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一話裏「ビーストティマ―(トリシャ視点)」

「す、すごい」

 自分の目がとても信じられませんでした。いつもはCランク相当とされる魔物を相手にして辛うじて勝てるぐらいだったあの子がAランク相当とされるオーガージェネラルの喉笛に食い付き、あっさり屠って見せたのだから。

「これで少しは信じて貰えたかな?」

「え? あ」

 背後からかけられた声で我に返り、振り返ると槍を片手にした青年が私を見つめながら苦笑していました。

 私の名前は、トリシャ・グリフィールズ。少し前まで駆け出しだったビーストティマ―で、この人は蒼の牙と言うAランクパーティーのリーダーで槍術士のクライヴ・ブトスルーンさん。私たちの共通点はどちらも『とあるパーティ』に所属経験があり、後に追放されたということ。

「『世界を揺るがしかねない危機が、訪れる』ですか?」

 最初に言われたときは話が大きすぎて、唐突すぎて、理解も追い付きませんでしたし、それにクライヴさんには失礼ですけれど、信じられないとも思いました。

「そう。僕は前に護衛の仕事でルーデンの街に行ったことがあってね。あの人達が前にそこで活動してたって知ったのは恥ずかしながら現地でたまたまあの人達のことを耳にしてなんだけど――」

 その街で、駆け出しの私を拾ってくださったあの方たちは『栄光を約束する者達』と呼ばれ、慕われていたのだそうです。

「僕もね、聞いたときは驚いたよ。追い出されたこともあっていい印象は持ってなかったんだけどさ。そもそも、やってることもこっちとあちらじゃ全然違うし。まぁ、駆け出しとか芽が出ないでいる人をパーティーに誘って才能が開花するところまで育てるってところまでは同じ、違うのはそのあとだね。もっとも、親切にアフターケアしすぎたこともあって、欠員が出るとパーティーに入りたい人間が毎日押しかけてたそうだから」

「それで、あんな形を」

「うん。代わりにこっちの話をしたときは驚かれたけど、最終的には『あんな押しかけられてたんじゃ仕方ない』って向こうの人も納得してたよ」

 私の言葉に頷きちらりとクライヴさんは振り返りました。話にあったルーデンと言う街のある方角を。

「で、そこで聞いた話だとあの人達、かなりの数の人を育てておいて、見返りらしい見返りは全く要求していないんだ。あの人達がルーデンで育てた人の中にはSランクに達した人が何人か出てすらいるのに」

「S……」

「そう。慢心せず腕を磨いていればこっちであの人達に育てられた人の中でもSランクに届く人はそのうち出てくると思う。追放されたときは僕もあの人達への反発からがむしゃらに修行に励んだりもしたし。そういう意味ではこうやってこっそり事情を打ち明けるのはあの人達の邪魔をしてるんじゃないかとも思ったけどね、君の落ち込み様はさすがに見てられなかったから」

「そうですか、あれはあの方々なりに発破をかけてくださっていたのですね。それなのに私は……」

「気に病むことはないよ。僕もたまたまルーデンに行かなければ気が付かなかったし。ま、それはいったん置いておいて……では、なぜわざわざあの人達は自分たちが憎まれてまで腕利きを無償で育てるようなことをしているのか、普通に考えればこの程度の規模の街一つにSランクパーティーは一つあれば十分だというのに? 『何かとんでもないことが起きて、自分たちだけでは対処できなくなる』と考えると説明がつくのさ。僕としては魔物の異常繁殖が引き起こす暴走とか、どこかの魔王軍が侵攻してくるとかそう言ったモノじゃないかと勝手に予想してるけどね」

 クライヴさんが仰るには、あの方たちは以前勇者様の共をされたこともあるそうで。

「その時勇者様から何か話があったとか。ま、あの人達に直接訪ねたとしてもしらを切られて終わりだろうし、そもそも追い出された手前、こっちからは話しかけづらいし」

 僕にできるのは時々こうしておせっかいをぐらいなのさとクライヴさんは自嘲します。ですが、そのおせっかいは私にとってとてもありがたく。

「いえ、ありがとうござました。私もあの方たちに拾っていただいた恩を返す方法が見つかりましたし」

 この日、私にも目標が出来ました。いつかSランク相当の実力をつけてあの方たちのお力になるという目標が。

と言う訳で試験的に一話の補足を別視点で入れてみました。

一応勘違い要素もぶっこみで。


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