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ある日 森の中 男娼に 出会った  作者: 自動賽鍵
第1章 辺境伯領編
18/43

14. 森神とは

「随分暴れてくれたな」


 たっぷり時間をかけて入浴を楽しみ、その後に食事の席へついた俺たちに、辺境伯サマは嫌味っぽく言った。

 ここまでの経緯を考えれば当然とも言えるが、ウキアを侮辱したことを許す気は無い。


「あの女は処罰されるのか?」

「できん。再教育はするが、処罰すれば騒ぎになる。大事な男娼の居場所をわざわざ吹聴するのか?」

「……ウキアのためか」


 騒ぎになってしまうとなれば仕方がない。国会議員の秘書が何かやってクビになったと思えば、ニュースにもなろう。

 そこで俺が黙ると、話が一旦纏まって食事が始まる。


 もちゃもちゃと俺がリゾットのようなものを咀嚼していると、ウキアが辺境伯サマに問いかけた。


「辺境伯様、街で祭りの事を聞きました。森神とはどのような怪物なのですか」


 先程風呂で話し合い、少しでも討伐の確率を上げるため、俺たちは情報を仕入れる事にした。

 しかし、生贄という手段をとっている以上、辺境伯サマは森神を討伐できないと考え、俺たちを止めようとするのではないかとウキアが言った。

 確かに、100日毎に1人差し出せば良いとなれば、俺でもそちらを選びそうな気がするし、その安定を崩そうとする余所者が来れば、妨害だってするだろう。


 とは言え俺は、街に住む無数の人々に危険が迫ろうとも、ウキアが辛そうにしているのならリスクを選ぶ。そもそも森神を殺してしまえば万事解決なのだから、成功させれば良いだけだ。


 それは兎も角、俺たちが森神を狙っている事を悟られないように、尋ねるのはウキアだけで担当する事になった。そう提案したウキアは凄く申し訳なさそうな顔をしていたが、俺ではバレそうだというのには同意するから、あんな表情はしなくて良かったんだけどな。


「街で聞いたかもしれないが、羽の生えた蛇のような姿だ。渦を巻くように飛ぶから正確には分からないが、伸ばせば人間30人分くらいにはなるだろう。太さは人間2人が手を繋いで輪を作れば抱えられる程度だ」


 デカいにはデカい。のだが、神を名乗る龍ならそのくらいはあるか。

 太さもその程度なら風魔法を纏って斬りつければ輪切りに出来る。一番困るのは、馬鹿デカい体躯で斬っても斬ってもかすり傷にしかならない事であると考えれば、手頃な大きさと言えなくもない。


「騎士団は立ち向かわなかったのですか?この領であれば騎士団長ほどの者はそういなくとも、精鋭が揃っている筈ですが」

「立ち向かったが、地面から岩の杭を生み出されて一網打尽だ。それに、矢どころか魔法すらほとんどの者が届かせられない距離にいる。領で最強の騎士たる団長ですら、かすり傷にもならない炎の矢を当てるので精一杯だった」


 一応魔法の当たる距離という事は、空気が薄いような超高高度という訳ではないだろう。

 それに、どうせ生贄を喰らう時は精々が数十メートルの高さまで降りてくる。そこを狙えば良いと思ったのは俺だけではなかった。


「櫓は矢も十分届く距離でしたが……」

「森神を刺激するような事はできん。初めての遭遇が王都からの帰りであったから、兵士と騎士だけの犠牲で済んだのだ」


 そういう事だったか。街の人々は恐れている様子はあったものの、襲来の前日に祭りで騒ぐだけの余裕はあった。それは、街そのものが襲われた訳ではないからだったのか。


「そうでしたか。不躾に尋ねてしまい申し訳ありませんでした」

「構わん。王都から来てこのような状況になっているのを見れば、聞きたくなる気持ちも分かる」

「ありがとうございます。……それで、重ね重ね不躾で申し訳ありませんが、我々は祭りを見た後、旅に出ようと思っています。旅装や天幕などを頂けないでしょうか」

「用意させておく。明後日であれば十分間に合うだろう」


 ウキアが「ありがとうございます」と頭を下げるのに従い、俺も同様に頭を下げる。

 それからは当たり障りの無い会話を交わし、程なくして食事の時間が終わって俺たちは部屋に戻った。




   ◇◆◇◆◇◆◇◆




「あれ以上探ると怪しまれるかもしれないと思い、話を切り上げてしまいました」


 ウキアが申し訳なさそうにするが、十分な成果だろう。弱点などが分かっているなら今のような状況になっていないだろうし、それ以外の話は見た時の印象とか感想になってしまう。そんなもの聞いたって仕方ない。


「あれで十分。輪切りにできるサイズだって分かったし、作戦も特に変える必要はなさそうだね」

「はい。配置は早朝で大丈夫でしょうか」

「俺が背負って運んでいくし、早起きする必要も無いよ」


 今はそんなことより……さ?

 そっとウキアの肩を押し、ベッドに優しく寝かせる。服を脱がそうと腹のあたりを弄ったところで、ワンピースを着せたことを思い出して、再度上体を起こす。


「格好つかない……」

「そんな事ありませんよ。優しく扱っていただいている事は伝わっています」


 気づけばウキアは一糸纏わぬ姿になっていて、俺の唇にそっと自身のそれを重ねる。

 失礼します。と断ってからウキアが俺を押し倒し、ズボンを下げた。

 

 今夜も長くなりそうだ。


 


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