四十五話「いろいろ拾った」
「空き家に戻ったら、そこに色々拾われていた」
端的に言うとそう言うことになるだろうか。
「たぶん俺が撃ち落としたボロボロの異形」
なぜか敵意は見せず、それでも縛られていたが、自爆することを伝え、これについては隔離してもらった。見た瞬間、反射的にとどめを刺しかけたが、理性がそれを押しとどめてくれた。自爆能力持ちを他に人が居るところで攻撃して爆発なんてされたら目も当てられない。尚、隔離については空間魔術が用いられたのでどこに隔離したかを知るのは術者の女性のみだ。
「次に村長」
なぜかこっちもボロボロだった。撃ち落とした異形にさらわれて運ばれてたのではと思い至り、若干冷や汗が出たが、異形の使役主であると判明。話を聞いて反射的にとどめを以下略。
「ふふ、そうか。すべてはその謀略の魔王とかの仕業か」
まぁ、短慮に走らなくて良かったのも確かだ。村長が話を続けたからこそ黒幕の存在を知れたのだから。
「で、色々知ってしまったから縛るに止めてると」
「う、く……」
俺の視線の先で縛られてぐったりしていたのは、見おぼえある魔族の少女。
「もういいや、お前使えないし。ウチのパーティーから出てってくれる? と言うか大丈夫?」
そう言って追放と言うか気遣ったことがあったその少女は、確か魔王ゼグフーガが四天王の一人。
「確か……」
アイリスさんによる魔物とか魔族とかを無差別で弱体化させる固有技能でヘロヘロになった挙句、返る際にも飛び立とうとして天井に頭をぶつけるというベタベタなオチをやらかしたドジ娘だ。
「この様子からすると『謀略の魔王とその配下について忠告か何かの為に鉱山の町に行ったら俺は留守、その上アイリスさんの固有技能で衰弱しつつも俺達の後を追ってこの村に来たところで力尽きた』とか、かな?」
「概ねその通りです」
「そーそー。一つ訂正するなら―、クレクレが拾ってきた、みたいな?」
頷くエリザの横で悪魔使いの補正が入るが、誤差の範囲内か。ちなみにクレインさんが魔族の少女を運んできてそのままこの場に居るために、俺のクレインさんも狙われているのではと言う危惧は杞憂に終わった。
「しかし、きわどいタイミングだったね」
先に拾われた村長があれこれ白状しなければ四天王の少女はウサギ勇者の子にとどめを刺されていたかもしれない。
「一歩間違えば争いを止めるどころかその魔逆方向に加速しかねなかったとか」
誰がかは分からないけど、本当に運が良い。
「後でする話を含めてなし崩しで全部話す羽目になっちゃったのは想定外だけどさ」
「にゅい」
「もふもふですよー」
どことなく困惑気味に応じたウサギ勇者はまだ気持ちの整理がついていないのだろう。狂戦士のアリエラにつかまって毛並みを堪能させられたまま、縛られて転がされたままになっている魔族の少女をチラチラと見ている。
「うーん、縛られたってのも語弊はあるのかなぁ」
魔族の少女のロープに至っては、拾ったクレインさんに頼む形で縛らせたモノらしいのだ。ウサギ勇者もこの村に居ることはつかんでいたのだろう。
「出会うなり即戦闘にならないように敢えて自分を縛らせる、か」
そのまま処刑されてしまう可能性だってあったというのに、こう、どこかのM少女とは大違いだ。
「別に心配かけたから怒ってあてつけてるわけじゃないけど」
「ヘイヘイ何か言ったー?」
「いや、こっちのこと」
ともあれ、複数の情報が入ってきたことで事態は大きく動いたといえる。
「カルマンさん、お疲れさまでした」
「これも宿命、故にねぎらいは無用」
その分回復担当の精霊治療師は大忙しだったはずだが、何事もないといった様子でカルマンさんへ平然としていた。いや、椅子に座ったまま立ち上がる様子がないことを見るに、それもやせ我慢なのかもしれない。
「さて、問題はこれからどうするかと言う話であるが、ヘイル殿?」
「俺としては、謀略の魔王配下の魔族ってのを抑えに行きたいとこだけど」
村長の口封じと魔王ゼグフーガ側にすべてを擦り付けるたくらみは、もうすでに失敗している。
「よほどの馬鹿でなきゃ、逃げ出してるよね」
その魔族の顔すら見ていないというのは不本意だが、ウサギ勇者に魔王との戦いの裏側を垣間見せられたのは大きいと思う。
「今はそれで良しとしておくべきかも」
しなくてはいけないこと、考えなくてはいけない事、どちらも残っているのだから。
活動報告にて、騎乗者の少女の名前募集しておりました、ご協力に感謝。




