世界のみんなへ。生きた。
今日の始まりが、夜の死を告げる。死者を想い、死者を弔え。ぼくが死を呼び寄せたようだ。死が見える。死が近くなり、遠くの天国にいつもぼくがいた、あの夢の景色が、グロッケンシュピーゲルの音が糸を夢に刻んでいく。その死は執拗に繰り返される世界の葬儀屋を招き、国民がない国家、死者がない墓場、そして夢がない永遠の睡眠がさあ、ここに来ておい出なよ、というような、そんな感覚だった。
死を知るには、沈みゆく国家が崩落した、その皇帝陛下の処刑を、ぼくは見ていた。
その永すぎた悲劇に弔いを、讃歌を歌え、そして生きていた伝説を語るには、時間が足りない。
どれくらい足りないかはよくわからない。ただ、死も生も一緒になって幻視の帝国が架空の国家を創り上げるとき、ぼく自身が文字によって記された存在の変換だった。
ぼくは生の存在を永遠に保証されている。
そして、死は来ない。それは怖いんだ。眠る日は来ない。
朝がやってきたその今日の飾りの存在変換、神官があがめたてまつる。
皇帝陛下とお会いしたその朝に、皇帝との情報が記載された。
本の容量は無限だから、ぼくは存在の存在を壊すことがない。
生きた、生きた、そして、生きた。
これを墓碑銘にしたい。
じゃあね。またどこかで会おうよ。約束しよう。
――世界のみんなにね――