15.そんな2人の人間関係
「よぅ、失恋星の王子様」
「なんだよそれ俺は星の王子様かってーの。大体象飲み込んだツクダニとかありえねーし」
「あれ、あれってウワバミじゃなかったっけ?少なくともツクダニじゃあないョ」
「うるさいなぁ」
「ほぉ?(コーヒーを取り出す)いらないんだね、そうだよねキミは強いオトコノコだもんね失恋の1つや2つや5つ8つで凹まないよね心配した私がバカだった」
「スミマセン下さい」
「240円ね」
「は?」
「あんたのと私の。あんたのオゴリ」
「鬼!」
「なんとでもー。失恋星のおじぃ様はカネモチでしょうに」
「今おじぃ様っつったよね、鬼」
「耳鼻科行け(にっこり)」
「スミマセンボクノカンチガイデシタ(棒読み)」
「そうだろうとも」
「…なぁ」
「何」
「なんで俺フられんの?」
「そりゃあんたサッカーバカのくせに江崎にはいつも勝てなくて服のセンスも悪いしオンチだしアホでバカだし映画行きゃ爆睡するし無駄にメンクイだしアホでバカだし鈍いしケチだしドジで間抜けでアホでバカだし」
「ストップ!アホでバカって今3回言った。ってか刺さる、だいぶ痛いから!」
「そりゃ事実を刺さるよーに言ってるんだもんさ。あとはまぁ、むこうに見る目がなかったんでしょ」
「そう思ってもいいんでスか」
「いきがるなよ童貞。オクテ過ぎてつまんねェんだよ」
「痛−−−ッ!今のは刺さった、刺さった!」
「そりゃ刺さるように言ってるもんさ」
「(涙出てきたZe…)」
「あー泣くな泣くな。いややっぱ泣け」
「どっちだよ。じゃなくて俺泣かないから」
「ばーか。溜めるより垂れ流せ。排泄物とおんなじだよ、便秘になりたくなきゃ今のうちにすっきりしとき」
「お前、本当に女?」
「生物学上一応は。心は男になりたい」
「願望かよ」
「夢を捕まえたやつより追ってるやつの方が時に力を発揮するものなの」
「そーでスか」
「そーですよ」
「…なぁ」
「何」
「なんで俺が失恋するたび慰めてくれるわけ?」
「なぐさめてる?」
「いやあんまり」
「だよね」
「でも結果的にはすっきりしてる」
「ならよかったじゃん」
「まぁいいんだけどさ。なんで?」
「あんたがフられると気持いいからです」
「うわひっど!ちょっと自分がモテるからってお前」
「違うよばか」
「違うって」
「あんたがフられるのが嬉しいのは別に「やーいいい気味童貞お前にゃレベル高すぎなんだよ」って思うからだけじゃないのサ」
「だけじゃないってことはちょっとは「いい気味」って思ってるのかよ」
「ま・ね。だって私モテるし?」
「うわ自分で。じゃあ何でなんだよ」
「…」
「…」
「…」
「…」
「…好きですよ。私はあんたが好きなんです」
「…知ってましたっつか気付いてました。ゴメンナサイ」
「はン、あんたが気付いてるって事ぐらいしってましたよ」
「(エスパー…!?)」
「ま、意気揚揚とラブレター持って教室出ていくのを見るのはさすがに辛かったですけれども」
「す、スミマセン」
「いえいえ」
「…あのさ」
「何」
「結局俺たちってどーいう関係なわけ」
「幼馴染以上恋人未満」
「微妙…。お前それでいいわけ?」
「そりゃ不満は色々あるけど今の関係って割と好きです」
「ふーん、そうなんだ」
「そうなんですョ」
「…」
「…」
「…帰りましょ」
「そうですね」
「何かオゴります」
「それってデートのお誘いですか」
「どうでしょう」
「…好きですよ」
「知ってます」
そんな2人の人間関係
ずるい男と健気な女。
わかっているけど
でも、すきで。