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ある日 森の中 男娼に 出会った  作者: 自動賽鍵
プロローグ 2人の出会い
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1. 目覚めと出会い

(本プラットホームでは)初投稿です。

テストも兼ねて、性癖ゴリ押しの作品を挙げます。

ダッシュが繋がったり繋がらなかったりするんですけどこれどうなってるんでしょうね……?

「――――えぇ……?」


 21世紀の都市部に生きる純人類が、急に大自然に立ったらどんな反応をするだろう。

 自分が数秒前まで何をしていたとか、どの都道府県で生まれ育ったとか、何だったら自分の名前すら思い出せない。ただなんとなく日本で生活していたという漠然とした情報だけが頭に残っている。


「混乱してても何も解決しない、かっ!」


 カチリ、とダイヤルを回すような音が頭の中から聞こえてきたと同時に、背後から迫っていた黒いゲル状の生物を振り向きざまに切り裂く。

 剣なんて握った経験がある筈も無いのに、背中の剣を瞬く間に抜いて敵を4つに分断していた。


 自分の手で行われたとは思えない剣閃は、心得の欠片も無い自分でも分かるほど洗練されていた。それに感嘆する暇も無く、身体が勝手に動く。

 ビィンと重い振動が腕に響くと同時に、声がかけられる。


「貴様、何者だ」

「いきなり刃物向けてきた奴の言う事か?」


 俺に襲いかかってきたのは、自分の持つ真っ直ぐな剣とは異なる、かなり反りのある剣だった。それを鍔迫り合いで押し返し、流れるように蹴りを放つ。

 再び驚いたのはその威力。少なくとも感覚としては無造作に放った一撃だったが、山賊らしき襲撃者が恐らく10mは吹き飛んだ。蹴った脚には器官が潰れる感触や骨の折れる衝撃が生々しく残っており、僅かな気持ち悪さを感じてしまった。


 しかし、そんな驚愕も不快感も身体のコンディションには影響せず、息を合わせて襲いかかってきた追加の3人をそれぞれ一振りで斬り捨てた。

 ベチャリ。思った以上に粘る返り血がゴワゴワしたシャツを汚していく。


「うへぇ、どっかで洗わなきゃ」


 ため息をついて剣を納めると、戦闘モードとでも言うべき意識から元に戻る。

 馬鹿みたいによく聞こえる耳には、水の流れる音も届いている。かなり下の方から聞こえているようだから、恐らくここはちょっとした山の上なのだろう。どこまで行けばいいか分からないが、いつか川に辿り着いたら、そこでこの服は洗ってやらなきゃいけないだろう。

 ついでに、耳を澄ましたことでもう1つ分かったことがある。誰かが木陰に隠れている。


「まだやる?」


 木陰に剣を向けて言葉を掛ける。出てこないようなら斬ると決心すると、またもカチリと音がした。


「違います……奴らに追われていたんです。助けていただいて、ありがとう、ござい────」


 木陰から現れたのは、浅黒い肌と艶やかな金髪を持った少年。やたらに露出の高い服から覗く股間の膨らみが無ければ、少女だと認識していただろう。彼が礼を言い終わる前に倒れこんだところを、驚くほど素早い動きで抱え込んだ。

 戦闘にならなかったからだろう、憑き物が落ちたように戦闘モードが解除される。

 それによって少年の様子をよく観察できたが、踊り子のようなスケスケの服に、宝石のような装飾品まで付けている。そんな豪華な格好をしているのに靴を履いておらず、足裏は傷だらけだった。加えて、森の中を逃げ回っていたからだろうか、身体にもあちこち傷がある。


「大丈夫?結構傷があるけど」

「水を……分けて、いただけませんか」


 水……自分の体のあちこちを触ってみたが、それらしいものはなかった。死体を漁ってみたが、先程襲ってきた4人も、錠剤のような黒い粒以外には口に入れられそうなものを持っていない。────仕方ないか。


「もうちょっと我慢してて」


 少年を抱き上げて声を掛ける。

 川までどれだけ下ればいいか分からないが、いつかは辿り着けるだろう。しかし少年はそう長く保たないように見える。

 この身体がどれくらい動けるのか、スペックを試しがてら水探しだ。


 万が一にも落とすことの無いよう、少年を強く抱きしめて山を駆け下りる。箱根駅伝で山を下る選手どころか、100m走のオリンピアンよりも速く、木々の間をすり抜けながら、時折現れるモンスターを全て置き去りにして坂を下り落ちた。


 たっぷり10分ほども走っただろうか。流れる水の音がすぐ近くにあると分かる。俺はより強く少年を抱きしめ、更に加速した。


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