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魔法少女と黒猫リン  作者: s_stein
第一章 魔法少女世界選手権大会
63/188

63.謎の笑い

 カトリーンは、ずっと傾げていた首を元に戻した。


 そして、胸の前で右腕を上に左腕を下にし、両手の親指と人差し指で長方形の形を作る。


 さらに、腕の上下を入れ替えて、もう一度長方形を作る。



 キョトンとするイズミとカナ。


 二人を見つめるカトリーンは、口角をつり上げる。


 そして、今度は、両手のひらを前に向けて、次に合掌のポーズを取った。



 一連の動作を素速く終えたカトリーンは、ゆっくりと口を開く。



「昨日、蜂乗(はちじょう)カナさんが黒猫を召喚したでしょう?

 私、あの黒猫は、実は体に宿しているのかと思って、確認したいの」


「確認して何をするの?」


「ねえ、イズミ。

 なんか、誤解されているみたい。

 カトリーン・シュトラウスさん。私、何も宿していませんが」



 カナの体には、黒猫ではなく炎竜を宿していることを知っているイズミは、カナのフォローに内心ホッとした。


 さらに、カナ自身が炎竜を知らないこともわかって、一石二鳥だとも思った。



 これで、カトリーンは諦めるだろう。


 もし、しつこく聞いてきたら、目的を問い詰めて、ハグを回避させないといけない。


 炎竜だと気づかれないようにしないと。



 イズミの心の中に、炎竜の恐ろしい姿が描かれた。


 すると、カトリーンが、急に大声で笑い出す。



「ハハハハハ!

 そういうことだったのね!」


「そうよ。

 本人も言っているでしょう?」


蜂乗(はちじょう)カナさんが、五潘(ごはん)イズミさんを連れて来てくれて、本当に助かりました。

 そのおかげで、よくわかりました。

 では、さようなら」


「「えっ?」」



 イズミとカナは、カトリーンが何を理解したのかが、さっぱりわからなかった。


 器用にくるりと車椅子を方向転換させたカトリーンは、まだ肩を揺らして笑っている。


 彼女は、一度も振り返らずに、スーッと去って行った。



 高笑いが消えるまで見送ったイズミは、「本当に助かりました」の言葉の意味に、ようやく気づいた。


 彼女は、みるみるうちに、四肢の血の気が引いていく。



 黒猫の話は、真っ赤な嘘。


 嘘の話を出せば、事実を知っている人間は、それが心に浮かぶ。


 引っかかったのだ。



 一方、カナは、しきりに首を傾げる。



「ねえ、イズミ。

 あの人、なんでイズミが一緒に来て助かったって言っているのかしら?」


「あ、そのこと?

 さあ……」


 イズミは、その言葉とは裏腹に、カナに気づかれないように拳を握り、唇を噛む。


「不思議ねぇ……」


「それより、カナ。

 彼女と対戦することになったら、十分注意して」


「なんで?」


「彼女、心を読むから」



   ◇◆◇■□■◇◆◇


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