歯車を壊す者
その日、太陽は超新星爆発した。
ピピピピ!!爆音の攻撃的なアラームが僕を襲う。昨日遅くまで起きていてまだ寝ていたいけれど、成績を落としてしまうと僕の行きたい医学部には行けなくなってしまうかもしれないのだ。そんな恐怖と僕は今日も戦っている。「ふわあ...やばい、遅刻しそう。」足早に階段を降り、ひんやりと冷凍された食パンを取り出す。スライスチーズを乗っけてトースターに突っ込んで5分の目盛りに合わせ、息を着く暇もなく再び階段を駆け上がる。クローゼットにしまってあるいつの間にか洗濯されていた制服を着てネクタイを締める。寝癖まみれだけど髪型なんて元々気にしていないので諦めてメガネをかける。そしてまたバタバタと階段を下る。ちょうどトーストが焼きあがっていた。「あっつ...いただきまーす」サクッ。うん、美味しい。昨日の朝もこのトーストだったけど食べなれてもシンプルな味がして安心する。両親が共働きでもう仕事に行ってしまったらしく、ひとりぼっちの部屋で僕だけが慌ただしく支度をしている。皿を片付け、登山リュックと言ってもおかしくないほど教科書が詰め込まれた鞄を背負う。何年も履きっぱなしの古びたローファーに足を押し込んで扉を開ける。僕はこんな朝ばかりで両親となんて話したのは1週間前ぐらいだった。
ザワザワと雑踏が聞こえ始めるともう学校付近である。友達と話す人、カップルで手を繋ぎながら挨拶を交わす男女、誰とも話さずぼんやりと歩く僕の同類みたいな人。誰も彼も僕はほとんど知らない人で、きっとみんなも僕を知らないだろう。この学校に来てから友達なんて作っていないし、これまでの人生の中で友達と呼べるような人は1人か2人かも知れない。転校が多かったからかもしれないけど、そんなことは今は気にしていない。空き時間が山のようにあるのでせっかくならためになることをしようと、自然に勉強に打ち込み始めた。そして、ここまでやってきたなら医学部に進めるだろうと、両親からの助言ひとつでここまで来たのだ。自分の決断だとは分かっていても、たまに寂しさのような、子供のような感情が芽生えてしまう。このことを僕は少し恥ずかしく思っていた。




