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六花さんを探そう

私達が外に出た頃には、既に多くのファンの人達が外を探し回っていた。


「こんだけの人数で探し回ってるのにまだ見つかってないの?」


「相当離れちゃったのか?」


「もしかして光達のキャンピングカーに乗ってちゃった?」


「いや、一昨日3人が練習始めた後にストレージにしまったから、それはないと思う」


「あと可能性があるとしたら、ゾンビが沢山いる場所?」


「何故に?」


「いや、そもそもいないと思うけど、ファンの人達が見落とすと言うか、探せない場所はそこくらいでしょ」


「確かに。近くにゾンビがたむろってる場所は、、、」


「って言われてもなぁ。案外この辺ゾンビそんなにいないんだよなぁ」


「近くにゾンビが全然いない?」


「あぁ。俺らが裁縫道具取りに行った時も、大してゾンビいなかったし」


「そもそもゾンビが沢山いたらファンの人達が物資探しに行けてないだろ」


「それもそうだよね」


「んーと言うことはもしかして、会場内とか周辺で湧いたゾンビを隔離してる場所があるんじゃない?」


「それはあるかもね」


「でもそんな場所俺等も知らないぞ」


「私達も」


「光が走り回って見つけるのは」


「こんだけ周りに人がいると流石に危険だよ。それに密閉空間に閉じ込められてたら光でも分かんないし」


「うーん」


私達が悩んでいる時に、会場内から海斗さんが出て来た。


「焔さんに蒼雷さん。それにもしかしてプランアリアの新メンバーの3人ですか?」


え?なんでこの人そのことを


「あ、海斗さんちょうど良いところに」


焔達と知り合いってことはもしかして、焔と蒼雷と一緒に裁縫道具取りに行ってくれた人なのかな


「海斗さん。ゾンビを隔離してる場所ってありますか?」


「ど、どうして急にそんなことを」


「んーえーっと。プランアリアのリーダーがそこにいるかもしれないんです」


「まぁあるにはあるんだけど。あのりっちゃ、いえ六花さんがそんなところに行くとは思えませんけど」


一応衣装とか作ってるけどこの人、根っからのファンなんだなぁ。


「まぁそれは一旦置いといて、それはどこに?」


「たしか、この建物の裏にある鉄塔を囲う檻の中に隔離していたと思いますよ」


「ありがとうございます」


「よし、行くか」


「で、でもそこは危険だから近づかない方が」


「あーそれは大丈夫でーす」


私達のことを心配してくれた海斗さんを置いて、私達はゾンビの隔離場所へ向かっていった。




ゾンビの隔離場所近くへ向かうと、檻の目の前で座り込んでいる六花さんがいた。


「やっぱり。私達の予想通りだね」


「六花さーん」


「ん、え?!な、なんで草乃ちゃん達が?!」


見つかると思ってなかったのか六花さんは相当驚いている。


「それはこっちのセリフですよ。もうすぐライブの時間なのに全然帰って来ないんですから」


「みんな総出で探してますよ」


「そっかもうそんな時間だったのね。戻らないと」


六花さんは立ち上がって会場へ戻ろうとした。


「六花さん、なんでこんな危険な場所に来ていたんですか?」


その足取りがなんだか不安定だったので私は思わず聞いてしまった。


「なんでって、何となくだよ」


「本当ですか?」


私は更に問い詰めた。


「はは、隠せないかぁ。まぁそりゃこんなことになったら流石に説明しないとだよね」


六花さんは一息ついてから話し始めた。


「草乃ちゃん達が着る衣装って元々別のメンバーのだってことは知ってるよね?」


「はい」


「久しぶりにその衣装を見てさ、そのメンバーのことを思い出しちゃったんだよね」


「確か、六花さんと一緒に物資を取りに行った時に、、」


「うん。私はね、その3人を見殺しにしちゃったんだよ」


「み、見殺し?」


「防災グッズが置いてある部屋までは順調だったの。でも帰り道に大量のゾンビが表れたの。だから一度みんな別々の方向へ逃げ出そうとしたんだ。ゾンビをバラけさせて撒くことが出来ると思って」


「それで六花さんのところにはゾンビが来なくて逃げ切れたってことか?」


「いや、全く逆で、全てのゾンビが私の方に向かってきちゃったの」


「え!?それじゃあどうやって」


「3人が逃げるのを一度やめて、ゾンビの気を引いてくれたの。そのおかげでゾンビ達は私を追うのをやめて、3人に向かっていったの」


「それじゃあその時は逃げ切れたんですか?」


「いや、そもそもこの作戦自体が良くなかったの。3人はそのまま逃げ切れずにゾンビに襲われてしまった。助けてもらったのに、私は3人を助けずに逃げることしか出来なかった」


「そう、だったんですね」


ガシャン


ん?なんか変な音聞こえた気がしたけど気のせいかな


「だから私は3人を見殺しにしたの。助けてくれた仲間を見捨てるようなリーダーが生き残るより、あのまま私だけが追われて3人が逃げ切れた方がよっぽど良かったのかもね」


「六花さん、、」


「ごめんね、こんな頼りないリーダーで。さぁ、今度こそ戻ろっか」


六花さんが動こうとしたその時、


「っ!六花さん!」


檻の扉が破られ、一匹のゾンビが六花さんめがけて飛びかかってきた。


「きゃっ」


それをギリギリのところで変身していない光が六花さんを引っ張って、ゾンビの攻撃を避けた。


「ふーっ危ない危ない」


「どうしよう。私がこんなとこに来たからゾンビが、、、」


檻の中からぞろぞろとゾンビが出てきていた。


「どうする?まだ大して出てきてないし、こりゃあ俺だけで檻の中ぶち込み直しとくか?」


「それだと檻の修理出来ないだろ」


「んじゃやりますか」


怯えている六花さんに対し、私達はいつも通りだった。


「草乃、六花さんよろしくね」


「は〜い」


「え?みんなどうするの?」


「まぁ見てれば分かりますよ」


こうしてみんなのライブ前の準備運動が始まるのだった。

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