作戦前々夜
皆んなが言葉を失っていると副校長先生が口を開いた。
「私たちがバス探しに難航しているといきなり突然、ゾンビの大群に襲われましたね。その場はなんとか凌いだのですが、休憩のために入った建物内でゾンビに奇襲されて、、、」
「そうだったんですね」
冷静に考えてゾンビの大群をどうにか出来たの凄いな。
「その後鎌瀬先生が「私はもう助からないと思うのでさっさと逃げて下さい、私がゾンビになる前に早く!」と言ったので私はその言葉通りにここへ戻ってきました。このバスはここへ戻ってくる途中に拾ったものです」
それを聞いた皆んなの表情は少し悔しそうな顔をしていた。
多分みんな自分達がそこに居れば犠牲はなかったのにと思ってるんだと思う。
怪しまれるかもしれないからという理由で能力を隠し、結果そのせいで自分の知り合いを失ってしまったのだ。
いくらまだ一週間程の付き合いとは言え皆んな知ってる人がゾンビになるのは受け入れ難いものだから。
「鎌瀬先生のことは残念だが、ここで我々が立ち止まっていては意味がない。とりあえずこのバスにもガソリンを入れて掃除をし学校へ戻りましょう」
副校長先生は冷静に指示を出した。
本来、副校長先生は私たちの誰よりも鎌瀬先生の死が辛いはずなのに、周りを気にかけている。
やっぱりこの人は凄いなぁ。
そうして、私たちは作業を終え、学校へ戻った。
そしてその夜
「なぁそろそろ俺らの能力のこと話した方がいいんじゃないか?」
焔がそう切り出した。
今は部屋を抜け出してキャンピングカーの中で話し合っている。
「そうだよね、犠牲者も出ちゃったんだし、隠してたらまた誰かが死ぬかもしれないし」
「それに四国へ行く作戦も今の戦力じゃ足りないだろうし」
「でもなさぁ今更能力明かしたら、なんで最初から言わなかったんだって批判されるよ、絶対に」
蒼雷の言うことも一理ある。
「それもそうなんだよねぇ」
「どうするべきかなぁ」
その後も話し合いは進展せずとりあえずこのままと言うことになった。
そしてその後も四国避難計画は進んでいき、明後日には出発すると言うところまできていた。
「よし、今日の作業は終わりです。明後日には出発するので明日はゆっくり休んでください。では解散」
「いやー、今日の作業も疲れたなぁ」
「荷物をバスに積む為にわざわざ荷物を持ってハシゴを上り下りしなきゃならなかったもんな」
「疲れたし皆んなシャワー行こうよ」
「さんせーい」
いよいよ明後日は移住作戦本番。
ここまで約三週間。皆んな能力を隠しながら頑張ってきた。
絶対に四国の安全地帯に行くんだから。
「草乃ー!シャワー行くよー!」
「あっ、はーい」




