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魔法少女と黒猫リン  作者: s_stein
第一章 魔法少女世界選手権大会
43/188

43.想定通りの組み合わせ

 放送を聞き終えたカナとイズミは、顔を見合わせて吹き出した。


 やはり、八人の選手をランダムに組み合わせたとは思えない。


 予想通りの、仕組まれたような組み合わせだったのだ。



「第一試合、七身(ななみ)ユカリ対五潘(ごはん)イズミ、

 第二試合、マリアンヌ・ロパルツ対蜂乗(はちじょう)カナ、

 ……」



 イズミは、頬杖を突いて不機嫌そうな顔をカナへ向ける。



「私も()められたものね。

 ユカリが勝つと思って組み合わせたのよ、きっと。

 いかさまの抽選で」


「昨年、イズミが年齢制限で出場できなかったから、実力が未知数なので組ませたと思うわ」


「魔法少女は、年齢じゃないわよ。

 あなたもわかるでしょう?

 年功序列なんかで決まらない。

 魔法で決まるのよ。

 大会本部は、ぼんくらの魔女の集まりかしら」


「さあ……」


「まあ、あなたは母親が関係者だから、言いにくいのもあるでしょうけれど……」


「ええ、まあ……」


「今に見てなさい!

 私が、ユカリをこの手で沈めるから!」



 イズミは、頬杖を突いていた手を上げて、拳をギュッと握りしめた。



「変態デブが準々決勝敗退で、この大会もしらけるわね。

 でも、私のせいじゃないわよ。

 責任は、大会本部にあるんだから」



   ◇◆◇■□■◇◆◇



 一方、蜂乗家(はちじょうけ)の貴賓席では、組み合わせ発表の後、マコトが頭を抱えていた。



「あらあら、頭痛が痛いマコト、はっけーん」


「姉さん。頭痛という時点で痛いのですから、言葉が被っています」


「マコトお姉様、どうされたのですか?」


「イリヤ。カナの相手が悪すぎるからさ」


「まさか!? カナお姉様が負けてしまうのですか!?」


「それは、そっけいだよ」


「そっけいって、何ですの?」


「あらあら。早計(そうけい)が読めないマコト、はっけーん」


「ハハハ! 失礼!

 姉さん。これで、おあいこですね。

 イリヤ、訂正。早計(そうけい)の間違い。

 早とちりということさ」


「なら、カナお姉様は大丈夫なのですね!?」


「多分、大丈夫。……と思いたい。

 何せ、相手は時間を操る魔法を使う――」


「時間を!? 止めるのですか!?」


「マリアンヌ・ロパルツの場合、止まる、戻す、進めるが自由自在さ。

 ところが、それだけじゃない」


「他に何か?」


「彼女には、やっかいな使い魔がいるのさ」


「使い魔なら、カナお姉様にはリンが付いていますわ!」


「でもね、イリヤ。

 リンが勝っても、カナのためにはならないのだよ」


「わかっています、マコトお姉様。

 勝っても、それはカナお姉様の実力ではないことを。

 でも、相手が使い魔を出してくるのに、こちらからは出してはいけないのですか?」


「それは……」


「魔物相手に生身で戦えとおっしゃるのですか!?」


「それもそうだね」


「使い魔の力で勝っても、勝ちは勝ちです。

 それがカナお姉様の実力でもあるのです。

 総合力です」


「イリヤには参ったなぁ」


「あらあら、珍しく白旗を掲げるマコト、はっけーん。

 でもね、イリヤ?」


「はい、ミナお姉様」


「私もマコトも、カナが成長することを願っているの。

 イリヤのやり方だと、勝ちは勝ちでも、カナはそれ以上成長しないのよ」


「それもわかっています!

 なら、こうしてください!

 もし、カナお姉様が何もしないでリンだけに試合をやらせていたら、叱ってください!

 そうではなくて、ちゃんと戦って、リンをうまく使って勝ったら、褒めてあげてください!

 うまく使った時に、です!」


「……それもそうね。

 約束しましょう」


「……ですね、姉さん。

 イリヤも、自分の意見をキチンと言えるようになったね」


「ありがとうございます、お姉様方!」



 イリヤの艶々した顔が、笑みで一杯になった。



   ◇◆◇■□■◇◆◇


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