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勇者選抜。
僕の名前はディル。
勇者選抜のDグループ
の小間使いとして遣わされた。
正直、面倒くさくてたまったもんじゃない。
とはいえ、雇用された手前、弟妹のためにもなんとか勤めようと思う。
選抜の小間使いは、要は、選抜されるまでの勇者候補様がたのお世話係だ。
僕一人ではなく、何人も小間使いがいる。
何をするかというと、やれ食事の準備だ、やれ装備の手伝いだ、
というようなもの。
面倒くさい……。
「おい」
またどこぞの勇者候補様に呼ばれた。
内心はともあれ、普通に応対する。
「はい、なんでしょうか」
「俺こそが……勇者と思わないか?」
何言ってんだ、コイツ。
「俺は、故郷を出て、冒険者になった。そして、あらゆるギルドの依頼を一人でこなし、
着々と力をつけていった……どうだ、一人で立ち向かうその姿、勇者足りえるだろう?」
痛い奴きたー。
「はあ、その通りでございますね」
「だろう?覚えておけ。俺こそが勇者、【ダキム=アラステッド】だ!」
ダキムさんは初回選抜で落ちた。