桜島出発
私達は半日で桜島を観光し、その後それぞれの職場の人々に挨拶をして夕方ごろにキャンピングカーに戻ると厄飼さんが待っていた。
「皆さん、桜島は充分観光出来ましたか?」
「はい、色々とありがとうございました」
「いえいえこちらこそ、色々と迷惑をかけてしまいました。そのお詫びにと言っては何ですがこれを」
そう言って厄飼さんは一冊の本と地図を手渡した。
「これは、、、車の修理本ですか?」
「はい。車の修理の仕方とアレンジの仕方が色々載っています。その地図に示した車屋に行ってそこでこの本の通りに修理をしてください」
「何から何までありがとうございます」
「大したことないですよ。他に何か必要なものはありますか?」
「いえ大丈夫です」
「そうですかでは今バリケードを開きますので、開いたら即時に出発してください」
「はい分かりました」
そう言って私達はキャンピングカーに乗り込んだ。
「いやーなんかこの感じ久しぶりだね」
「たった一日しか経ってないのにね」
「珍しくここではゾンビとの戦いにならなかったな」
「まぁそれはいいことじゃないか」
『皆さーんバリケードが開きました。皆さんお元気で』
「ありがとうございましたー」
焔が代表してお礼を言って私達は直ぐに桜島を出て行ったのだった。
「あいつら、行ったのか?」
「おい、お前!黙れ。まだ近くにいるかもしれねぇ。とりあえず今日明日は大人しくしてるぞ。明後日以降は平常運転だけどな」
「「「了解です。ボス」」」
私達はある程度桜島から離れたらタイヤに負担をかけないため蒼雷が浮遊運転を開始した。
「車屋ってどの辺だ?」
「こっから北北東に向かって真っ直ぐのとこにある」
「このペースなら十分もあれば着くね」
「そんじゃ今日はとりあえずその車屋に泊まって、明日修理しよう」
「このキャンピングカーにはお世話になってるからな」
「綺麗にしてやらねぇと」
「せっかくだし色々改造したいよね」
「ゾンビに囲まれても大丈夫なように頑丈にはしたいよね」
「私はシャワーだけじゃなくて浴槽も付けたいなぁ」
「天井の上に露天風呂みたいにするのはありかもな」
「それすっごいオシャレじゃん。やろうよ」
「そんなの車屋に置いてあんのか?」
「そう言えばだけど、私達このキャンピングカーに前に名前付けたことあったよね?」
「あーそんなことしたことがあっような無かったような」
「何て名前だっけ?」
「覚えとらん」
「俺も」
「光も」
「じゃあ改めて明日名前を付けようよ」
「いいなぁそれ。いい感じのロゴとかあるかもだし」
「お前ら〜忘れんなよ。これ一応他人の物なんだから」
「え?」
「そう言えばそうやったな」
「ならさ車屋なら新しいキャンピングカーあるんじゃない?」
「確かに」
「でもそれも窃盗と変わんないし何より、このキャンピングカーの持ち主がゾンビから人間に戻ったらキャンピングカーは鹿児島にありまーすって言われたらどんな気持ちになるよ」
「あーそれは確かに」
「おっ、見えてきたぞ」
「あ、ほんとだ結構デカいね」
「これなら別のキャンピングカーもありそうだな」
「とりあえず近くに着地して今日は休もうよ」
「観光で疲れたしね」
「じゃあそろそろ夕飯の支度するね」
こうして今日はみんなでどんな改造をしようか話し合いながら過ごしたのだった。




