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第4話〜桜井若奈は思春期である。

「よし、あったー」


駅に向かって進む学生の流れに逆らって進むこと十分ほど。


やや小走りで校舎に戻って来た若奈は教室に入り、自分の机の中からお目当の本を見つけ出した。


四月の中旬とはいえ小走りで走ったためか、やや額に汗が浮かんでいた。


なぜ人は特に急いでいる訳でもないのに、ちょっとした忘れ物とか二度手間のために時間がかかる時にはついつい小走りになってしまうのだろう、なんて疑問。


そんな取り留めもないことを考えながらもう誰もいなくなった教室で軽く息を吐く。


癖っ毛がややコンプレックスな若菜は、前髪をヘアピンで左右に分けている。


しかし汗を拭いた際に前髪が少しだけ乱れてしまった。


とくに可愛く見られたいとか彼氏が欲しいという願望はないが、若菜も年頃の女の子である。


乱れた前髪を直すために鞄の中を探り、手鏡を取り出す。


そして顔を上げると、不意に教室の外を通り過ぎて行く咲の姿を見かけた。


「おーい、咲~?」


反射的に声をかけてみる。


もうハウス会とやらは終わったのだろうか。


しかし咲は若奈の声に気付かずに行ってしまった。


何となく目で追ってみると、普段利用しない階段の陰に入って行く。


その際になぜか辺りを窺うような仕草をした咲の姿に、妙に興味が引かれる。


若奈は咲のことを追いかけてみることにした。


手早く手鏡で前髪を直してから。


好奇心より乙女心。


桜井若奈は思春期である。


…………。


そして追いかけた先、そこにあったのら古びた扉。


せいぜい小物程度のものしか入らない物置の中に入って行ったであろう咲はどうしたのかと。


何も考えずに扉を開き、そして潜り抜けてしまった若奈を出迎えたのは階段下のスペースにはありえない広大な空間だった。


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