表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

断罪の未来のはじまり

アルファポリスで掲載している話を、BL要素を濃くしてお届けしようと思っています。

エロはありませんから!!

 誰かに頭を乱暴につかまれて、俺は、土下座するような恰好をさせられる。


「我らが聖女、アスナ様。この魔女に正義の鉄槌を!」


 冷たい剣先が俺の首筋に当たる。微かに剣先が震えているのは、アスナの怯え。

 会場は、アスナを指示する者の歓声と、思わぬ光景に怯える悲鳴で騒然となっている。


 ――これ、俺はもうだめかもしれない。


 もし、俺の首が飛んだら、さすがにカツラも落ちるだろう。そうしたら、俺だとバレるかな?

 俺が、魔女ではないと証明されれば、双子のシロノも魔女でないと分かってもらえるかな?

 それでも、なおシロノを再び断罪することになるのだろうか?


 一つ思うことは、シロノがこの場に居なくて良かったということ。

 俺で良かった。


 願わくば、許しを愛するシロノに……そして、可哀想なアスナにも……

 アスナは、俺の首を刎ねるために、剣を振りかざした。


◇◇◇◇


 一年前


 俺は、悪宰相と名高いグスタフ・エルグの息子。リオス・エルグ。

 女王ヴィクトリアの治める大英帝国の近く。ひっそりと存在する小国に俺たちは住んでいる。

 まあ、のどかな辺境の国。

 王国には、美しい女王が君臨していた。

 女王の名前は、アレーナ。

 慈悲深く、人々の信望も厚いアレーナ女王。

 

 その息子、王太子のセシルは十四歳になり、一年後の十五歳の誕生日には、正式に正妃となる人間を指名することが決まっている。


 この俺、宰相グスタフ・エルグの息子リオスとしては、ぜひとも、可愛い双子の妹であるシロノをセシルの正妃につけたい。

 決して、俺が将来出世するためではない。

 できれば、政治なんて関わりたくない。俺自身の将来としては、適当に辺境の観光地で宿屋でもやりながら、のんびり暮らしたいというのが、本音。

 

 だが、シロノは、セシルに十歳の頃からずっと恋をしている。

 恋のきっかけなんて物は知らない。

 だけれども、シロノがずっとセシルを目で追っているのを知っている。


 ……妹の恋は叶えてやりたい。

 ……妹が幸せであってほしい。



 妹が幸せになるならば、俺は、セシルの目をシロノに向けるために最大限の努力をしようじゃないか!!



 そう、心に決めた俺は、聡明で美しい、優しくて完璧な妹シロノのために、出来得る限りあらゆる努力をすることを、ここに一人宣言した。



 しかし、問題は、山積みだ。

 まず、親父の宰相の評判が良くない。

 人にも自分にも厳しい親父は、女王アレーナ様にも、遠慮なく意見する。

 理路整然と自分の意見を言う親父を、「女王を傀儡としている」と、文句を言う奴も多い。

 つまり、周りは敵だらけ。その息子と娘である俺達兄妹を、悪役令息と悪役令嬢と後ろ指さす奴も多い。


 見てろよ。このリオス・エルグが、絶対にそんなの覆してやる!


 俺は、固い決意の元、セシルの通う寄宿制の学校に入学した。

 それは、作戦の第一歩。俺がセシルと仲良くなって、妹シロノを知ってもらうために。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ