才能の持ち合わせ
世の中には神様が存在する。
それぞれ役割をもち、尊敬され祀られる。
そして神の中でも特に優れた能力と才能を持つものは「神覚者」と呼ばれ注目を浴び尊敬されるのだ。
神と聞くと純粋で欲のない人物がなるものだと思われがちだが実は違う。
神の世界は欲望とクソみたいな身分制度で腐っている。
今の制度に異を唱えるものがいればその者は排除される。そのくらい腐っていた。
それは神覚者の立場を持つものも。普通は傲慢でも欲もない方が多いが…
神覚者の中にもとりわけ傲慢な女がいた。
彼女の名は千乃。
命を司る神…神覚者である。
傲慢な性格で欲深い。周りから常に浮いており疎まれていた。しかし実力と才能はあり最強の腕っ節を誇っていた。
「お前なあ…また他の神をクビにしただろ。まだ新年始まって3日しか立ってないのに何回目だ?」
「いやあたしのこと見下して文句言ってきたんだもんあいつら身分少しだけ高いだけで何も成果上げてない奴らだったし。」
「だからいつも疎まれてんだぞおまえ…」
千乃に苦言を呈する縦にも横にも大柄な男は同じ神覚者の飯山。食を司どる神だ。彼は千乃の旦那なのだがご覧のようにいくら言っても彼女は聞き入れることはしなかった。
「はああ…」
「何ため息なんかついて。」
「お前の新年の挨拶が怖い」
「いやーくじ引きで決まったからしゃーないでしょ」
「何話すんだよ」
「ひみつー」
神が集まる新年会。神覚者の一人が代表で挨拶をする。
そもそもの話だが神覚者の人数はとても少ない。
あまりにも難関すぎて人がいないのだ。
神覚者を増やすこと、それはある種の目標みたいなもんだった
「えー新年あけましておめでとうございますー」
気の抜けた新年の挨拶が始まった。
飯山初め他の神覚者は彼女の性格を理解しているのでいつものことだと思うがまあ特に気位の高い神からしたら腹が立つだろう
そもそも千乃は長話が大嫌いなのですぐ本題になった。
まあ新年の挨拶と言ってもただの食事会。そうそう変なことなんて起こるわけ無いだろう。
「えー。毎年誰か言ってるようですが神覚者の数。すごく少ないです!そこで私は思いつきました!」
そして一言
「わたしを1ヶ月以内に真っ先に倒した人に神覚者の称号を与えます!」
飯山は飲んでいたお茶を吹き出した。
会場内がざわつき混乱が起きる
「なんなら今でもいいですよ」
その発言で数名の神が千乃にかかってくるがバタバタと倒さるだけであった。
「さ、というわけで頑張ってね」
にっこりと千乃は笑った。
会場を離れようとする千乃を飯山はとっ捕まえる。
「ちょ…おま…おま…正気か!?」
「えーあたしが嘘ついてるように見える?」
「確かに千乃は傲慢だけど嘘は言わないって自分で言った…じゃなくて!お前!どうすんだよ!」
「なにが?」
「何がって…ああもうしらん!千乃は最強だもんな!」
「ま、見ててなよ。多分面白いよーこの一ヶ月」
飯山は大きなため息をついた。
千乃にとっては楽しい1ヶ月、飯山にとってはお腹が痛くなる1ヶ月が始まった