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三十六話「私が村長です」

読みづらいと指摘を頂いたので、試験的に改行をくわえてみました。

こちらの方が良いようでしたら、以前の話も同じ仕様に修正する予定です。

「ふぅ」


 何かしようとしまいと時間は流れる。そして、暗黒神を崇拝する連中が何かをやらかそうとしている今、時間は貴重だ。個人的なことでまごついていて良いはずがない。


「自分は竜の番もある、ここに残らせて貰おう」


 そう主張したクレインさんと乗竜を再会した場所に残し、俺達は村へと向かって歩き始めていた。


「これから行動を起こすって時に色恋沙汰関係でどうのこうのってそれだけで死亡フラグっぽいけど」


 このままウジウジ悩んでタイムオーバーを向かえてもやはり死亡フラグが立つ気がする。


「で、いまわの際に『話しておけば良かった』って後悔すると」


 使い古されすぎたお約束感があるが、そんな結末はお断りだ。


「話すなら村に入ってから、かな」


 俺達とウサギ勇者以外最近の来訪者がなさそうだし、歩くごとに近づいてきて幾つか民家の確認できるようになった村に宿屋の看板は見あたらない。この分だと宿屋はなさそうな気がするが。


「魔物の討伐依頼を出していたのだから――」


 ウサギ勇者の子を泊める所ぐらい用意してあるだろう。そこを借りたなら、二人だけで話をするぐらいは出来ると思う。


「ああ、村の事で気になったんだけど」

「にゅい?」


 とは言え、希望的観測の面も有る。俺はウサギ女勇者を呼び止めると、俺達も泊まれる場所があるのかをまず聞いた。


「にゅん」

「そっか、『空き家があってそこを貸してくれてる』と……ありがとう」


 急にウサギ勇者達の言葉がわかるようになったわけではない。ウサギ勇者が紙に書いて見せてくれた文の一部を読み、礼を言っただけだ。


「それじゃ、その他にも村に空き家はあったりした? もしくは前に空き家を借りてた人がいたとか」


 休む場所が確保出来れば、暗黒神崇拝者の同行のヒントになりそうな答えが飛び出すことを期待して俺は別の質問をし。


「にゅにゅ」

「なるほど『聞いては居ないけど、空き家は他に無かった様に思う』ね」


 この子が村に来た当時、暗黒神崇拝者が何かやらかすなんて情報はなかった。誰か空き家を利用してたかなんて問うのは、空き家に忘れ物がある場合くらいか。


「もしくは貸す側が手入れの行き届いてない時自発的に明かすぐらいかもね『ここのところ誰も使っていないので些少埃が積もってますが』とか」

「にゅ」


 ウサギ勇者に頷かれた俺は最後にもう一つ良いかと前置きし。


「村長さんの家はわかる? 一応滞在許可とか貰っておかないと行けないだろうし」

「にゅ」


 理由を添えて尋ねると、ウサギ女勇者は他の家より一回り大きな家を示す。


「ごめんね時間とらせて」

「にゅにゅ」


 軽く頭を下げた俺に頭を振ると見せたのは、色あせ所々ボロボロになった一枚の紙。


「あー『定型文』的なのは使い回してるのか」

「にゅ」


 お気になさらずと書かれた紙をマジマジと見る俺へウサギ勇者は再び肯定をくれ。


「じゃ、話を聞いてくるよ」


 他の面々を見回して宣言すれば宜しくとか行ってらっしゃいと言った声が返り。


「ヘイル様、お供します」

「あ、うん」


 騎乗者の少女が宣言するのは、だいたいわかっていた。


「ヘイル、追放しなくて良いの?」


 ここにアイリスさんが居たなら、そうからかって来そうな気もする。いや、流石にアイリスさんもこの状況ではふざけないか。今のところ暗黒神崇拝者達は尻尾の先さえ見せない。昔読んだことのある小説や遊んだゲームの中にはこの状況に似通ったケースが幾つかあったのだ。


「村人の中に敵が居るケース、もしくは村人全員が敵だったケース」


 このどちらかの場合、馬鹿正直に暗黒神崇拝者のことを話すのは危険すぎる。だから、ついてくる騎乗者の少女とは口裏合わせをする必要があり。


「……と言う訳だから、村長へ求めるのは俺達の村への滞在許可のみ。この村に来た理由は勇者様に話があって追いかけてきたって事にするから間違えないでね」


 誤解を招きそうだったが、他に手段も思いつかなかった俺は引き寄せた少女の耳元で囁きながら、念を押した、ただ。


「私が村長です。いやはや、若いというのは良いモノですな」


 俺の行動は村長宅の中からでも見えていたらしく、村長宅についた俺が用件を切り出すよりも早く、その人は人の良さそうな笑みを浮かべていきなり言い。


「ちょ」

「ああ、いえいえ、弁解は必要有りませんとも。私も若い時分は今の妻とそれはもうイチャイチャしたものですからな。おお、そうです! この村一番の恋人との逢い引きスポッ」

「是非ともお願いします!」


 村長の言葉を遮って両手をとったのは、言うまでもなく騎乗者の少女。


「うわぁ」


 完全に相手のペースに巻き込まれた様で俺は頭を抱える。表向きは。


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