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魔族と人間2
「シゼル様」
そこにシゼルの側近デルタがやってきた
「どうした?」
デルタはシーアの方を一瞥するとすぐにシゼルに視線を戻した
デルタの視線の訳を悟り慌てて腰を浮かせるシーアを今度は力強く掴むとデルタに先を促した
咳払いをし、明らかに不服そうな顔をしている
「サーテイルの川が氾濫しそうだと報告がきいています」
川が氾濫、事態軽くはない
「サーテイルか、わかった、俺が行こう、シーア俺が帰って来るまで外に出るな。」
(サーテイル、確か一番街に近い川で大きい川だよね、あの川が氾濫したら)
「シーア?聞いているのか?」
まったく聞いていなかったとは言えない、
「えっ、うん、はい」
訝しげな視線を向けシゼルは早足で歩き去って行く
「いつまでいるのか知りませんけど、早く人間界に帰ったらどうです?」
デルタの嫌味が部屋に一人残るシーアに響いた