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9.☆ 破天荒遊戯

 それってさ、

 理不尽ってもんじゃない?



                      破天荒遊戯


 どぐわぉんッ

「江崎シンイチ、今日はグラウンド200周勝負よ!」

 謹んで遠慮申し上げます。

 昨日は3時間耐久鬼ごっこ、一昨日は両手DE腕相撲、その前はもう忘れた。

 勝ちゃあ怒るし(そりゃもう烈火の如く)負けりゃあ怒る。(わざとね!とかって)一体どうしろと。

「シンイチ…いつもの子」

「聞こえてる、あれだけ声でかいんだしよ」

「うん…、でもね、ほらシンイチが行かなきゃテコでも動かないよ、あの子」

 むしろテコ持って来い。

 おろおろしてるカヅキには申し訳ないけど、俺もうヤだから。

 誰か俺はポスト幟堂なんかじゃねぇって言って下さい。

 

 麻川サキとは、初対面からすっげえインパクトだった。ディープ・インパクトだった。地球が滅ぶくらい。


 がしゃばきっ

『江崎シンイチってどいつ!?』

『(ドア壊れ…ッ)お、俺だけど』

『あんたねポスト幟堂!成敗!!!』

『は?俺別にポスト幟堂とかじゃ』

 ドカッ

『ふン、言い逃れようったって無駄よ。お天道様が見てなくてもこの私の目が見てるんだから!』

『(こ、こいつ右足蹴りあがった)な、なんなんだてめェ』

『麻川サキ!未来のヒットラーよ!』


 ヒットラーかよ、じゃあ俺フランシスコ・ザビエルで。

 っじゃなくて!(一人のりツッコミ)

 入学式の日に新入生代表あいさつやってたヤツだって後から知った。俺は立ったまま寝てたからそのあたりはよく知らねェんだ。

 誰が言ったか知らないけど(いやあいつしかいねェけど)俺はポスト幟堂じゃない。

「お邪魔するわよ鵺尹カヅキ」

「あ、はいどうぞ」

 てめェは人のクラスにずかずか入ってくんな。そしてカヅキ、お前はいそいそ椅子用意してんじゃねェ。

 回想にふけってる間に勝手にクラスにはいってきた麻川は、あたりを見まわしてふんと鼻を鳴らした。

「シけたクラスね!」

「なんだと!?」

 反応を示したのは俺じゃなくてその他多数の男子。

「てめー1年のくせに、女だからって容赦はしないぜ!」

「シけてるのをシけてるっていって何が悪いのよ。江崎がいるからこのクラスみずとりぞうさん何個あっても足らないくらいシけてんじゃない!」

 そっちかィ。

 男共の目が一斉にこっちを向いた。

「コイツさえいなければこのクラスは見違えるようによくなるわ!だからコイツ私に貸しなさいちょっとあーするから」

 あーするってどーするんだ。

 ツッコミをする間もなく両脇をガッチリ掴まれて麻川の方に突き出された。

 ヲイ、とそいつ等の目を見ると、「すまん、売る」と書いてあった。

 ふぅん、いい度胸だよね。

 ねェ、後で久々に体育館裏行こうか。大和魂シめなおしてあげるよ。

 あぁカヅキ、そんな心配そうにしなくても大丈夫(多分)(きっと)だから。

 今日はギリギリタッチの差で負けてみるよ。

 だからその間に俺をポスト幟堂って言った犯人見つけ出しといてもらえる?

 あいつしかいないんだけどね。


 教室を出るとき奇妙に凹んだドアを見た。

 さっきの変な音、ドア空けるときの音だったのか。

 ってかキミの体どーなってるの?鉄人2●号ですか?

「麻川、お前握力何?」

「あんたに教える義務もなけりゃ義理もないわ!」

 あーそうですか。(怒)

 校庭に引かれた白いスタートラインが見えてくる。

 これから200周か…かったりぃな…。



 ※試合語談※

「やっぱりあんたわざと負けたわね!?」

「なんでそーなんだよ、ギリギリタッチの差で俺の負けだろ!」

「問答無用。私がわざとっつったらわざとなのよ!」

「(…無茶苦茶…)」

「明日はバトルロワイヤルドッヂだから!」

 …エンドレス。





彼女の体力は底知れないですが、

彼は仮にも紋高の中田なので、

持久力は底知れないのです。



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