四十六話「やることいくつか」
ちなみ、本日は騎乗者の少女視点で四十五話裏を書く予定でしたが、構想の段階で内容がどう考えてもノクターン直行だったので没にしました、まぁあの少女なら仕方ないかとご理解頂ければ幸いです。
「とりあえず、コレのやろうとしてた企みとやらはもう不可能と見て良いんだよね?」
俺は最初にこの村へ来た大目的の一つについて確認する。
「我らが来た時点で、野望は潰える運命、されど」
「このモフモフ勇者さんの来訪で計画は見合わせて凍結しているそうなので、たぶん大丈夫ですよー?」
「そっか」
仲間達からの答えに安堵しつつ、思い出すのは村長達のやらかそうとしていた企み。
「特殊な儀式を行い暗黒神の力を帯びた村人と渓谷に棲む魔物を触媒にしてより凶悪な魔物の群れを喚び出すんだっけ?」
喚び出された魔物は触媒となった人の思念にも影響を受けるのだとか。
「自分達を迫害したこの国の人達への敵意を持つ、凶暴で強力な魔物の群れ、か」
渓谷の魔物も触媒としたことで、喚び出される魔物達は翼由来の高い機動力を持つ魔物になるそうなので、召喚されていれば、大惨事となったことだろう。
「鉱山の町にはアイリスさん達が居るけど、逆に言うと備えがあるのはあの町だけだからなぁ」
この村に比較的近い他の町や村は備えもなく空から魔物に襲われることとなる。
「と言うか、村だけじゃないよね」
猟師や旅人、行商人など町や村の外にいた人々も魔物に見つかれば襲われた筈だ。
「けど、計画を見合わせたなら、ここに来る途中で魔物の様子がおかしかったのが謎になるんだけど」
「それは勇者様に倒して頂くため喚び出した魔物か、あの魔族に授けられた力を試すため喚び出した翼を持つ異形の力に怯えて逃げたのでしょうな」
俺が首を傾げると答えたのは村長だった。
「もっとも、前者はあっさり勇者様に倒されてしまいましたが」
「にゅい」
「『相性の良い相手でしたから』ねぇ」
謙遜するウサギ勇者の持つ紙を読むも、姿すら見ていないので俺達を襲った魔物がどちらの影響を受けていたのかはわからない。
「ただ、俺としてはこの村長をそそのかした魔族が他にも何か置きみやげ的なモノを残してて、その影響ってこともあり得るんじゃないかと思ったりもして、さ」
「なるほど」
「だから念のために渓谷の方も一応調べておきたいんだけど」
やらかそうとしていた事が事だから、この村の制圧もして鉱山の町に使いを出して事後処理とかも頼まないと行けないだろうが、話を聞くだけでも性格の悪そうな魔王の配下だ。村の後始末をしている最中に渓谷から魔物が襲ってきたぐらいの嫌がらせを用意してから逃げたとしてもおかしくはない。
「問題は をどうするか、かな」
調査をするとなると適役は俺しか居ないけれど、もし騎乗者の少女が意識を取り戻した場合、同行を希望する可能性が残っている。
「と言うか――」
あの少女とは色々と話さなければいけないこと、聞かなければいけないことがある。俺の前世の名を口にしたこと、異形の自爆を見抜いていたフシのあること。
「そっちの方はマイが起きないことにはどうしようもないけど」
となると、出来るのは村人の大まかな処遇、それも暫定的なモノを決めるぐらいしかない。
「村長の話によると翼生えたアレ召喚出来る村人は他にもいる様だし、何かあると問題だからさ」
「村人ー? ヘイヘイ縛るの?」
どうにかしないかと提案すると首を傾げた悪魔使いが何故か俺を名指しで問う。
「早くも俺への風評被害が?!」
「女の子自分の身体に縛り付けて帰ってきて風評被害も何もないと思うのですよー」
「う゛っ」
驚いたところに狂戦士が正論という言葉の刃を投げつけてきて、俺は胸を押さえて呻いた。
「あれは抱えた怪我人がずり落ちないためのモノだから」
そう、そう言う理由があったのだ。だというのに何故だろう、後になってから口にすると言い訳がましく聞こえるのは。
「愛の形は人それぞれなのですよー」
「いや、ちょっ、その『わかってる、わかってるから』みたいな顔と反応止めて貰える?!」
なぜだろう、なしくずし に そとぼり が うめられている き が するのですが。
「そもそも、そんな事より今は村人をどうするかって話を――」
「だからー、ヘイヘイが縛るんでしょー?」
「何故そこで無限ループ?!」
世界って、本当に思う様にならない。




