不老不死への第一歩 覚醒する日本人
自由気ままに書きます。
必ず完結するまで書くので、どうぞ最後までお楽しみください。
西暦2700年、日本人研究家の山田一はとあるウイルスの製作に成功した。
その名も「ローボウイルス」。このウイルスは、人間が求めてきた不老不死を実現させる第一歩となるウイルスだった。
このウイルスが体内に吸収されると、脳が急発達し、記憶力や学習能力が大幅に成長した。また、体の体調管理も必要ない体となり、どんな病原菌だろうと殺菌してみせた。しかし、このウイルスには問題点がある。それは、ウイルスが人間の寿命を、40歳まで縮めてしまうということだ。健康的な肉体、努力など必要ないほどの学習能力、そして並外れた身体能力と引き換えに、40歳で強制終了される人生となってしまうのだ。
実際に実験として、1人の産まれたての赤子に、ウイルスを投入した。その結果、赤子は2歳の頃には日本語を完璧に話せるようになった。そして、4歳の頃には高校生と同レベルの学習を理解した。学習能力だけではなく、5歳の頃には身長169㎝となり、他の子供と圧倒的な差をつけた。その後も、順風満帆な人生を歩み、そして40歳の時、まるでセミの抜け殻であるかのように、パッタリと倒れて息を引き取った。
この実験結果が世に発表されると、日本人の約4割が、ローボウイルスの投入を希望した。残りの6割は、リスクを犯してまで生きたくないだとか、胡散臭くて信用できないだとか、散々に山田氏を虐げた。
だがしかし、実際にウイルスを投入した者の変わり様を見て、ローボウイルスが誕生してから140年ほど経った頃には、日本人全員が、産まれた直後にローボウイルスの投入を命じられるようになった。
ローボウイルスを投入してからというもの、国際的な立場においても日本に敵う国はおらず、日本の独占的な世界へと発展していった。中には、ローボウイルスを譲ってほしいと願う国もあったが、日本は決して譲りはしなかった。
そうして、日本が権力を握って数年が経った頃、ローボウイルス投入者の中で「異端者」と呼ばれる者が出てきた。健康的な肉体、学習能力や身体能力は他の人と変わらない。だが、その異端者達は、さらに特別な「何か」を持っていたのだ。
その異端者は日本で5人ほど発見されている。この物語は、その異端者のうちの1人、多田野 仁花を中心として、進めていくとしよう。
ローボウイルス…皆さんは欲しいですか?