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魔法少女と黒猫リン  作者: s_stein
第一章 魔法少女世界選手権大会
47/188

47.炎に包まれた魔法少女

 ユカリの見つめる先には、メラメラと燃える球状の炎が浮いていた。


 大きさは、直径3メートルほど。


 イズミを縛り上げた黒い鎖は、爆発とともに消滅したらしく、そこにはなかった。



 ユカリの爆裂魔法は、花火やダイナマイトの爆発と一緒なので、火の粉が飛び散ることはあっても燃え続けることはない。


 ということは、この炎は、明らかにイズミの物だ。



 だが、彼女はどこにいる?


 あの煉獄の炎の中心か?



 十万以上の目が凝視する中、突然、ボウッと音がして炎の塊が膨らむ。


 目撃者全員が息を飲んだ。


 とその時、何かが弾けるような音がして、次の瞬間、炎が消えた。



 その中心にいたのは、やはり、イズミ。


 彼女は、両手のひらを真横に向け、両腕をピンと伸ばし、右足の膝を軽く曲げたポーズで宙に浮いている。


 そして、目を半眼にして、ユカリを見下ろした。


「これが、自慢の爆裂魔法?

 しかも、倍増したバージョン?」


「そ、そ、そ、そうだ……」


「ナディア・ラフマニノフを倒したときよりも、強いってこと?」


「あ、ああ……」


 イズミは鼻で笑い、腕を組み、両足を肩幅に開いた。


「これのどこが?」


「て、てめー!

 ど、どうして、ピンピンしている!?」


「えっ? 殺すつもりだったの?」


「い、いや、あれは言葉のあれ(ヽヽ)で……」


「言葉の(あや)ね」


「そう、それそれ!」


「火炎魔法の遣い手が、火に弱くてどうするの?」


「あ……」


「あなたが球体を爆発させる直前に、こちらから全てを破壊したわよ」


「な、なにいいいいいっ!?」



 ユカリは、再度、左腕をイズミの方へ突き出す。


 すると、イズミの右肩付近に、輝く球体が数個出現した。



 だが、イズミは、右手の人差し指で、次々と球体を突く。


 たちまち、球体は爆発。


 まるで、針で割られる風船玉のように、いとも簡単に。



 爆風で髪がなびいても、彼女は涼しい顔をしている。


 火傷すらしないのだ。



「何度やっても無駄よ。

 あなたって、学習能力がないわね」


「う、嘘だろ……」


「さっきは、指を使わなくても、詠唱で爆破させたの。

 相当自信があったみたいね、爆裂魔法に。

 動揺が凄いから、すぐにわかるわよ」


「るせぇ!

 さては、この試合のために、今まで手抜き試合をしてたな!?」


「この試合のために?

 組み合わせはランダムでしょう?

 なぜ、前の試合の段階で、私とあなたの取り組みがわかるのかしら?

 あなたは知っていたの、この取り組みを?

 もしかして、八百長?」


「い、いや、そ、それはない……。

 それより、手抜きをしてたろ!?」


「手抜きって、うるさいわね……。

 今も、適当に手を抜いているわよ」


「っ!」


「私の本当の相手は、あそこのダグアウトにいるわ。

 今も、こっちを見ている。

 彼女との決戦のために、私はマナをセーブする必要があるの」


「誰だ、そいつは!?」


「おそらく、ヤマト国最強の魔法少女よ」


「前置きなんかいい!! 誰なんだ!!??」


「ふー……。こんなに頭の悪い人、初めて。

 消去法で、一人しかいないでしょう?」


「しょーきょほー? んだそれ?」


「救いようがないわ……。

 じゃあ、あなたに頼まれた時間稼ぎは、ここまででいいかしら?」


「はあ? 急にどうした?」


「付き合いきれないの。

 決着をつけるわよ。

 いいかしら?」


「おー、おー、望むところだ――」


「じゃ、ロックオン」



 腕組みをしていたイズミは、ユカリの方へ向かってスッと両腕を伸ばし、手のひらを向けた。


 すると、手の先から、直径1メートルの輝く魔方陣が、次々といくつも出現する。


 それらは、等間隔に整列しながら、ユカリの方へ急速に迫っていった。


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