12.★ あのひとのフルネーム。中‐B
何やってるのかわかってるのあんた達。
あのひとのフルネーム。中‐B
靴箱に軟禁錠かけとくべきだった。
靴が出せない。
とりあえず手前の方から崩して、上履きを発掘する。
うん、あのさ、
靴箱にケーキを入れる精神、疑ってもいい?
恐らく朝一番に来て俺の上履きの上に置いておいたのだろうケーキは、詰め込まれたプレゼントによって潰されて上履きが生クリームまみれになっていた。
イジメだろうかとちょっと疑ってみる。
しょうがないので保健室のスリッパを借りた。
ぺたぺたというヌけた音がするスリッパは、走りにくい。
いっそ裸足になろうか。
「麻川くーんっ、待ってェ!このプレゼントを受け取って−−−!!!」
いらないから。
朝ヤツを使って蹴散らした人たちは復活したらしく、教室に行くまでにかなりの大群になった。
さすがに教室に入るのはためらわれるらしく、ドアの周りに集結している。
すこぶる通行の邪魔だ。
「・・・」
引き出しに軟禁錠かけとくべきだった。
うんあのね、きみたちからのプレゼント程度のものなら自力で買えるから。(にっこり)
「携帯まであるし…」
誕生日を祝ってもらえるのは幸せなことかもしれないけれど、
頼むからかさばるものをどかどかよこさないで欲しい。
「おめでとう」だけで十分だ。
1時間目終了後に見に行った靴箱(ほっとくとすぐ溜まって靴箱が壊れかねない。来年は軟禁錠買っとこう)は、誰かによって開けられていてプレゼントが雪崩れたまま放置されていた。
イヤガラセかとちょっと疑ってみた。
仕方なく拾って教室に持って帰ったけれど、その間中痛いほどの視線を感じた。多分プレゼント渡すタイミング狙ってる人たち。
ドアの前にたかっている人たちを押しのけて、プレゼントをロッカー(これは元から鍵つき)に詰め込もうと開けたら、あるはずのない(だって鍵ついてる)プレゼントが雪崩てきた。
「…」
ねェあんたたち、これって犯罪じゃないの?
多分誰かが合鍵作りあがったんだろう。
今度、薗緒(麻川家のおつき。年齢不詳の男)にロッカーの鍵付け替えさせよう。指紋で照合するヤツに。
多分、ヤツは今日が俺の誕生日だと言うことを知らない。
まぁ教えてないし、俺もヤツの誕生日を知らない。
別にプレゼントが欲しいわけじゃないけど。
「アキー、相変わらずモテモテだNe☆」
レイがにやにやしながら肩に腕を回してきた。廊下の人たちから盛大なブーイング。どうでもいいけどブーイングって豚の鳴き声+現在進行形らしいよ、知ってた?(廊下の人たちへ必殺流し目)
まぁレイだってまがりなりにも女だ。俺は女とは思ってないけど生物学上一応は女だ。
ヤキモチの対象にも一応なれるんだろう。
「で、白石の姿が見えないけど肝心の彼はどこに?」
「自分のクラスじゃない」
「え、プレゼントもらってないの?」
「もらってない」
「あ、帰りにもらうんだ!いーねェらぶらぶV」
「一緒に帰る約束なんてしてないから」
「えっと、どういう事?」
「誕生日教えてないって事」
「はーぁ!?」
だめじゃん!とかって喚き散らすレイをほっといて、俺は窓から空を見た。
今日は、17年前に俺が生まれた日だ。
ヤツに教えたら、祝ってくれたのだろうか。
結局ヤツは放課後まで来なくて、今日1日で溜まり溜まったプレゼントはダンボール8箱分になった。持ち運び考えてるのあんたたち。
しょーがないので本家に電話をして薗緒に車を出してもらう。ついでに鍵の付け替えも頼んだ。
なんとなくまだヤツがこないかと思っていると馬鹿らしくなって、家に帰ろうと思って玄関で靴をはいた。
玄関から出た瞬間に、ばさっと何かが大量に降ってきた。
「花…?」
しかもそこらへんに咲いてるよーな花。つまり雑草。
玄関の庇を見上げるとヤツがそこに仁王立ちしていて、「いたずら完了」とでもいいたげに泥だらけの顔で笑って言った。
「ハッピィバースディ、麻川アキ氏!フラワーシャワーのプレゼントだZe☆」
1人が考えていることは、世界で約100人が考えていることだという。
けど、
こんだけ集めといて花束にしないあたりとか、
実は花がついてないただの草も混じってるあたりとか、
多くても5人ぐらいしか考えないだろう。
まぁ、とどのつまり、
非常にヤツらしいと思った。
やたらめったら一部の方に期待されているので、人気ランキングを掲載してみたり。
人気キャラランキング
一位 御帥セン
二位 麻川サキ
三位 幟堂リナ
人気ストーリーランキング
一位 春のツェルニー・上
二位 春のツェルニー・下
三位 I think・アイ ウォント・あ ばーど
本編の主人公たち、ことごとく返り討ちに合っています。どーだよその辺。
ぶっちゃけKは鵺尹カヅキくんが大好きです。(ヲイ)
(ちなみにこれは、ファンレター(作者へなどから)を奇跡的にいただけたときに「○○が好き!」と書いてあれば、それを一票として数えております。ストーリーも同じく)