作戦開始
作戦前日には特に何も起きずにのんびりと過ごした。
そうして作戦当日の朝。
「ほら、光、焔、起きて」
作戦本番だと言うのに光と焔は寝坊していた。
「はぁ、ダメやなぁこいつら」
蒼雷が二人を無理矢理布団から引きずり出してやっと二人は起きた。
「ふわぁあ、まだ寝てていいでしょ」
「何を言ってんだお前ら、もう皆んな集合し始めてんだよ、早くしろ」
光と焔の準備が出来た私たちは早足で校庭に向かった。
「さて、そろそろ皆さん集まりましたね。ではこれより移住作戦を決行致します!」
「「おぉー!」」
「まず初めに投石部隊が近くのゾンビを一気に排除します。その後皆さんでバスに乗り込み点呼を取り出発します。何か質問等ある人は居ますか?」
誰も質問はしなかった。
「では投石部隊、ゾンビの掃討に入ります」
「「おぉ!」」
バス回収作戦の時は私たちしか使えなかったこの投石武器も副校長先生を始めとして二十人ほどが使えるようになっていた。
「よし、投石開始!」
副校長先生の合図と共に皆んなが一斉にゾンビに投石を始めた。
流石にこの周辺のゾンビは一度光が倒してるので一撃で倒すことは無理だったが二、三回撃ち抜けば、ゾンビは動かなくなっていった。
「よし、順調に倒せているな。今のすきに皆さん、バスへ乗り込んでください」
作戦は予定通り進んでいき周囲のゾンビがほとんど排除され、投石部隊以外の人達は皆んなバスに乗り込んでいた。
「よし、乗り込み完了だ。投石部隊もバスに乗り込め」
「待って下さい!バットを持ったゾンビがバスの進路の中央に突っ立っています!」
「バットを持ったゾンビ?!それってもしかして」
「はい、多分あれは鎌瀬先生のゾンビだと思います」
皆んながざわめきだした。
だがその時副校長先生は動じずに判断した。
「皆さん、先にバスに乗っていて下さい。あのゾンビは私が倒します」
そう言って副校長先生は投石武器を思いっきり振り回し始めた。
「鎌瀬先生助けてあげられなくてすみません。せめて私自身の手で」
そのまま思いっきり投石をした。
皆、複雑な感情が入り混じっていたが副校長先生の行動に影響され、皆んな鎌瀬先生の最後を見守っていた。
カキーン!
「えっ?」
鎌瀬先生のゾンビを貫くはずの石は体には当たらずゾンビが思いっきり振ったバットに当たった。
「っ!まずい皆んな投石に気をつ」
その瞬間ゾンビが打った石が副校長先生の頭を貫いた。
「副校長先生ー!」
皆んなが副校長先生の元へ駆け寄った。
「ダメだ即死だ」
頭を貫かれた副校長先生は絶命してしまっていた。
「あぁ、副校長先生無しでこれからどうしたら」
皆んな絶望してしまった。
今までは副校長先生が色々と指揮をとってくれていたおかげで色々なことが上手いっていたがその副校長先生がいなくなってしまったら、もうどうすることも出来ない。
「皆さん!こんなところで絶望していることなんて副校長先生は望んでいませんよね?」
沙莉がいきなり話し始めた。
「それもそうだ。俺もあの副校長先生とは仲良くさせてもらったけど、あの人はこんなとこで絶望なんかする人ではなかったです」
焔もそれに続いた。
「そうだな、皆んな!ここで諦めてちゃあダメだ。作戦続行するぞ!」
「おぉ!」
「やるか!」
「諦めてたまるか」
沙莉と焔のおかげで皆んな持ち直したようだ。
普段はこの二人はそんなこと言わないんだろうけど、副校長先生に影響されてるみたいだね。
「だが続行するったってあのゾンビをどうにかしないと」
それもそうだやる気が戻ったからと言ってあのゾンビを倒す方法が見つかるわけじゃない。
あのゾンビをどうにかしないと作戦が一向に進まないのだ。
「大丈夫です。そこは私たちに任せて下さい」
ちょっ、えっ、沙莉!?大丈夫なのかな。
「私たちがゾンビを惹きつけてあの場所から遠ざかっているうちに皆さんがバスで脱出して下さい」
「で、でも君たちはどうやって抜け出すんだ?」
「私たちには秘策があるんです。皆さんがいると巻き込んでしまうかもしれないのでお見せすることは出来ませんけど。ね?皆んな」
なるほどそういうことね。
「そうだな」
「確かにあれは危険だね」
「でもまぁあいつを倒すにはそれしかないんじゃない?」
「それが一番最善な手だね」
「ってなわけでバスの護衛は任せましたよ」
「今は君たちの秘策とやらを頼る他ないか。よし、それで行こう。この五人以外のやつはバス出発の準備をしろ」
そうして私たち五人以外の人達は皆んなバスに乗った。
「ふぅー、これで久々に本気が出せるね」
「本気だしたらあのゾンビも一発KOだろうな」
「じゃあさっさと終わらせますか」
「「「「おぉー!」」」」




