2.だけどそれはまだ、秘密。 β
なんで走っているかって?
自由な鳥になりたいからさ!
だけどそれはまだ、秘密。
そんなステキな理由はない。
走ったりしなくたって、頭は常に大空を旅してマス。
じゃあなんで走っているかって?
そりゃあキミ、生物の条件反射。
「藤宮カオル!待てゴルァァァァァ!!!」
追われているからです。
あぁまるで俺達トムと○ェリー(ばればれ伏字)。なんの偶然か追う古文教師の名は黒猫ツトム。
「センセー、こういう場合待ちませんから普通」
「(無視)これで通算35回目のサボりだ。なのになんだお前のテスト、カンニングか!?」
「(うわシカトかよ)先生ひどいや!生徒を疑うなんて」
「疑わしきは真っ黒。鳴かぬなら脅して鳴かせろホトトギス。これが俺のモットーだ!」
「そんな人生つまんないでしょうに…。だからフられるんですよ」
「黙れ」
結局2時間耐久隠れ鬼の末に俺はトムにつかまり、生徒指導室に連行された。
通いなれたそこに待っているのはマイ・スゥィート・ハニィ☆あぁまるで俺健気な通い妻。
「藤宮ッ!」
ドアを空けたら案の定、身長180cmの俺を睨むように見上げてくる小学生男子。もとい俺の担任。
そうざす、泣きそうな顔でこっちを睨みつけるシュガー☆ボーイ(死語)は佐藤アオイと言う名前の担任です。男です。
そうだよ男だよ、今俺がぞっこんの男だよ!なな、何が悪いか、いいだろ可愛いんだしYO!(一人逆ギレ)
「お前今回で古文のサボり何回目だッ」
「センセが泣かした女の数」
「そんなにたくさんの人と付き合ってねェ!」
「じゃあセンセを泣かした男の数」
「そっちの趣味もねェ!」
うわズバっと。ちょっと俺傷ついたよ。でもゴメン涙目で怒鳴んないで俺健康な思春期男子コーコーセーだから。(変態め)
「大体お前こんなんでどーするつもりだよ。卒業後の進路は?」
「うちのラーメン屋継ぐー」
「数学できなきゃ困るだろ」
「足し算引き算できれば十分。ダメならデキる子お嫁にもらう」
できる子。
目の前にいんじゃん俺。
「センセ、うちに嫁にこない?」
「俺ラーメン嫌い」
そっちかァァァァァ!(ガーン)
「チャ、チャーハンは?」
「好き!食いたい!」
むしろあなたを喰いたいです。(消え去れ)
「あー、でもダメだなぁ。日本は同性結婚認められてねーし」
認められてたらいいんですか。
それなら俺今から森総理に会ってくるぜ!あれ、今の総理って森だっけ。クリントンだっけ。
「俺もヤだし」
さらっと付け加えるなァァァァァ!!!(ガィーン)
「そうかー、親継ぐのかー。じゃあなんでもっと上手くやんねーの?俺無駄骨じゃん」
それは俺がセンセを好きだから、
長い時間ヒトリジメしたいんですョ。
言ってやりたいけどまだいわねー。
今のところはまだ“手のかかる生徒”でいてやるよ。
だから、覚悟してあがれ。
いつか絶対奪ってやる。
ちょっとしたヲトメのような、好きな子をいじめるガキ大将のような気持。
俺の中でしめるセンセの割合とか、好きだって事実。
今はまだ、俺の特A級の秘密。
ほんとは言ってやりたいけど、
だけどそれはまだ、秘密。
後から考えると無茶苦茶で、
噴出さずにはいられないけど、
この時はそれが一生懸命だった。
理屈じゃないんだ、この感情。