避難訓練
「んー」
「草乃さん、そこは3倍角の公式を使うと良いですよ」
「あーなるほど。確かに」
「蒼雷、そこはwhichじゃなくてthatだよ」
「んー、ああぁー!もうやってらんねぇ」
現在私達は奈美さんが用意してくれた問題集を解いてる。
因みに沙莉はこの程度だと余裕なので教える側に回っている。
「さて、皆さんそろそろ休憩がてら夕食にしましょうか」
「ふぅ〜疲れた」
「き、休憩?ってことは夕飯後もやるってこと?」
「そりゃそうだよ。だってまだ2時間もやってないよ」
「だるだるだる」
「もう夕食は出来てるのか?」
「いえ、今から子ども達の分も含めて作ります」
「じゃあ私もやります」
「お願いします草乃さん」
「それじゃあ私達は完成するまで続きやろっか」
「よーし、たまには俺も料理手伝うわ」
「光も」
「俺もやろっかなぁ」
「絶対みんな勉強したくないだけでしょ。はぁ、私も手伝うよ」
そうして結局みんなで夕飯を作ったのだった。
その後私達は夕飯を食べ終えキャンピングカーに戻った。
「ねぇ~。ひまー。なんかしよー」
「それじゃあ久しぶりに大富豪麻雀人生ゲームでもする?」
「あのクソゲーだけは絶対やらん」
私達がそんな呑気に雑談している時だった。
『避難訓練避難訓練。正面門からゾンビの大群襲来。至急裏側門付近へ避難してください』
「あーこれって宮沢さんが言ってたやつじゃない?」
「そう言えば言ってたね」
「んじゃ俺等もちゃっちゃと避難しますか」
「そうだね」
まぁ本番の時は避難するの私だけなんだろうけど。
「でも私達、子ども達の避難手伝いに行った方が良いんじゃない?」
「確かに」
「でもそれだと正面門の方向に向かうことになるぞ?他の人達から色々勘違いされちまうんじゃねぇか?」
「それもそっか」
「まぁ今回は本番じゃないし、とりあえず俺等は普通に避難しようぜ」
「そうやって避難訓練を本番のようにやらないと痛い目見るよ」
「光達が避難しようとしてる時点で本番想定じゃないじゃん」
「確かに」
と言うことで私達は余計なキャンピングカーを一度しまって、いつもの1台に乗って避難場所へと向かった。
「呑気に話してたけど案外みんな来てないね」
「まぁ俺等のいた場所は正面門から遠いからな」
暫く待っていると段々と他の人達も集まってきた。
「みんな結構真剣な顔してるね」
「避難訓練とはいえ呑気にしてるのは私達だけだね」
「いつも通りいつも通り」
『えー皆さん集まりましたでしょうか。今回の避難訓練は正面門想定でしたが避難時間は約15分。これなら充分ゾンビから逃げれるでしょう』
「あの人誰?」
「さぁ?」
『ですが本番は門を突破された場合この敷地の外へ出なくてはなりません。現状その想定の訓練はすることが出来ませんが、みなさん自分達の使う避難用車には必ず水や食料、日用品を積んでおいてください』
「光達には歩く保管庫あるから大丈夫だね」
「人をトラックの荷台みたいに言うな」
『では今回の訓練はここまでとします。皆さん解散』
その言葉を聞いて、周りの人達はぞろぞろと住宅エリアの方へ戻っていった。
「さて、私達も戻る?」
「周りの人達が行ってからで良いでしょ。混んじゃうし」
「それじゃあ暇つぶしにゲームでもしてようぜ」
「そうだな」
そうして私達は周りの人達が全員居なくなった後もゲームをし続けたのだった。
そしてそれに気づいてみんな気まずそうにしながらキャンピングカーを発進させたのだった。




