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一話「ビーストティマー」

最近パーティー追放ものを結構見かけるので、流行に乗ってみました。


追い出すサイドですけどね。


二話を書き始めたのでこっちは連載版の予定

「もういいや、お前使えないし。ウチのパーティーから出てってくれる?」

 これでこのセリフも何度目だろうかと思いつつ俺はできるだけ冷めた表情を取り繕って、その少女に最後通告をする。

「そ、そんな……」

「いや、そんな縋るような目をされてもね。ティムした魔物は弱っちぃし、世話はやってるみたいだけどさー、宿屋には魔物お断りのとこも多いんだよ? お前の使えない下ぼ……お友達のせいで俺たちがどんだけ窮屈な思いしてるか知ってる?」

 今、俺がパーティーから追い出そうとしている彼女はビーストティマ―。魔物の中でも獣分類のモノを使役し戦わせることのできる職業だ。

「そのお友達が居るなら俺たち居なくてもやってけるでしょ」

 今使えない弱っちいと言ったばかりの魔物を放逐してもいい理由にしつつ、投げた視線の先には蹲りながらもこちらに敵意のこもった目で睨みつけてくる黒い狼が一匹。飛びかかってこないのは少女が無言のうちに止めているからか、扉を挟んで向こう側に居るパーティーメンバーの特殊技能が壁を突き抜けて効果を発揮しているからか。

「はぁ」

 その特殊技能の名は、魔への重圧。周辺に存在する魔物を敵味方関係なく大幅に弱体化させる常時発動型の技能である。少女がお友達にした魔物が弱い理由はこれに起因する。それでも連れた魔物が弱くなった程度で済んでいるのは彼女の周辺に存在する魔物を敵味方関係なく大幅に弱体化させる常時発動型の技能でとしての素質と能力が仲間の技能を相殺してる結果なのだが。

「そう言う訳だからさ」

 彼女は俺たちと一緒に居ない方が能力をフル活用できる。今までかかっていた魔への重圧と言う負荷に耐え続けたことで少女の能力は俺たちが彼女をパーティーに入れたときから見て格段に上昇しているのだ。実力を鑑みれば新しい仲間だってすぐ見つかることだろう。

「お、お願いです。このパーティーに居させてください。私――」

「お断り」

 尚も食い下がる少女をぴしゃりと拒絶し、俺はくるりと背を向けた。身長差からくる上目遣いが凶悪だったのだ。胸もかなり大きいし。おそらく扉の向こうに居る仲間の一人は今晩も荒れるだろう。

「爆乳、貴重な爆乳要員でござったのに」

 とか高価な酒の瓶を何本も空けながら。

「まったく、何で俺はこうくじ運悪いかねぇ」

 パーティーメンバーの最後通告役はくじ引きで決めるのだが、ここのところ俺が一人負けしている。泣きながら少女が出て行ったドアを見つめ独り言ちると、もう一方のドアを振り返り、俺は言う。

「終わったよ」

 と。

「そうか、行ったのでござるな。爆乳のトリシャちゃん」

 ガチャリとドアが開き最初に見たのは涙の跡が残る黒髪とこげ茶の目を持つ少年の顔であり。

「アンタ、胸の大きい娘に毎回毎回その手の修飾つけるのやめなさいよ」

「うぐっ、佳樹殿はTS転生で自前の胸があるからそんな事が言えるのでござるよ」

「転生前の名前を出すなぁぁぁぁ!」

 半眼で見られてうめいた少年の言葉にこの場の紅一点であり魔への重圧の持ち主である赤毛の少女が喚いた。

「まぁ、技能の相性がよかったとしても、彼女が転生者でも転移者でもない時点で追放は決まっていたしなぁ」

 元の世界こと現代日本の話が出来なくなるというのは俺たちにとってフラストレーションのたまるものであり。

「とは言え、才能の固まりみたいな娘を腐らせるとかもったいなさすぎるわよ」

「その結果、拙者たちはこうして育て屋まがいの事をしているわけでござるが」

 追放されるメンバーの中には嫌な奴になって追い出す俺たちの演技を見抜く者もいたし、今回のケースのように縋ったうえで何でもするから追い出さないでくださいと言い出す者も居た。

「昔は『何でもする』と言いだした時点で説教始めて台無しにしたりもしたよな」

「その前にこの『おっぱい狂い』が暴走しないかって気が気じゃなかったわ」

「拙者の信頼がなさ過ぎて絶望」

 それはもう自業自得ではなかろうか。

「さてと、当分は新メンバーも要らないけど」

「それ、どう聞いてもフラグよね」

 指摘された瞬間、俺はやめてと叫んでいた。



キャラ紹介をあとがきでしてみる





・???(前世:――・佳樹)


 ややカールした赤毛が印象的な少女。だが前世は男。主人公のパーティーでは後衛を担当しており魔法職らしい。固有特殊技能は「魔への重圧」。周辺に存在する魔物を敵味方関係なく大幅に弱体化させる常時発動型の技能であり、今回のビーストティマ―以外にも魔物を召還したり使役する職業とは極めて相性が悪い。


 技能のオンオフ切り替えは不可能であるが、消耗するかわりに技能の効果や範囲を広げることは可能で、膨大な数の魔物に襲撃されて絶望的な状況になった戦況をひっくり返したりしたこともある。





・トリシャ・グリフィールズ


 ビーストティマ―の少女。爆乳。固有特殊技能はなし。駆け出しの頃なかなか芽が出なかった所を拾われ、今回の追放に至った。実際声をかけたのは赤毛の少女の方だが、パーティーメンバーにと猛プッシュしたのはござる口調トリッパーの方である。理由はいわずともがな。連れている黒い狼は魔への重圧に耐え続けたことで強化され、彼女が主人公だったらそこそこ無双出来るだけの強さを得るに至っているが、悲しいかなトリシャはお友達の真の実力にまだ気づいていない。


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