頂上(での)決戦
「な、なーんだ。ゾンビか皆んなならさっさと倒して終わりでしょ」
「草乃違うんだ。ここのゾンビは少なくとも一回いや、多いやつなら三、四回殺されて復活してるやつらだ」
「えっ、何で」
「多分ここで生き残った奴がゾンビを殺しながら生きながらえていてそのせいでまぁまぁゾンビが強くなっちゃってるってことだと思う」
「しかも、運の悪いことに謎に登山レースなんてやったせいで皆んな疲れちゃってるし」
流石に勇者でも魔法少女でも特殊部隊員でも超能力者でも富士山を速攻で登ったら疲弊するに決まっている。
「まぁでもあのゾンビ達が直ぐに攻めてこないのが幸いだな」
「もしかして身体能力と一緒に知能も高くなったんかな」
「とりあえずさっさと倒して休憩してここを離れようぜ」
「皆んな戦えるくらい力残ってんなら逃げればいいんじゃん」
「今直ぐ逃げたらせっかく登山した意味ないじゃんか」
「えぇー、そう言う問題なの?」
「そういう問題。ってなわけで皆んなやるよ」
「そうだな。異世界での戦いに比べりゃ、こんなんピンチですらないな」
「光も異形との戦いの方が厳しかったなぁ」
「私も潜入作戦とかしてる時の方が危険だったし」
「なんか皆んなが語ってる隙に抜け駆けさせてもらうぜ」
そう言いながら蒼雷が先陣を切って何体かゾンビを富士山の頂上から投げ落とした。
「あっ、ちょ蒼雷、ヒーローが変身したり、喋ってる間は攻撃禁止って習わなかったの」
「それは悪役の掟だろ。ヒーローが喋ってる間にヒーローの仲間が攻撃しちゃあいけないってルールはないだろう」
なんかわざわざ待ってあげたのに別のやつから不意打ちされるとかゾンビも可哀想だなぁ。
「よーし、俺も【ライトソードモードファイアー】【レフトソードモードサンダー】」
焔はいつのまにかストレージから出していた双剣に炎と雷を纏わせていた。
「一気に行くぜー!」
焔は叫びながらゾンビの大群に突撃していった。
焔の右側のゾンビは炎が燃え広がり、左側のゾンビには電気が感電していっていた。
「さぁて私たちもやろっか光」
「そうだね、ルートル!へーんしん」
「武装展開!」
沙莉と光も変身を終えてゾンビに突撃していった。
「さてと、私は今のうちにキャンピングカーに戻って富士山の頂上で景色を見ながら食べるのに相応しいお昼ご飯でも作ろっかなぁと」
そんな呑気なことを思いながらキャンピングカーに戻ろうとすると
「草乃!後ろ!」
「えっ?」
沙莉に言われて振り返ってみると、眼前にゾンビが迫ってきていた。
「きゃっ!」
驚いて私は転んでしまった。
「大丈夫?草乃」
声の方を見るとゾンビはおらず光が立っていた。
「ありがとう光」
「どういたしまして。それにしても何で草乃のところにゾンビがいたんだ?」
ゾンビは全部光達が倒してるはずなのに。
「ただ単純に倒しきれてなかったみたいだぜ。ほら」
焔がそういうと次々とゾンビが起き上がってきた。
「ははっ、流石にこのレベルのゾンビ達は直ぐに死んではくれねぇか」
「そうみたいだね。皆んなもう少し本気を出さないといけなそうかも」
「そろそろ個人個人での戦闘をやめて共闘といこうじゃないか」
「皆んな俺の足引っ張んなよ」
「それはこっちのセリフだよ」
なんやかんやで今回も大丈夫そうだなぁと思い、のんびりと昼飯何にしようかなぁと考える私なのであった。




