仙台基地
私達は昼過ぎに朱里さん達がいるであろう仙台基地の近くへ到着していた。
「光、ここらへん?」
「うん」
暫く移動していると、明らかにそれらしい建物を見つけた。
「ここだよ」
「見りゃ分かる」
「そんじゃどうやって入ろっか」
「うーん。この周りにはゾンビもいないし、入り口らしき場所から普通に声かけて入れば良いんじゃない?」
「なんか問題起きても朱里さんがどうにかしてくれるよ」
私達は取りあえず入り口らしき門へ行った。
「さぁて、来たはいいものの誰もいないのか」
近くには自衛隊も住民もゾンビも居なかった。
「あのーごめんくださーい」
「ごめんくださーい」
「二人して言わなくていいから」
焔と光が外に出て呼びかけると、
『少々お待ち下さーい』
奥の方から返事が帰ってきた。
「やっぱ声かけて正解だったな」
「どうなんだか」
待つこと数分、5人程の自衛隊員がやってきた。
「お待たせ致しました。周囲の安全確認が取れたので門を開きます。門が開き次第、中へお入り下さい」
「りょーかいでーす」
「早く焔と光戻ってきて」
「はいはーい」
焔と光が乗り込み扉を閉めると同時に門が開門した。
『では中へお入り下さい』
沙莉はゆっくりキャンピングカーを発進させて中に入っていった。
『ではここで一度止めて下さい』
私達が入って暫くしたところでキャンピングカーを駐車した。
「取りあえず一度ここで、みなさんがゾンビに感染していないことを確認するため、降りてきて下さい」
勿論、私達の身体は何も問題は無かった。
「ご協力ありがとうございました」
「では改めて、みなさん仙台基地へようこそ」
「私達は仙台基地所属の自衛隊員で私は入り口担当リーダーの室瀬浩一と申します」
「私達は香川の安全地帯からやってきました。私が沙莉でこっちが順番に焔、草乃、光、蒼雷です」
「もしかしてみなさん高校生ですか?」
「はい。そうですけど」
「高井隊員、すぐに連絡を」
「了解です」
「どうしたんですか?」
「みなさんのことを待っている自衛隊員が1人いましてね。その人に連絡をしているんです」
「その人ってもしかして」
「みなさん、相手が直接話したいそうなので変わっていただけますか?」
高井さんが私達に通信機を渡してきた。
「もしもし沙莉です」
『沙莉ちゃん久しぶり〜』
「やっぱり朱里さんだったんですね」
『今、そっちに向かうからもう少し待っててね〜』
「了解です」
沙莉はそのまま電話を切った。
「朱里さんこっちに向かってるって」
「やはりみなさん知り合いだったんですね」
「はい。でもどうして気づいたんですか?」
「それは水野隊員が『キャンピングカーに乗った高校生5人組が来たら私に連絡をして下さい』って言ってたんですよ。そもそもこんな状況で生きててここに来る人なんて少ないですし、ましてや高校生5人組なんてそうそういませんからね」
そりゃそう。普段なら高校生5人組なんてそこら中にいるけどこの状況ならほとんどいないっていうか私達しかいないんじゃないかな?
「私達もまさか本当に来るとは思って無かったですよ」
「あはは、運が良かったんですよ」
そんなこんなしていると、奥の方からものすごいスピードで走ってくる人影が見えた。
「あ、朱里さーん」
私が呼びかけると朱里さんは手を振ってきた。
そうしてそのまま勢いよく私達の所へやってきた。
「草乃ちゃん達久しぶり〜。やっぱり生きてたんだね」
「朱里さんこそ。よく無事でしたね」
室瀬さんが少し首を傾げている。
普通逆だもんね。
「さっ、取りあえず入り口じゃなくて中の方へ入ろっか」
「では水野隊員。この5名の誘導お願い致します」
「了解致しました。ではみなさん付いてきて下さい」
朱里さんは周りに他の人がいたのにオフの状態で話してるのに気づいて、急に仕事モードになった。
「それするくらいなら朱里さんがこのキャンピングカー運転してった方が良いんじゃない?」
「確かにそうですね。では中に入らせていただきます」
こうして私達はキャンピングカーの中に乗り込んで朱里さんが運転を始めた。
「あれ?そう言えばキャンピングカー変わった?」
「あーそれはちょ〜っと色々あって買い替えたんですよ」
「買い替えたというか盗んでるけどな」
「元のやつもそうだけどね」
「みんないつも通りだね〜。見た感じ旅を満喫してきたみたいだね」
「そうだな。プール行ったり、城行ったり、アイドルやったり」
「あっ、そうだ。焔あれだして」
「そうだったな。【ストレージ】」
焔がストレージの中から手紙を出した。
「それは?」
「これは旅の途中で朱里さんのご両親とあって」
「え!?お母さんとお父さんに!?」
「でも、、、」
私はそこでの一件を話した。
「そっか。お母さんは元々病気だったし、そんなお母さんにお父さんは元々相当気にかけてたし」
「私達もなんとかしようとしたんですけど」
「ううん。大丈夫。みんなのその気持ちで充分だから」
「それじゃあ手紙は朱里さんの荷物のところに置いておきますね」
「うんありがと。さっそろそろ住宅エリアにつくよ。奈美さんや瑠美さんも待ってるよ」
こうして私達は久々の再会を果たすのだった。
久々って言っても一ヶ月も経ってないけど。




