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番外「その頃の以下略」


「はっ、くしゅん! ううっ、何処かの巨乳美女が拙者の噂でもしてるでござるかな」


 顔の下半分を覆ったユウキと言う名の少年は嘯くと顔を上げて前方を見た。


「鉱山の町まであと僅かでござるね、って、拙者誰に説明してるのでござろう? やっぱり一人旅は寂しいから独り言も多くなってしまうモノかも知れないでござるね」


 ことさら明るく振る舞いつつ、自分に自分で質問をぶつける少年の様を見る者は居ない。十数分前なら存在したが、該当する存在は両断され、魔物の死体という物体となって道の脇にある崖の下に転がっていた。


「しっかし、智……ヘイル殿は被追放者欠乏症で『追放したいダンス』とかを踊り狂ってないでござろうか。合流したとたん拙者を追放とかはナシでござるよ?」


 想像の中で奇っ怪にピョコピョコ跳びはね踊っていたここには居ない元パーティーメンバーに語りかけると、それにしてもと急に話題を変え。


「こう、何か素敵な出会いとかないでござろうか? ここのところエンカウントするのは魔物オンリー。今宵の拙者は胸の大きなお姉さんとの出会いに飢えているでござるよ。全然今宵でも何でもなく真っ昼間でござるけれど」


 定期的に独り言でボケるのは、ツッコミを求めているからか。


「ねーねー、ちょっといい?」

「ん?」


 まるでそんな少年の願いが届いたかの如く、突然かけられた声に少年は振り向くも。


「はぁ。こう、何か素敵な出会いとかないでござろうか?」


 次の瞬間には前に向き直ってボソッと漏らしつつ歩き出す。完全なスルーであった。


「ちょっとちょっと! 何で無視するの?!」

「胸の大きなお姉さんとか、その辺の岩の影から現れないでござろうか?」


 後ろから抗議の声が上がるも、少年は完全に何も聞こえない様子で足を進める。


「まったく、いくら一人旅の寂しさを抱えているとは言え、胸が真っ平らな魔族のお姉さんの幻が見えるとか、拙者もヘイル殿のことをどうこう言う資格などなさそうにござる。な」

「幻?! と言うか、真っ平ら言うなーッ!」

「やれやれ、ヤケにリアルな幻でござるが、拙者ペタンはノーサンキューでござる故」


 身体全体を使って不満を露わに猛抗議する魔族の女性へアメリカンなお手上げポーズをしたあげく少年は頭を振り。


「そう、それじゃそれじゃ、もういいや」


 あまりに失礼な対応にこめかみ辺りをヒクつかせながらも、魔族の女性は片手を空にかざした。


「拙者と、戦う気でござるか?」


 明らかに何か仕掛けようとするモーションだったからだろう。漸くふざけた態度を止めた少年は真顔で問いを投げた。


「戦う? 下級職の冒険者一人相手にこのボクが? くく、ふふふふ……ははははっ、あはははははははは! そんな訳ないじゃない」


 違うよと魔族の女性は言う。


「処分。処分だよ。戦いに何てならない。ボクを、そしてボクの胸をコケにしてくれたんだ。どれだけ馬鹿なことをしたか、後悔する程度の時間は壊れないで居て欲しいかも知れないけどね?」

「む、その口ぶり。何となく拙者の知り合いのSっぽい人に通じるところがあるでござるな。あ、胸がSサイズだからS繋がりでござるね」

「うぐっ、まともになったと思ったらまたふざけるかッ!」


 拙者わかっちゃったでござるとポンと掌に拳を打ちつける少年の様に魔族の女性は激昂すると、空にかざしていた手で何かを掴み、引きずり出す。


「ぐぅぅぅっ、くっ」


 歯を食いしばり足を沈み込ませながらも持ち上げたのは、イカだった。


「え?」


 少年は思わず目を疑ったが、海に居る生き物のイカだった。ただし、大きさは女性の身体の三倍程もあり、イカであるにもかかわらず、巨大な剣か何かの柄のようにイカの身体に棒状の物体が伸びていて、魔族の女性はそこを掴んでイカを振りかぶっていた。


「ナニコレ、拙者怖い」


 少年は、この時漸く恐怖する。


「と言うか、この流れ、触手攻めでござるか?! しかも襲われるのが拙者って誰得ッ?!」


「触手? 違うよ、これはッ!」


 次の瞬間、魔族の振りかぶったイカのような物体は急速に膨れ上がり、爆発した。


まぁ、ユウキなのでだいたいそんな感じ。


しかし、突然現れた胸の真っ平らな魔族の女性とは一体何者なのか、そして爆発したイカのようなモノの正体とはイカに?!



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