偉大なる勇者。
絶大なる力の差に嘆いた、
地方の勇者は言った。
「こんなに力の差があるなんて……
自分が勇者と名乗っていたことが恥ずかしい……」
絶大なる力を保持しながらも、
傲慢にふるまうことはない偉大なる勇者がこう返した。
「もしかしたら、自分より小さな力なのかもしれない。
それでも、あなたに助けられた人がいる。それだけであなたは勇者だ。
皆、誰かの勇者なんだ」
「……と、偉大なる勇者の伝説には確かにそうある」
一人の文官がつぶやく。
「……が、が、が、しかし!だからと言って……!」
つぶやきからやや、語気を荒げて続ける。
「【来たれ!勇者!降臨せし魔王討伐へ!】の看板に……!」
もはや誰にともなく叱責を浴びせるかのように。
「これだけの人数、フツー、揃うか?!!」
本来は式典に使う城の広大な中庭を、
埋めつくすかのような人、人、人。
それは更に行列となって城外の堀沿いに続いている。
その最後尾には、看板を持った兵士が、行列に更に続こうとしている者たちに、
看板に書かれた文字そのものを伝えていく。
「勇者選抜の最後列はここだー!!」
総勢が62万5千4百飛んで8人とわかるのは、
選抜を募集して1週間後だった。
決して、某有名ファンタジー少年マンガを汚しているわけではありません。
むしろめっちゃリスペクトしております。
バイブルっす。