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~屋上で~ 1
「スキ」
真夏の屋上。
ボクは告白を受けていた。
「ゴメン、僕そういうの嫌やから」
即答で、ストレートに伝える。
ボクは人を好きになった事がない。というか好きになるという気持ちがわからない。
無償の愛とか、純粋な気持ちとか、信じるだけ無駄だと思う。
「お試しでいいから、付き合ってっ」
相手の女はしつこく粘る。
こういう時は絶対に相手の女は諦めないだろう。
「本当に、お試しでいいんか?」
お試しで付き合ってその時にまた断ればいい。そうしたらこの女も諦めてくれることだろう。
というのがボクの考えだった。
「付き合ってくれるん?」
「そっちが良ければな。但し、1か月だけやぞ。その間に僕が君の事を好きになったら正式に付き合 うって事でええか?」
「うんっ。頑張るな!よろしく、晴喜君」
「こちらこそよろしくな、進藤」
とりあえず、ボクらはお試しという期間限定で付き合うことになった。