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1.★ I think・アイ ウォント・あ ばーど

5月の突き抜けるような青空に

トリップしてみたいって思わないかい?



               I think・アイ ウォント・あ ばーど


「たっけー」

 背中でガシャンとフェンスが鳴く。

 まだ夏じゃねえのにじめじめしたこの暑さ、お天道様は気が早いね!気が早い男はモテないZe☆(消え去れ)

 足元には俺の足1つと半分くらいのコンクリの足場。そのむこーにはじわじわ熱を発する波だたねェ黒コンクリの海。

 温度が上がってくそこにダイブすんのは勘弁だけど、

「サファイアみてェな空だなあって俺ポエマー?」

 正しい日本語使えねー男子コーコーセーがパチポエマーになるくらい青い空にトリップすんのは悪くない。

 べつに自殺願望なんてねーけどさ。

 でも死ぬ直前に見るのが5月の青空なんつーのは、青春クさくていいと思う。

「飛んでみっか?」

 やったらぜってー死ぬけどよ。

 あ、遺書とか書いてねーや。ま、いっか、残すモンなんて俺の全財産53万4029円(貯金込み)と森田さん二号ママチャリとマイルームくれぇだし。

「そいでは、いざ」

 こんな簡単に自殺できるなんて、お手軽な世の中だなー。もうオサラバだけどサ。

 足場のコンクリのふちに足をかける。待って上がれ五月晴れ。



 ガチャン


「何やってんの」



 タイミングよく邪魔してくれたのは、両手ポケットに突っ込んで仏頂面にフチなし眼鏡で黒髪のユート―セーくん。

「ナイスタイミング君は今ひとつの貴い命を救ったよ」

 しかし今は5限目ですョユートーセくんが何やってんのさ。

「自習になったから昼寝でもしようかと思って」

「エスパーかお前!?」

「そんな暑い所にいるから頭沸いた?全部口から出てるよ」

「…」

 おい俺。しっかりしろよ。

 ユートーセーくんはフェンスのむこう側の俺の右隣に座って背中を預けて、ポケットから何かひっぱりだした。タバコの箱2つくっつけたくらいのサイズの。

「いちごカフェオレ…」

 好きなんかなぁ。

「人の好みに口出しするなんて趣味悪いねというよりも外見で人を判断するなんてナンセンスだよね。そう思わない?」

「スミマセン…」

 いたたまれない気持になるのは何故でしょう。(さぁね)

 ってかユートーセーくんどこで息継ぎしてんの。なんですかあなたは素潜りの名人ですか、海女ですか。俺も熱海で7年くらいの修行積んだらできるようになりますか。

「海女じゃないから。ってかアンタは無理だと思う」

「…」

 また口から漏れてたのか。口チャックでも買うべきか。どらえモぉぉぉン。

「で、アンタは?自殺志願者?」

「いえいえ、青空トリップ志願者です」

「頭いつもトリップしてんだから必要ないじゃん。アンタのクラス5限目数学でしょ?でなくていいわけ」

「うわ失礼。そういうユートーセーくんのクラスは」

「自習ってさっき言ったよね?(にっこり)」

「ス、スミマセン」

 体を反転させてユートーセーくんを見ると、こっち見ないでいちごカフェオレを飲んでいるその顔に、雲が影を落としてる。

「なんで自殺?」

 ストローをくわえたまま唇を動かしてるくせに、その発音は嫌にはっきりしてた。

「トリップですョ」

「なんでトリップ?」

「なんとなく」

 日常の中に渦巻く欲望は、ときたま抑えられないことがある。どろっともれたその行き先が青空トリップ。

「生きてる意味ってあんのかなーと思って、なんとなく死んでみようかと」

「自殺にありがちな理由だねつまんないよ」

「失礼な」

 ぢゅるると音をさせて全部飲み終わったユートーセーくんは、ストローから口を離してにやっと笑った。


「なんとなく死ねるんならなんとなく生きてみれば?白石ユウヤ」


 ユートーセーくん・麻川アキのその策略家じみた屈託のない(矛盾)笑顔は、青空ダイブより青春クさかった。

 何より俺の名前を知っていたコトが驚きだけど、まぁおもしろいからいいか。(いいのか(いいんだよ))


「麻川アキくん」

「(名前知ってたのか)何」

「責任とってくださいね」

「いいけど別に」


 青空にトリップすんのは、も少し先になりそうだ。


 初めまして。特別連載を意識しているわけではありませんが、ルーズリーフに徒然書いた青春コードを投稿させていただきます。

 アキとユウヤの微妙な掛け合い(は?)と恋の駆け引き(はぁ?)をどうぞ作者ともども温かく見守っていただけると嬉しいです。

 まだまだわからないことだらけなので、御指導御鞭撻のほど、どうぞよろしくお願いします。

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