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茨の追憶
懐かしい夢を見た。
『君に私の罪を背負わせてしまうことを非常に申し訳なく思う』
それはまだ私が人だった頃の記憶。
『いいんです、先生。いずれこうなることは分かってましたから』
先生は身体が朽ちかけていた。もうあと数分も保たないだろう。
『1つだけ、頼みがある……。』
『何時になるかは分からないが、呪われた子がまた、産まれるだろう。』
私や君のように、と続ける。
そうだ。呪われた子は、世界に二人しか存在しない。
『その時は君が面倒を見てやってくれ』
『もちろんです』
先生の手を強く握る。すると、彼の手は砕けて無くなってしまった。
『……もう、潮時か』
先生の体が空気に溶けていく。
灰色の粉だけを残して。
『願わくば、その子が、人で在れるよう――――――』
に。
『先生……』
私の手の中に残ったのは一握の灰。
呪われた子はいずれ、こうなる。
残骸を瓶の中に詰め、私はその場を後にした。
これから果ての無い探究が始まる。
何から手をつけたものか。
まずは――――――。
『君の口調を真似する所から、始めてみようかな?』
だから私は、独りになった。
ちょうど450文字でした