さよなら安全地帯
私達が瀬戸大橋に向かうと既にほとんど車は居なかった。
「もうみんな出ていったんだ」
「もしかして残ってるのって私達だけ?」
「そうかもね」
「じゃあ俺らもさっさと出るか」
そして私達が瀬戸大橋を越えると、元々バリケードがあった場所に一台の自衛隊の車が止まっていた。
「あれってもしかして」
その車に近づくと中から朱里さんが出てきた。
「みんなやっと来たね」
「いやー少しのんびりしてたので」
「朱里さんは私達のこと待っててくれたんですか?」
「それもあるけどやっとさっき全部の作業が終わって私も出発出来るようになったところなの」
「そう言えば、朱里さんって政府の人達と一緒に行くんじゃないんですか?」
「最初はその予定だったんだけど、元は私は自衛隊だからね。自衛隊の仲間と共に行くことにしてんだ」
忘れがちだったけど朱里さんはただの自衛隊のちょびっと上の方ってだけの人なんだった。
「私達はこのまま東に進もうと思うわ。みんな結局どこへ?」
「光達は九州に行こうってことになったんです」
「元々ここに入る前に行こうって話してたもんな」
「そうなんだ。ここから出た人は大抵東日本へ向かったよ。ここから出来るだけ離れるために」
「確かに普通ならそれが良いと思いますよね」
「まぁ向こうも向こうで危険だけどね」
「だからどれだけの人が生き残れるか分からないけど、少なくともみんなは大丈夫そうだね」
「俺らがゾンビになるようなことがあれば大抵の人が生き残れねぇよな」
「だよな。まぁ今のとこ脅威になりそうな奴は深海に沈んでるし」
「多分私達は大丈夫です」
「そうよね。だったらお別れの言葉じゃ無い方が良いかもね」
「そうですね」
「朱里さん達も自衛隊ですもんね」
「じゃあそう言うことだから」
「「「「「「またいつか」」」」」」
そうして朱里さんは自衛隊の車に戻って行きそのまま出発していった。
「さぁて俺らも行くか」
私達も九州に向けて出発した。
その日は少し移動したところで休んだ。
次の日、、、
「さぁて本日から長い長い目的のない旅が始まります」
「いぇい!」
「そこでわたくし焔からこの長旅にピッタリな企画を用意いたしました」
「おぉー!」
「その企画とは、、、」
「ドルウルルルルルジャン」
「みんなの冒険譚英雄譚を聞こうの会!」
「イェーーイ!」
まぁた焔と光だけで盛り上がってるよ。
「まだ良いんじゃない?この前、私達自分の起きた出来事とか何も話してないの気付いたし」
「私もみんなの過去の話気になる」
「俺は語ることは何も無いけど、みんなの戦闘記録は気になるな」
「ってなわけで早速俺らの過去編の始まりだー!」
「で、順番はどうやって決めるの?」
「それは勿論投票と、、、」
「ゲーム大会で決めるに決まってるだろ」
やっぱりか
「でも今回は俺が決めたら不公平になるから」
なんか嫌な予感が
「今回は草乃に任せようと思いまーす」
「やっぱり、そうなるかぁ」
「さてさて草乃さーん。どんな企画にするんですか?」
んーどうしよっかなぁ、、、、あっ、
「じゃあオリジナル将棋なんてどう?」
「オリジナル将棋?」
「うん。ルールは基本の将棋と一緒だけど、何か一つの駒を選んで、その駒の成った先の動き方を自由に選べるって言う将棋」
「ふーん、まぁまぁおもろそうじゃん」
「それでトーナメント形式でやるってことだね?」
「いや、どうせなら四人同時にやるよ」
「は?」
「どうやって四人同時にやるの?」
「確かショッピングモールの時に四人で出来る将棋盤みたいなのあったはずなんだよね」
「それが俺のストレージに入ってると」
「うん。ってなわけで早速やってみよーう」
こうしてみんなの過去編の順番を賭けたオリジナル四人将棋が始まるのだった。




