体型を本人は気にしているものの、女の子らしい柔らかな雰囲気の彼女が私は今でも大好きだ!
料理や裁縫が趣味で、彼女の持ってる淡い色でできた小さな花や鳥のアップリケがついた、可愛い手さげのカバンやペンケースは彼女の手作り作品。
うん、この頃から、なんて女の子らしいの♪
「そういえば、あなたの名前は??」
「うぅっ・・・うぅぅっ!佳代ちゃん!わ、私は神野唯ですぅ」
「そしたら、唯ちゃんだね♪私は遠藤佳代。よろしく!」
「か、佳代ちゃん!なんて女神〜〜!」
私にはキラキラしたオーラが見えるよ!
「めがみって、ゆいちゃんっておもしろいね♪」
「うぅっ・・・よく言われるうぅ!」
神様ありがとうございます!
もう、この再会だけでも十分に私の心は潤った!
「何来てそうそうに泣いてんだよ!!このバカゆいっ!!」
バコッ!!
「あいたっ!!」
前の女神だけに意識を集中していたら、真横からの刺客にまさかの遭遇!!
丸めた教科書を手にもって胸の前で組み、顔には幼いながらも眉間にしわを寄せた、背が低い小柄な少年。
頭には確実に怒りマークがついてそうな、怒りの感情がストレートに顔に出た、黙っていれば可愛いその顔は!!
「ろ、ろっちゃんっ!!!」
あぁ、なんて懐かしい!!
「てめぇが大声を出してうるせぇから、注意しに来てやったんだろ!ありがたく思えよ!バカ唯!!」
幼稚園が同じクラスで、その時から小柄で小さい体を同じ男子からからかわれ続けたろっちゃんこと、六角剛くん。
彼はからかわれた相手に反撃を繰り返すうちに、ケンカがどんどん強くなり、学校内でも有名な不良として名をはせていくのだ。
中学が別の場所になってからは全然会えておらず、彼がその後どうなっているのか、生きているのかすらも分からない関係だった。
「ご、ごめん!あぁ、殴られることさえも懐かしい♪」
「な、なんだよ、その変な顔は!気持ちわりぃーーーな!!」
変な奴!!とまた同じような感想を言われながら、ろっちゃんは自分の席に逃げるようにさっていく。
どれだけ変といわれようが、嬉しいんだからしょうがない。
「ゆ、唯ちゃんってば、あの六角くんと知り合いなの??」
「あ、うん。幼稚園が一緒なんだ♪」
そういえば、佳代ちゃんとろっちゃんはクラスが一・二年生の時は別々で、会うのは初めてだったっけ。
「六角くん、すごいケンカが強いんでしょう??私のクラスにも噂になってたよ」
「うーーん。ケンカが強いだけで、根っからの悪じゃないんだけどね」
「そうなんだ〜なんだかすごいね、唯ちゃん」
「???」
と言っても、昔の私も新しいクラスで人見知りが激しくなってだんだん関わらなくなってしまってから、ほとんど会話をしなくなってしまったんだけど。
今ならまだ幼稚園の時とさほど変わっていないはずだ!
うん。今なら、人見知りもだいぶ変わったし、緊張しないでみんなと仲良くなれるかもしれないな。
よし!
せっかくやり直せるなら、友達をたくさん作ろう!!
キーーンコーーーン、カーーンコーーン
私の決意とともに、チャイムが鳴る。
いよいよ、ホームルームのスタートだ!
小学校の時の記憶って、本当に一部分しか自分の中ではなくて、人の名前もほとんど覚えておらず。
もっと印象的な思い出の残るよう、いろんなことを思いっきりチャレンジしたらよかったと思います。